30~50年後に後悔しない商品を選ぶ

――毎月の積立額や積み立てている商品について教えてください。

「eMAXIS Slim米国株式S&P500」をつみたてNISAで毎月3万3333円積み立てているほか、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を毎月10万円積み立てています。前者はボーナスを貯めた資金を、後者は副業収入を貯めた資金を充てています。

2024年に新NISAが始まったら、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」に一本化しようと思っています。

――投資対象の商品はどのようなポイントで選んでいますか?

30~50年後に持っていて後悔しないかどうかです。

株価指数に連動するインデックス投信を積み立てているわけですが、指数については「いつでも半値になるリスク」や「20年くらい長期低迷する可能性」を覚悟したうえで、投資しています。長期投資を前提としているので30年後も生き残っている可能性が高いこと、かつ低コストであることを重視して商品を選んでいます。

現状で積み立てている商品は2本とも「eMAXIS Slimシリーズ」ですが、30年経つ前に早期償還された場合には、似たような指数に連動する商品に乗り換えても致し方ないと思っています。とはいえ、「S&P500指数」や「MSCI・ACWI指数(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」そのもの、あるいは、それに類似する指数は残っていると思うので、そこまで心配はしていません。

新NISAを活用しながら、焦らずコツコツ資産6000万円を目指す

――2024年からスタートする「新しいNISA」はどのように活用する予定ですか?

なるべく早い段階で、生涯非課税枠1800万円を埋めたいと考えています。新NISAが始まったら、運用商品を「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」に一本化することも検討しています。ただし、リスク資産と無リスク資産のバランスは崩したくない。非課税期間が恒久化されるので、焦らずコツコツ続けます。

――お子さまの教育資金については、どのように準備されていますか?

子どもに頂いたお祝い金や児童手当を使わずに残しておいて、貯金も合わせて400万円ほどを大学費用として準備したいと考えています。

これとは別に、投資で得た資産から130万円程度を用意しています。当初はそのうち100万円をジュニアNISAで、30万円を特定口座で運用していたのですが、最近、全てジュニアNISAに移しました。非課税のメリットを重視したからです。もっとも、売却したことで思った以上の税金を払うことになりましたが…。現状では300万円弱になっています。

ジュニアNISAについては18歳になるまではこのまま非課税で運用する予定です。その後は大学の学費の状況次第で判断します。将来的には子ども自身が老後まで運用を継続すれば、それなりの金額になるのではと期待していますが、どのようにするかは本人が判断できるようになったら任せるつもりです。

――ななしさんの資産は4000万円目前ですね。今後の資産目標や、その資産で叶えたいことはありますか?

資産目標は、まずは5000万円に増やすことでしょうか。そうなれば老後の生活が少し楽になるかなと思います。6000万円まで増やせれば、無理に貯めたり、増やしたりしなくても、「公的年金が給付されるまで、食べていけるだけの収入があれば大丈夫」と気が楽になると思っています。

妻はまったく投資に興味がないのですが、「老後資金のめどはついたので、無理して貯めなくても大丈夫だよ」と伝えています。3ヶ月に1度、資産額と、どの金融機関にどのくらい資金があるかなどのデータを更新して共有するようにしています。

1000万円を超えるまでは「目に見える結果」にこだわらない

――これから投資を始めようと考えている若い世代へのアドバイスをお願いします。

投資は、早く始めるに超したことはありません。早く始めるほど、時間を味方につけることができるからです。20代で始めれば、老後までに40年以上の投資期間があります。30代でも、70歳まで働くとしたら、40年近くの投資期間がある。新NISAが始まれば、非課税期間も恒久化されますから、本当にいい機会だと思います。

40年後の投資環境については誰にもわかりませんが、私自身の経験や過去の相場環境を考えると、あれこれ悩むよりは、少額から無理のない金額でスタートして、自分のリスク許容度を探りながら、細く長く続けることが大切ではないかと思います。とにかく、はじめの一歩を踏み出すことが大事です。

ただし、くれぐれも無理は禁物です。投資資金を捻出するために、極端な節約をしたり、家族に節約を強要したらケンカが起きかねません。自分のお小遣いなど余裕資金の範囲で投資を行うのが大切だと思います。

我が家では、今も年収は400万円程度ですが、海外旅行に行くなどレジャーもしっかり楽しんでいます。収入の2割をきちんと貯蓄して、残りの8割を楽しく使えば、ストレスもたまりません。

――無理のない金額で投資するからこそ、長く続けられるのですね。

そう思います。限られた資金で投資を続けるには、機械的に積立投資をするしかないと思います。といっても、投資を始めたばかりの頃は、なかなか「増えた」という感覚を得られないかもしれません。私自身も積立投資を10年ほど続けて、資産が1000万円を超えてから、ようやく「増えた」と実感し、複利の効果も身をもって感じることができました。

積み立てを続ける途中では、暴落も起きるかもしれません。そんなときでもイヤイヤながら続けることが大切です。続けたからこそ、投資を始めた頃には年収が300万円程度だった私でも、4000万円近い資産を形成できたのだと考えています。

私が投資を始めた17年前とでは、投資環境は大きく変わりました。少額から投資信託を積み立てることもできますし、ポイントを活用して投資することも可能です。ポイントならば、無理のない投資ができるでしょう。まずは、始めることが肝心です。一緒にコツコツ頑張りましょう。

――本日はどうもありがとうございました。

<< <<【前編】年収300万円から資産4000万円目前「暴落時でもリバランス重視で買う」

※本インタビューは2023年4月12日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。