毎週月曜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問に広木隆が回答いたします。回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。
Q.2024年にテーマ株として、万博関連銘柄はありでしょうか。
2024年にテーマ株として、万博関連銘柄はありでしょうか。2025年になってからでないと上がってこないでしょうか。
回答
「あり」か「なし」かと問われれば、「なし」とお答えします。それ以前に「万博関連銘柄」というのが思い浮かびません。入場者は約2820万人と想定され、経済波及効果は建設費関連で約0.4兆円、運営費関連で約0.4兆円、消費支出関連で約1.1兆円の計約1.9兆円との試算があります。
わかりやすいのは建設、鉄道、近隣のホテル、百貨店などでしょうか。
ただ、株価に影響を与えるほどのインパクトはないでしょう。しかも、一過性の特需ですから。そして何より、1970年の大阪万博のころと、半世紀以上経過した今の日本はまったく違います。万博で盛り上がるような時代ではないのです。相場のテーマとしても同様でしょう。
Q.2023年はあえてエクイティファイナンスをした会社の株を買ってみました。何かアドバイスあれば、、、
2023年はあえてエクイティファイナンスをした会社の株を買ってみました。まだ結果は出ていませんが2024年も狙うつもりです。何かアドバイスあれば、、、
回答
いいと思います。エクイティファイナンスをすると売られる、というのは相場の一面でしかありません。エクイティファイナンスによるダイリューション(希釈化)が嫌気されるためですが、それを上回る成長期待があれば株価は上昇していきます。要はファイナンスで得た資本の使い方です。
たとえば2023年9月にJFEホールディングス(5411)は公募増資と新株予約権付社債(転換社債=CB)を組み合わせて総額約2100億円を調達しました。温暖化ガス排出の少ない電炉への転換や、電気自動車普及をにらんだ鋼材の開発など大規模な脱炭素関連の投資に振り向けるとしています。このような資金使途での調達なら最終的に評価されるはずです。ファイナンス発表直後の市場は例によって大幅安で反応しましたが、その後、同社の株価は上昇、それから大きく上がりましたね。
Q.日銀のマイナス金利解除による円高との綱引きは、どちらが優位でしょうか。
来年から新NISAが始まり、海外投信の人気が高いとのことですが、日銀のマイナス金利解除による円高との綱引きは、どちらが優位でしょうか。
回答
新NISAでは「オールカントリー」など海外へ投資する投資信託の人気が高く、円の売り圧力になっています。日銀の政策変更などは短期的なトレーディングの材料になることはあっても、大きな構図では日本の実質マイナス金利はかわりませんので、円高圧力は限定的です。NISAでの海外投資の影響が大きいでしょう。
なおに日本株も外国人が大幅に買い越していますので、その円高要因もあるはずです。ところが外国人は、米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏のように金利の低い円資金を調達して買う投資家も多いのです。ドルを円に転換して買う投資家も為替の先物予約をつけると、同時に反対売買をすることになるわけですから、ドル円相場にはニュートラル。先物相場には日米間の短期金利差が反映され、5%ほどある金利差分も得ることができるので、いまは先物予約が増えている状況です。こうしたことから、円高にはならないのです。
Q.トヨタについて、今後、円高による利益の減少分と業績好調による利益増加分のどちらが優勢で、株価への影響・見込みはどうでしょうか?
トヨタについて、今後、円高による利益の減少分と業績好調による利益増加分のどちらが優勢で、株価への影響・見込みはどうでしょうか?
今後の自動車産業の成長は?
トヨタ自動車は?
回答
上記の「株ハッピー」さんへの回答で申し上げたように、円高懸念は少ないです。従って、ご指摘の通り好調な業績をストレートに享受できるでしょう。特に世界の自動車販売のトレンドがBEV(バッテリー式)からHEV(ハイブリッド)への揺り戻しが起きているのはトヨタ(7203)にとって追い風です。トヨタは2023年HEVを世界で約370万台販売しましたが2024年は約480万台に拡大する計画です。利益率の高いHEVの拡販プラス円安でトヨタの業績は非常に堅調だと予想されます。
Q.株価の予想をするにあたって、1年内の短期、3年程度の中期、それ以上の長期とするとどのレンジが予想しやすいでしょうか?
株価の予想をするにあたって、1年内の短期、3年程度の中期、それ以上の長期とするとどのレンジが予想しやすいでしょうか?
回答
テクニカルな話をすれば、1年内の短期ということになります。
株価が確率過程に従うとすると、株価Sの変化⊿Sは以下のように表せます。
⊿S=μ⊿t+σε√⊿t
ここでμは期待収益率、 σはボラティリティ、 ⊿tは微小時間、εは標準正規分布からの無作為標本を表します。
右辺の第2項がウィナー過程ですが、これは変動率×標準正規分布からの無作為標本×変動時間の平方根となっていて、時間が平方根で経過するというのは、ランダム (無作為) な動きの広がりのスピードが遅いことを示しています。いずれにせよ、株価変化のレンジは時間の平方根に比例しますので、単純なことを言えば、短期のレンジのほうが予想しやすい、ということになります。
ただし、これはあくまで株価変動の確率的な表現に過ぎず、実際の相場では確率的に言えば、天文学的桁数を分母とするような極めて小さい発生の確率でしか起きないような暴落が何度も起きてきました。
ですから、ほぼ多くの場合、短期予測は想定のレンジに収まるので予想しやすいですが、時にそこから大きく乖離することがあります。その点、長期のトレンド予測ではそうした短期の「外れ値」のようなものを無視して考えることができます。例えば、過去10年の日経平均とその予想EPSの推移から、株価は長期的には企業業績の増加トレンドに平仄を併せて右肩上がりに上昇していくと予想した場合、コロナ・パンデミックのような下振れは、あくまで短期的な異常値であったと無視しえるでしょう。
Q.1570日経レバのようなレナレッジのきいたものは商品の性質上長期保有に向かないでしょうか。
全国投資セミナー大阪に参加しました。福山さんのようなファンサービス素敵でした。1570日経レバのようなレナレッジのきいたものは商品の性質上長期保有に向かないでしょうか。コロナ始めに買った日経レバを未だ保有しています。
回答
ご参加いただき、ありがとうございました!福山雅治さんは僕の最大のライバルですが、残念ながら彼の方が僕より(少しだけ)優れています。少し、であっても優れた人は見習おうと思って、彼をまねた「ファンサ」をしてみました。来年の大阪ハービスホールは、会場に花道を作ってもらって、縦横に動き回る所存です。
さて、ご質問の件ですが、実は以前に詳細に回答しています。2021年7月の羅針盤「レバレッジ型投信は長期投資に不向きですか?」です。
こちらをご覧ください。
簡単に言うと、もみ合いに弱いという欠点はありますが、基本的に株価は右肩上がりに推移するものなので、特に不向きだということはありません。
このコーナーでは、毎週月曜夜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問にチーフ・ストラテジストの広木隆が回答いたします。
今回は2023年12月25日、1月15日、1月22日のセミナーで寄せられたご質問から抜粋して回答しています。
回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。
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