毎週月曜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問に広木隆が回答いたします。回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。
Q.短観で楽観論が減ったのは、中国とのデカップリングで企業収益の伸びにブレーキがかかるとの不安が表面化してきたからなのでしょうか。
短観で楽観論が減ったのは中国とのデカップリングで企業収益の伸びにブレーキがかかるとの不安が表面化してきたからではないでしょうか。
今年の株価への影響について見解教えてください。
回答
ご質問の「短観で楽観論が減った」というのは、4月1日に発表された3月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の業況判断DIが、前回の2023年12月調査(プラス13)から2ポイント悪化してプラス11と4期ぶりに悪化したことを指してのことでしょうか。
これは一部の自動車メーカーが国の認証取得をめぐる不正から車の出荷を停止した影響で「自動車」をはじめ、「鉄鋼」や「非鉄金属」などの業種で景気判断が悪化したことが主な要因です。
一方、大企業の非製造業の指数は好調なインバウンド需要などを背景に8期連続で改善し、1991年以来の高い水準となりました。
おっしゃる通り、中国とのデカップリングで企業収益の伸びにブレーキがかかるとの不安はありますが、まだ市場ではそれほど表面化はしていません。しかし、重要な視点ですので、この点は今後も注視が必要です。貴重なご指摘、ありがとうございました。
Q.日経平均4万円を超えてからの投資について留意点を教えて下さい。
日経平均4万円を超えてからの投資について留意点を教えて下さい。
回答
2023年度の企業業績のもとでは日経平均4万円はPER(株価収益率)17倍を超えました。近年の平均よりかなり高いバリュエーションですので、それを許容できる成長力への期待が高まるか、を考えることが重要です。
例えば、企業が成長を追求し、ヒトやモノへの投資を継続するかどうか。具体的に賃上げ、設備投資、M&Aなどの動きが活発になるかどうかをウォッチしていくことが重要です。もうひとつはシンプルに新年度=今期の業績見通しが出始めますので、それをもとにしたバリュエーションがどうなるかをしっかり把握することです。
Q.アジアなどでの日本車の評判おしえてください。
アジアなどでの日本車の評判おしえてください。ダイハツの事件は影響ありますか。
回答
東南アジアでは日本車は圧倒的な人気を誇っています。早くから現地に進出しており、ブランドが浸透しています。耐久性や燃費に対する信頼が高く、どの国でも高い販売シェアを獲得しています。ところが強力なライバルが現れそうです。それは欧米メーカーではありません。中国のEVメーカーであるBYDです。4月25日、テレビ東京のWBS(ワールドビジネスサテライト)を観ていたら、早稲田大学大学院の入山章栄教授はBYDが東南アジアでのシェアを伸ばし、日本メーカーの脅威になっていると指摘していました。
Q.今の米国市場は天井と思われますか。
200%に近づくとリスクが高いと言われるバフェット指標が、今は184%との記事がBusiness Insiderに掲載されていましたが広木さんからみて、今の米国市場は天井と思われますか。
回答
短期的には米国株式市場には割高感があります。しかし、バフェット指数のもととなるGDP(国内総生産)=経済そのものが成長しているので、いずれしかるべき水準に収まり、右肩上がりの株価上昇トレンドは中長期的に続くとみています。
Q.もし衆議院の解散が秋頃にあった場合、株価への影響はどうお考えでしょうか。
このところの政治不信が続き、もし衆議院の解散が秋頃にあった場合、株価への影響はどうお考えでしょうか。
回答
4月28日投開票の衆院補欠選挙のうち島根1区の結果次第でしょう。もし自民が勝てば解散総選挙に踏み切る可能性が高まります。その場合、秋まで待たず7月28日投開票(一説には7月14日)という観測もあります。その流れになれば相場にはプラスです。しかし、島根で自民が負け、不戦敗を含む三戦全敗となれば「岸田おろし」が吹き荒れ、日本の政治の不安定化を嫌気した外国人の日本株離れで相場にはネガティブとなります。
Q.小林製薬の今後を教えて下さい。
小林製薬の今後を教えて下さい。 分割・配当金・優待品などもあり、好きな銘柄で長期保存をしています。さすがに下がりっぱなし?なので心配になっています。
回答
小林製薬(4967)が「紅麹」を含むサプリメントによる健康被害を3月22日に公表してから1ヶ月。株価を見る限り、紅麹問題の悪材料はいったん織り込んだようです。ただし、業績への影響が明らかになるのはこれからです。まだ二番底があると思っておいたほうがよいでしょう。しかも株価が戻るには相当時間がかかるでしょう。好きな銘柄で長期保有というご方針であれば、継続保有でよろしいかと思いますが、株価がいったん底入れから、ある程度戻った今のうちに手放すのも一考です。
Q.セキュリティやAI、半導体に注目されているようですが近づいてはいけないセクターというのも存在しますか?
株価は騰がるものという広木さんの見解ですがあくまでも指数で低PER,低PBRで取り残されるセクターもあるかと思います。セキュリティやAI、半導体に注目されているようですが近づいてはいけないセクターというのも存在しますか?
回答
おっしゃる通り、僕の「株価は騰がるもの」という見解は、あくまでも指数=市場全体かつ長期的な趨勢の話で、個別ではその限りではまったくありません。近づいてはいけないセクターというのは、その場の状況で変わりますが、いまなら電力株などがそうだと思います。
Q.バリュートラップに陥らないために気をつけることはありますか。
PBR1倍割れに見られる資本効率の悪い会社の改善に期待して、四季報から銘柄を探していますが、バリュートラップに陥らないために気をつけることはありますでしょうか。
回答
伝説のファンドマネージャー、清原達郎さんは著書の中でネットキャッシュ比率に注目すると述べられています。ネットキャッシュ比率の高い会社のPBR(純資産倍率)は必ず低いが、逆にPBRが低いからといってネットキャッシュ比率が高いわけではない - ここがミソです。PBRは低くても「この会社は固定資産ばかりで現金にまったく余裕ないわ」などとチェックするだけでもいい、と述べられています。清原さんの受け売りですが、傾聴に値すると思います。
Q.銅の価格上昇が止まりません。中国経済も弱いのに何故ですか?
銅の価格上昇が止まりません。中国経済も弱いのに何故ですか?
回答
中国経済が弱いというのは、ちょっと前の話で政府のテコ入れによって中国経済は持ち直してきています。したがって中国の需要増期待を受けて国際的に銅の価格が高騰しているのです。今日4月26日の日本経済新聞の記事にもあった通り、相場上昇の背景には需給逼迫への警戒感があります。
そもそも、2024年の世界の銅需給は供給過剰が予想されていましたが、3月に中国の大手製錬会社が協調減産で合意したと伝わり、供給リスクが意識されるようになったのです。4月12日に米英両政府がロシアへの追加制裁を理由として、国内取引所でロシア産の銅とアルミニウム、ニッケルの取引を禁止すると発表したことも非鉄相場の波乱要因として意識されています。
このコーナーでは、毎週月曜夜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問にチーフ・ストラテジストの広木隆が回答いたします。
今回は2024年4月1日、4月8日、4月15日、4月22日のセミナーで寄せられたご質問から抜粋して回答しています。
回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。
【広木隆のMonday Night Liveについて】
※スマートフォンでもご視聴いただけます。
※専用配信システム(直伝社システム)、YouTubeで配信します。質問チャットへご参加
※質問の入力はLIVE配信中のチャットに限ります。
※「広木隆のMonday Night Live」には、開催日当日のマネックス証券サイトの「広木隆のMonday Night Live」バナーからご参加ください。