毎週月曜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問に広木隆が回答いたします。回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。

Q.ソシオネクストがそんなに評価されているのはなぜでしょうか?

ルイボス様からのご質問

ソシオネクストが、株価が高いですが、なぜそんなに評価されているのでしょうか?

半導体製造装置は、日本は強いですが、ソシオネクストにそのような強みがあるのでしょうか。ご存じの範囲で教えてください。

回答

ソシオネクスト(6526)は日経平均株価にも採用されましたね。予想ROE(自己資本利益率)は20%超と非常に高収益企業です。やっていることは、System on Chip(SoC)の開発・提供です。

SoCとは装置やシステムの動作に必要な機能のすべてを、一つの半導体チップに実装することです。同社は工場を持たない(ファブレスな)設計専業の企業で、その強みは、「ソリューションSoC」、つまり、顧客とともに仕様の策定や論理設計を行い、先端テクノロジーを組み合わせて顧客にとって最適なSoCを提供するというビジネスモデルです。

このような企業が存在感を示し、これだけの好収益を達成しているのですから、そこから類推すれば彼らの「ソリューションSoC」に強みがあって、市場に受け入れられているということでしょう。彼ら自身が主張する強み(コア・コンピタンス)は以下の4点です。

  1. 高速・高性能な大規模SoCを実現する設計技術
  2. お客様の差別化ニーズに応えるIPラインアップ
  3. アプリケーション視点の開発経験で培われたシステム要素技術
  4. 強固なサプライチェーンと品質マネジメント体制

(ソシオネクスト社ウェブサイトhttps://www.socionext.com/jp/Our_Business/strength/より)

この中でも同社の強みは、4番の強固なサプライチェーン・マネジメントだと思われます。同社は最先端のテクノロジーを有する世界中のパートナー企業と連携し、サプライチェーンを長年にわたって築き培ってきました。それは一朝一夕にできるものではないのでかなりの強みと言えるでしょう。

同社は富士通セミコンダクターおよびパナソニック(6752)による会社分割により両社のSoC事業を統合して誕生した会社です。ですから、このような大手企業の技術を引き継いでおり、かつ、上場企業では競合他社がない状況と思われます。

Q.資生堂、ダイキン、オリエンタルランドの株価について

しほ丸水産様からのご質問

日経平均株価は爆上がりなのに私の保有しているオリエンタルランド、資生堂、特にインド需要を期待して購入したダイキンにはその波が来ていません。アドバイスお願いします。

回答

資生堂(4911)は、東京電力(9501)福島第1原子力発電所の処理水放出にともなう中国での日本製化粧品の不買運動が落ち着いてきました。インバウンド需要もある程度は回復しています。そして国内で約1,500人の早期退職を募集すると発表しました。そのほか様々な構造改革に取り組む計画です。

悪材料はいったん株価に織り込まれたように見えますので、ここからの下値は限定的でしょう。しかし、浮上のきっかけが見えにくいです。仮にEPS(一株当たり利益)が大きく戻ってもバリュエーションの割高さを是正するだけで株価が上がるか疑問です。戻りには時間が相当かかりそうです。

ダイキン(6367)はインドを含むグローバルサウス戦略が日本企業でいちばん明確になっていると思いますので、引き続き有望です。株価が低迷している理由は直近の決算に対する失望です。営業利益は最高益を更新しましたが、金利負担で最終減益になったことが嫌気されました。であれば、今後は改善するでしょう。

というのは、ダイキンはポーランドや中国、インドネシアを含む世界5ヶ所での工場立ち上げなどに伴い資金需要が拡大しており、世界的な金利上昇の影響を受けたのです。2023年4~12月期の決算では支払い利息が322億円と2.4倍に膨らみました。しばらく厳しいかもしれませんが、今後、世界の中央銀行は利下げに向かう方向です。そうであれば、この金利負担もいまがピークとなり、悪材料はこなせるのではないかと思います。

OLC(4661)は京成電鉄(9009)による株式売却が重石となった感はありますが一過性の悪材料でしょう。株式分割で個人にも買いやすい株価となっており、NISAでも人気になっているようです。長期保有の銘柄だと思います。

Q.生活感は変わらないのに株価は上昇しているというのはどういうことなのでしょうか?

