激務で体調を崩し、入院したことがきっかけで株式投資を始めたチェヨペガさん。当初は株主優待銘柄に投資していましたが、やがて米国株に魅力を感じ、現在では米国のETFを主力として運用、保有しています。最近は、米国株高や円安の追い風を受け、資産額が2400万円に達しました。チェヨぺガさんに日本株から米国株投資にシフトした理由や、新NISAの活用方法などを聞きました。
●チェヨペガさんプロフィール●
32歳のメーカー営業マン。2019年から株式投資を開始。米国ETFやインデックスファンド、日本の高配当株を保有。ブログ「チェヨぺガの幸せを掴む投資ライフ」では、会社員として働きながら資産状況や自身の投資経験などを発信している。X「チェヨペガ@米国株投資」のフォロワーは3万人超(2024年4月時点)。共働き夫婦2人暮らし。
入院をきっかけに人生を見つめ直す
――投資を始めたきっかけを教えてください。
新卒で入社した会社では、丸6年間仕事しかしていない状況でした。当時は商社に勤めていましたが、激務による過労で髄膜炎を罹い3週間入院し、今後の自分の人生について考えました。その中で、「働かなくても生きていけるようなスキームがあるといいな」と考えたのです。その選択肢の1つとして、資産運用に目を向けるようになり、NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)を始めました。
それと同時に、自分の金融リテラシーの無さに気づき、ふるさと納税を始めたり、スマホを大手キャリアから格安SIMに乗り換えたりするなど、キャッシュフローをより意識するようになりました。
優待投資から米国株の配当投資にシフト
――投資対象はどのようにして決めましたか?
投資を始めた当初は、株主優待生活で有名な桐谷広人さんの影響で、日本株の優待銘柄に投資していました。QUOカードやお食事券などさまざまな優待品がもらえるのは魅力的だったものの、次第に「期日までに使えなかった優待もあり、配当金のほうがより自分の好きなようにお金が使えるのでは……」と思ったのです。その後、徐々に優待銘柄から配当銘柄に投資先をシフトしました。
配当銘柄にシフトする中で、「日本株と米国株、どちらに投資しようか」と考えネットで情報を調べた時に、当時は米国株がより魅力的だと感じました。例えば、日本は人口減少と少子高齢化が進んでおり「労働人口減少→経済成長鈍化→株安」が懸念されますが、米国は今後も人口が増え、個人消費も伸びることが期待されています。また、米国企業は「会社は資本を投入している株主のもの」という認識が根付いており株主への還元意識も高く、「配当貴族」「配当王」と呼ばれる連続増配銘柄が日本株より多い。そういった理由から、米国株に投資するようになりました。
――初めての投資について、いくらぐらいから、どのような銘柄や商品に投資したのかを教えてください。
元手資金1000万円の中から、最初は100万円をNISAとiDeCoに振り分けました。iDeCoで米国の主要指数に連動する投資信託や全世界株式を投資対象とする投資信託に投資しました。残りを一般NISAで米国の高配当株とETFに投資しました。
――現在の資産状況やポートフォリオを教えてください。
現在の資産総額は2400万円ほどです。ポートフォリオは、米国株1500万円、日本株70万円、投資信託340万円、現金500万円です(2024年4月時点)。今後は日本株への積極的な投資もしていきたいと考えています。
――投資を始めてから約5年位の期間かと思いますが、どのように投資・資産運用への入金力を高めているのですか?
