モトリーフール米国本社、 2024年4月29日投稿記事より
増配を続けるヘルスケアの巨人
ヘルスケア大手のジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]は世界で指折りの安全な配当銘柄です。キャッシュフロー創出力には耐久性があり、バランスシートはまるで要塞のように堅固です。これらの強みにより、3.4%の配当利回りは盤石な基盤の上に成り立っています。インカム志向の投資家であれば、ジョンソン・エンド・ジョンソンは検討に値する投資先と言えます。
米国政府よりも高い格付け
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、2社以上の格付け機関からAAAの債券格付けを受けている、2社のうちの1社です。もう1社はマイクロソフト[MSFT]です。これは、AAA格付けを格付け機関1社からしか受けていない米国債をも上回っています。最高水準の信用格付けは、同社の債務返済能力が極めて高いことを意味しています。
同社のバランスシートは盤石です。2024年第1四半期末時点の現金および有価証券は260億ドル、負債は340億ドルでした。純負債はわずか70億ドルで、レバレッジ比率は極めて低水準です。2023年には180億ドルのフリーキャッシュフローを生み出し、純負債を二重にカバーしても余るほどです。
この強力なフリーキャッシュフローは、安定した配当を支えるもう1つの要素となっています。同社は2023年に、研究開発(R&D)に151億ドルを投じた後でも180億ドルの余剰キャッシュを生み出しており、配当額の118億ドルを十分にカバーできます。そのおかげで同社は、25億ドル規模の自社株買いを通じて株主に追加還元した上で、すでに強固なバランスシートを一段と強化することができました。
トップレベルを誇るバランスシートは、ジョンソン・エンド・ジョンソンに、企業買収を行える柔軟性をもたらしています。実際に、同社は2024年に複数の買収を実現しています。医療機器メーカーのショックウェーブ・メディカル[SWAV]の買収(現金131億ドル)では、売上成長の加速が期待されます。またバイオテクノロジー企業、アンブレックス・バイオファーマも20億ドルで買収しました。
62年連続増の「配当王」
ジョンソン・エンド・ジョンソンの強固な財務基盤は、持続可能な増配を可能にしてきました。2024年にも4.2%の増配を実施し、連続増配記録は62年に及びます。これにより、同社は50年以上の連続増配企業で構成されるエリートグループである「配当王」の一員となっています。また、同社は過去10年間にわたり、1桁台半ばのペースで安定的に配当を引き上げてきました。
S&P500指数の配当利回りの2倍を超える高い配当利回り
ジョンソン・エンド・ジョンソンのもう1つの優れた点は、配当利回りの高さです。足元の配当利回り3.4%は、S&P500指数の配当利回り1.4%の2倍を超えます。つまり、現在の配当利回りであれば、ジョンソン・エンド・ジョンソン株への投資1,000ドルごとに、年間約34ドルの配当収入が得られるということです。これに対し、S&P500指数に連動するインデックスファンドに1,000ドル投資していても、配当収入は14ドルにしかなりません。ジョンソン・エンド・ジョンソンの株主は、1桁台半ばで増加し続ける可能性が極めて高い配当を毎年受け取ることができます。
同社の長期見通しも、これを裏付けています。会社側は、2030年にかけて年率5~7%の売上高成長を予想しています。売上高成長率がガイダンスレンジの中央値だった場合、調整後1株当たり営業利益は年率7%超の成長が見込まれます。会社側は、有機的成長とR&D投資が利益成長の原動力となり、買収による成長がそれを補完するとみています。
ジョンソン・エンド・ジョンソンのバランスシートの健全性は世界屈指です。強固で耐久性のあるフリーキャッシュフローとも相まって、同社の配当は世界で最も安全な部類に入るでしょう。さらに、利益成長や増配を支えるためのR&D投資や企業買収を継続するだけの財務の柔軟性も備えています。これらの特徴から、ジョンソン・エンド・ジョンソンは、安全な配当を求める投資家にとって最善の投資先の1つと言えるかもしれません。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Matt DiLalloは、ジョンソン・エンド・ジョンソンの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はマイクロソフト、ショックウェーブ・メディカルの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はジョンソン・エンド・ジョンソンの株式、および以下のオプションを推奨しています。マイクロソフトの2026年1月満期の395ドルコールのロング、同2026年1月満期の405ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。