JUN様からのご質問

日経平均株価が4万円を超えても、景気がよくなっているという感覚はまったくないです。
生活感は変わらないのに株価は上昇しているというのはどういうことなのでしょうか?

 

回答

日経平均株価は上場企業225社の平均株価です。これら225社というのは日本を代表する超優良企業です。やや古い数字ですが総務省と経済産業省の経済センサス活動調査によると、2021年6月時点の全国の企業数は367万4000社です。このうちの99%は中小企業で、日本国内の「一般的なサラリーマン」というのは、ここで働いている人でしょう。

これらの中小企業と日本を代表するトップ225社の景況感が乖離することは、当然のようにあっておかしくありません。彼らの多くはグローバルな舞台で戦っています。国内の景気だけに左右されるビジネスではありません。例えば、米大リーグや欧州のプロサッカーチームで活躍する選手の年俸と、国内のすべてのスポーツ選手の年収を比較するようなものだと言えば、理解しやすいでしょうか。

Q.円高になるとすれば、トヨタなどの自動車株のこれ以上の上昇は難しいでしょうか?

たか様からのご質問

2024年は、2023年より円高になるとすれば、トヨタなどの自動車株のこれ以上の上昇は難しいでしょうか? 

回答

足元でトヨタ自動車(7203)の株価が上場来高値を更新している理由のひとつが円安ですが、それだけではありません。業績そのものが良好だからです。2023年までの半導体不足が解消され自動車の生産が回復しました。北米で利益率の高いハイブリッド車が売れており販売も好調です。その反面、EVの不振が目立ってきました。

日本の自動車産業はEVの出遅れを指摘されていましたが、トヨタは従前から「全方位」で取り組む方針を掲げ、EVもやるがハイブリッドも捨てない、水素も引き続き注力と、まさに分散した戦略をとってきました。この戦略の正しさが証明されたのが直近の好業績です。ですから多少、円高に戻るくらいでは業績への影響はたいしたことはありません。

Q.今後有望視される業種を教えてください。

マッチャン様からのご質問

金利が正常化される中、今後有望視される業種を教えてください。

 

回答

ずばり銀行業ですね。金利がメシのたねですから。その金利がこれまでなかった世界で、あれだけの利益を稼いできたのですから、たとえわずかでも金利が復活する世界になれば、相当の利益があがるでしょう。

 

 

Q.造船銘柄はどう思いますか。

株小僧様からのご質問

造船銘柄はどう思いますか。環境規制などで需要が増えると思います。三井E&Sはどうでしょうか。

 

回答

環境規制などで需要が増えるのは間違いありません。重油燃料を硫黄酸化物(SOX)がほとんど出ない液化天然ガス(LNG)に代替することが行われています。LNG燃料にすることで、SOXだけでなく窒素酸化物(NOX)や二酸化炭素(CO2)排出量も削減できます。川崎重工業(7012)などが積極的に手掛けてきました。

さて、お尋ねの三井E&S(7003)ですが、業績は好調ですが、その内訳は東南アジアでコンテナクレーンの受注が好調に推移したほか、建設機械用エンジンや化学プラント向け産業機械の需要が堅調だったことにより、造船とはあまり関係がありません。現在の株価はPER(株価収益率)11倍と割安感がありますが、なにしろ株価変動が激しく、仕手株のような値動きになっています。トレーディングは難しいでしょう。


このコーナーでは、毎週月曜夜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問にチーフ・ストラテジストの広木隆が回答いたします。

今回は2024年3月11日、3月18日、3月25日のセミナーで寄せられたご質問から抜粋して回答しています。

回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。

 

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