当初は、本業の収入だけで節約しつつ、毎月10万円+ボーナス全額を投資に回していました。今もそのスタンスは変わっていないのですが、本業の収入が少し増えたこと、また配当収入、副業も始めたので、所得が増えました。増えた分はすべて投資しています。
将来、もし子どもを授かったら、夫婦ともに育休を取りたいと考えていますので、その時は所得が減ると思います。そのため、今が一番投資にお金を回しやすい時期だと考えています。
個別株投資で失敗を経験し、ETF投資に注力
――これまでに投資で失敗した経験はありますか。
米国株に投資し始めた頃、配当金が多ければ多いほど良いと思ってリスクの高い高配当株に投資をしていました。インカム・ゲイン(配当金)はもらえたものの、キャピタル・ゲイン(売却差益)が得られず、インカム・ゲインとキャピタル・ゲインを合わせて評価すると、S&P500のような指数の銘柄よりパフォーマンスが低くなったこともありました。その時に、インカム・ゲイン一辺倒も良くないなと感じました。
その教訓を踏まえて、今はインカム・ゲインだけでなくキャピタル・ゲインも享受できる銘柄にバランス良く投資するようにしています。
――失敗を経て、銘柄を選ぶ観点も変わったのでしょうか。
そうですね。配当金は年間4%あれば「高配当株」と呼ばれることが多いと思うのですが、インカム・ゲイン一辺倒だった頃は、配当利回りが10%ほどの米国石油系銘柄を保有していました。コロナショックで1日のうちに株価が半減し、配当方針が変わり、無配になったのです。株価も下がり、配当もなくなる……という状況を経験し、個別株に投資するリスクをより考えるようになりました。そういった経験もあり、今では個別株への投資ではなく、米国の高配当株式が組み入れられたETF[VYM](ベンチマーク:FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス)などを中心に保有しています。
ETFを保有して幅広い銘柄に投資できるとリスクを分散でき、安心して投資を続けられると考えています。
新NISA、毎月積立で年間投資枠を埋める
――新NISAはどのように活用していますか。
「つみたて投資枠」では、米国株の主要指数への連動を目標としているインデックスファンドと全世界の株式に投資をするインデックスファンドに半分ずつ投資しています。「成長投資枠」では、[VYM]や、[VIG](ベンチマーク:NASDAQ USディビデンド・アチーバーズ・セレクト・インデックス)、[VTI](ベンチマーク:CRSP USトータル・マーケット・インデックス)に投資しています。
つみたて投資枠(年間投資枠120万円)は、毎月10万円ずつ積み立てており、成長投資枠(年間投資枠240万円)は年初に一括で投資するのではなく、株価の変動を見ながら適宜投資をしています。投資資金は本業収入・ボーナス、副業収入、配当金から捻出しており、毎年360万円を投資する予定です。
――売買のタイミングについては、どのようにお考えでしょうか。
基本的には売却せず、長期で保有しています。配当金や分配金も使わずに、再投資に回して、複利の恩恵を受けていきたいと考えています。
――年間でどれぐらいの配当収入を得ていますか。
現在(2024年4月時点)で、70万円(税引前)ほどです。2021年頃は年間配当収入が100万円弱もらえるような高配当に特化したハイリスクなポートフォリオを構成していましたが、失敗した経験の項目でお話した通り、考え方を改め安定したポートフォリオに変更しています。今のポートフォリオにしてからは、円安の影響、配当金再投資、追加投資もあり、配当金は順調に年々増えている状況です。
貯金だけ残して死ぬのはもったいない
――入院される前は、お金の使い方にあまり意識されていなかったのでしょうか。
20代前半、投資をする以前から節約しており、毎月10数万円で生活して、残りは全部貯金していたので、ある程度まとまった貯金がありました。周りの人たちからすると、相当ケチなやつだと思われていたのではないかと思います(笑)。人生で初めて長期入院を経験した際、「貯金があっても今後、もし大きな病気をして、自分が死んだらもったいないな」と思い、やりたいことは体力のある今のうちに全部やっておこうと思ったのです。
こういった考えをもとに、車をキャッシュ一括で買ったり、ずっとやってみたかったキャンプを趣味として始めました。思い返すと、当時は貯金ばかりして経験や自己投資にうまくお金を使えない、典型的な「お金の使い方がヘタ」な社会人でしたが、今は「経験こそ財産だ」という価値観に変わり、自分の時間をしっかり確保できる会社に転職して、楽しい生活を送っています。
――営業マンとして仕事が忙しい中で、どのように投資のための時間を捻出していますか。
週に2,3日出張が入っているので、移動の隙間時間を使って情報収集しています。
――株式投資を始めるにあたり、参考になった書籍やブログはありますか?
投資のマインドとしては、『金持ち父さん 貧乏父さん』(筑摩書房)や『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』(ダイヤモンド社)が参考になりました。投資とは直接関係ないのですが、『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ダイヤモンド社)も好きです。
>> >>【後編】30代共働き夫婦で高速資産形成!「配当株投資をゲーム感覚で楽しむ」イマドキ資産形成術 個人投資家チェヨペガさん(近日公開)
※本インタビューは2024年3月31日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。