資産の96%が株式、日本株は約300銘柄を保有

――現在の資産ポートフォリオについて教えてください。

【図表】なのなのさんの資産ポートフォリオ(2024年5月時点)
出所:なのなのさんの取材時データよりマネックス証券作成

現在は、保有資産の96%が株式・REITです。ポートフォリオの資産構成比率は、日本株が51%、外国株(米国株)が32%、日本REITが11%、海外REITが2%、預金・現金3%、その他1%となっています。このうち外国株については、ETFが1/6、インデックスファンドが1/3、個別銘柄が1/2です。米国株は、高配当とグロース株を中心にポートフォリオを組んでいます。日本のグロース株は国内の市場のみを対象にしていることが多いのですが、米国のグロース株は世界中でビジネスを展開している企業が多く、今後の大きな成長が期待できることから、一定数ポートフォリオに組み込んでいます。米国個別株では、通信インフラ向けの半導体製品を製造、販売するブロードコム[AVGO]や、電子系設計ソフトウェアを開発、販売するシノプシス[SNPS]などを保有しています。

資産の大半を株式で保有していることで、最近の株高にうまく乗ることができたと思っていますが、以前よりも割安銘柄が減ってきていることから、株価の急落に備えて、もう少し現金比率を高めてもいいかなと考えています。

――ポートフォリオの資産配分はどのようなタイミングで変更されていますか?

米国大統領選の前年と当年は株式市場が強いというアノマリー(理論的には説明することができないものの、経験的に観測されるマーケットの規則性)があります。そういったことも考慮して、2023年あたりから株式の比率を増やしてきました。とはいえ、市場の過熱感が高すぎるようなら株式をREITや債券、場合によっては現金に換えるなど徐々に資産配分を見直していきたいと思っています。

――保有銘柄の入れ替えについてはいかがですか?

日本株は300銘柄ほど保有していますが、配当利回りが2.5%以下に低下した場合などは売却を検討します。その時に買いたい銘柄がなければ、現金で保有することもあります。現金比率は最大20%程度を目安にしています。

グロース株の比率を15%程度まで引き上げたい

――今後はグロース株の組み込み比率を上げていきたいそうですね。その理由をお聞かせください。

売上、利益が順調に伸びているにも関わらず、PER10倍台の銘柄も増え、かなり安い水準に近づいていると思われるためです。グロース株のポートフォリオへの組み込み比率は、現状では7%程度ですが、最大15%くらいまでの引き上げを考えています。

――2024年からスタートした「新NISA」については、どのように活用していますか?

成長投資枠は、日本の個別株式やREITでほぼ使い切りました。つみたて投資枠では、為替ヘッジのある外国株式インデックス投信を毎週2万円ずつ積み立てています。「為替ヘッジあり」で積み立てているのは、為替がかなり円安ドル高の状態だと考えているからです。相場が円高ドル安の方向に進んで、1ドル130円より円高になったら、「為替ヘッジなし」に変えるかもしれませんし、他の投資信託に変更するかもしれません。

「これだけはやらない」投資のマイルール

――投資をする際「これだけはやらない」と決めているルールや方針はありますか?

自著にも書きましたが、「期待値の高い投資をするためには精神状態を安定させることが必要」と考えています。

そのために、1つの銘柄に惚れこまないこと、つまり集中投資をし過ぎないようにしています。1つの銘柄にまとまったお金を投資したら、仕事中でもその銘柄の値動きが気になってしかたがないでしょう。悪い決算が発表されたら体調を崩しかねません。そんなことにならないよう、分散投資が大切だと考えています。

――「メンタルを安定させる」ことにつながる投資ルールですね。他にはどんなことを心がけていますか?

相場には張り付かないようにしています。基本的な投資スタイルが、割安な高配当株を買い、配当を得ながら長期で株価の上昇を待つというものなので、目先の株価の動きはあまり気にしていません。

他人の言葉を信用しすぎない、雰囲気だけで買わないようにすることも大事ですね。

また、合理的な取引を心がけ、メンタルを安定させるためにも信用買いはしません。信用買いをすると、その銘柄の悪い噂などが出ていないかなど気になってしまい、日常生活に支障が出てくる可能性もあります。ただ、信用買いはしていませんが、相場環境によっては、信用売りを活用する場合もあります。信用売りはチャートを見て、株価が右肩下がりの銘柄を下げトレンドに合わせて売ることが多いですね。

もう一つ、ポートフォリオの価値基準を資産総額ではなく配当金総額に置くことも心がけています。

――なぜポートフォリオの価値基準を資産総額ではなく、配当金総額に置くのですか?

株価が下がると悲しいのは、自分の資産が減ってしまうからです。でも、株価が下がっても、1株あたりの配当金の金額が変わらなければ、配当金総額は変わりません。むしろ、株価が下がったタイミングは、「保有している高配当銘柄を買い増そう」とか、「新たな高配当銘柄を買ってみよう」と捉えることで、大きなチャンスにもなると考えます。

不労所得でメンタル安定、会社員生活にも投資にも良い影響

――なのなのさんは現在、保有資産残高が1億7000万円とのことですが、今後の目標資産額や、理想とするライフスタイルがあれば教えてください。

目標資産は高めに10億円でしょうか。といっても、資産残高が10億円になっても現状のライフスタイルを大きく変えることは考えていません。会社を辞める予定も今のところはありません。私にとって株式投資は趣味だからです。ただ、資産が10億円を超えたら、エンジェル投資家のようなことはしたいと考えています。

――不労所得を得ていることで、生活に変化はありましたか?

資産残高が1億円を超えたことで「生活に変化があったか」と聞かれることが多いのですが、基本的には変わっていません。投資で得た収益は再投資しています。

変わったことがあるとすれば、不労所得によってメンタル面での安定を得たことでしょうか。

――メンタル面の安定を得られたというのは大きいですね。

不労所得があれば、仮に会社から解雇されても生きていくことができます。そう思えることで、会社員生活のストレスを感じにくくなりましたし、精神的な余裕が投資にも良い影響を与えていると思います。

また、会社員を続けていることで、相場が暴落しても資産が減価しても、毎月給料という収入を得ることができます。兼業投資家は、人生の選択肢が増える最強のライフスタイルだと思っています。

――本日はどうもありがとうございました。

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※本インタビューは2024年5月10日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。