約200万円から投資を始め、18年間で4600万円まで資産を形成した氷河期世代の投資ブロガーななしさん。約1年前のインタビューの前編「年収300万円から資産4000万円目前『暴落時でもリバランス重視で買う』」、後編「収入の2割を投資『1000万円を超えれば複利を実感できる』」では、投資資金づくりのコツ、インデックス投資を選ぶ理由などをご紹介しました。今回は新しいNISAについて、ななしさんの戦略をお聞きしました。

●ななしさんプロフィール●
1976年生まれ、関西在住の会社員&インデックス投資家。2005年に投資を開始し、インデックス投信を中心にコツコツ投資を続け、リーマン・ショックやコロナ・ショックを乗り越えて4600万円近くの資産形成を実現。「氷河期ブログ」では、お金と投資の話をメインに、資産形成のヒントを発信している。専業主婦の妻、子どもとの3人暮らし。

毎月20万円、全世界株式型のインデックスファンドに投資

――2024年から新しいNISA制度がスタートしました。つみたて投資枠、成長投資枠をどのように活用していこうと考えていらっしゃいますか?

2023年で終了した旧つみたてNISAでは、米国の主要指数に連動するインデックスファンドを毎月33,333円買っていましたが、現在は全世界株式型のインデックスファンドを、つみたて投資枠と成長投資枠それぞれで毎月10万ずつ、合計月20万円を積立投資している状況です。

旧つみたてNISAでは、その資産は非課税枠が終わった20年後に生活費として使おうと考えていました。「利益が出ていれば贅沢に」「損していれば清貧に」過ごすイメージで、20年間は年金で足りない生活費を補うのに丁度良いと思っていました。

ただ、新しいNISAは非課税期間が永久なので、なるべく早めに生涯投資枠1800万円の枠を埋めて、70歳以降くらいから徐々に取り崩しをして、私が亡くなったあとは妻に相続しようかと考えています。

相続する場合、一番分かりやすく、受け取った側も納得しやすいのが全世界への投資だと判断し、全世界株式型のインデックスファンドに一本化しました。渡す側の自分も説明しやすいのではないかと思っています。

――生涯投資枠1800万円に達した後はどのような投資計画をお持ちでしょうか?

私は現在47歳で、月20万円を積立投資しています。新しいNISAの生涯投資枠1800万円を埋めるには7.5年かかり、そのとき55歳になっています。

できれば元本割れリスクが減りそうな15年は保有したいので、70歳くらいまでは手を付けずに労働収入でなんとか生活できればと考えています。幸か不幸か、年金支給も伸び、それに伴い現役期間も伸びそうなので、ちょうど良いのではと思っています。

ただ、早くリタイアもしたいので、新しいNISAの非課税枠を埋めたうえで、これまでの資産を中心に米国株(米国の主要指数に連動するインデックスファンド)に投資できればと思っています。

「非課税期間の永久化」で40代から投資を始めても十分間に合う

――新しいNISA制度について最も魅力的だと思うポイントを教えてください。

新しいNISAで最も魅力的なのは「非課税期間が永久」になったことです。これによって、若い人が少ない資金で長期にわたって投資をすることができるようになりました。制度が変わって非課税期間が無くなったため、例えば旧つみたてNISAのように、月2万円~月3万円の投資を30年かけて積み立てていくのでも良いでしょう。

この場合、月3万円×12ヶ月×30年で1080万円しか非課税を埋めることができませんが、大半の場合、これくらい準備できれば老後資産は十分なのではないかと思います。例えば、毎月3万円の積立を30年続け、それを30年かけて取り崩すと想定すると、ざっくり月13万円が使えるということになります(はじめの30年間5%複利で運用した場合)。

相場の変動はあるにせよ、年金で不足する生活費をかなり賄えるのではないでしょうか。この考えなら30代から投資を始めても遅くなく、70歳まで働くのが当たり前になる時代になれば、40代から投資を始めても十分間に合います。月3万円という投資額は、多くの方にとって継続しやすい額ではないでしょうか。

こうした意味で、非課税期間が永久化したことは評価したいと思っています。

ジュニアNISAは運用を継続し、自立後の子どもに渡したい

――ジュニアNISAで運用されていた分は、どのようにされていくご予定でしょうか? 

ジュニアNISAについては特に決めていません。子どもが成人するか、自立して一人暮らしを始めたときに子どもに判断を任せたいと思っています。ただ、大学の費用等がインフレで高くなり過ぎた場合や、留学、専門的な学習をしたいとなったときには、子どもと相談してジュニアNISAの取り崩しなども必要かもしれません。とは言え、なるべく運用を続けて本人に渡したいですね。

保有銘柄がS&P500を中心とした米国株に偏っているので、子どもが成人した際には本人と相談して、同じ米国株で良いか、もしくは全世界株式が良いか等、投資のことを話し合うきっかけになれば、とも考えています。

いずれにしても、取り崩したりすることなく、なるべくそのまま子どもに引き継げるよう私自身は本業の仕事をしっかり頑張るつもりです。

「1800万円枠」を埋めた後は投資を頑張らない生き方が理想

――インタビューご取材時から10ヶ月ほど経ちました。投資への意識や投資戦略などで変化がありましたら教えください。

投資への意識や戦略等はあまり変わりがありません。基本的にはリスク資産を半分、無リスク資産を半分という保守的なポートフォリオ、日本版カウチポテトポートフォリオでいる予定です。

ただ、個人的には新しいNISAの生涯投資枠1800万円を埋めたらもう新規投資は頑張らなくてよいのではないか、という考えが出てきました。お金は貯めようと思えばキリがありません。それよりも現在47歳で、人生折り返し地点が見えてきました。健康で人生を楽しめる時間も日に日に減ってきています。

そういうことも考えると、新しいNISAを1800万円分埋めて、キャッシュが1000万円あれば、老後の生活費は何とかなるだろう。足りなければ細々と働けば良い。それよりも、今を家族と楽しむことに少しずつお金を使っていこう、と思うことが増えました。とは言っても、「早く1800万円を埋めたい」という考えが頭をよぎるのも正直なところで、なかなか難しいところです(笑)。

今は、新しいNISAが始まり、月20万円という積み立てを始めたので、足りないときは過去の資産を売りつつ、強制的に7.5年で新しいNISAへの新規の投資は終えるつもりです。積立設定をしているので、これもそのうち慣れてきて日常になるかな、とも思います。

そして、あまり投資のことを考えずに済むような生活ができたら、これが一番の投資実践法ですし、そうなれるよう日々頑張っていきます。

――本日はお時間をいただきありがとうございました。

※本内容は2024年1月に取材しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。