前編では、借金600万円から資産4000万円に至った原動力や株主投資を実践するようになった経緯などについて語ってくれた沖縄移住アラサー夫婦さん。後編では、直近の投資戦略はもちろん、お金だけではない、沖縄移住アラサー夫婦さんが大切にしている本質的な「資産」についてもお聞きしました。
総資産の90%は投資。インデックス投資と高配当投資の二刀流をキープ
――それでは、具体的な資産運用についてお伺いしたいのですが、直近のポートフォリオを教えていただけますか?
現金は総資産の約10%で、90%は投資に振り向けています。キャッシュ比率が低いと感じるかもしれませんが、資産額が増えたのに伴い、相対的な現金の比率が下がった形です。
一番比率が高いのは米国高配当株ETFで約40%、次いで、日本の高配当株とつみたてNISAのインデックスファンドが約25%ずつです。
――今後、米国株と日本株の割合を見直したりしていくつもりですか?
現状ではこれくらいがベストと判断しています。ある程度は外貨を持っておく必要があると考えていて、ETFとインデックスファンドを合わせた国外への投資65%を“外貨”と捉え、日本株より高めに設定しています。副業収入や将来受け取る年金は“円建て”ですから、今くらいのバランスがちょうど良いのではないかと思います。
米国高配当株ETFは3本を運用
――米国高配当株ETFはどんな銘柄をお持ちですか?
[SPYD](SPDR®ポートフォリオS&P500®高配当株式ETF、ベンチマークはS&P500高配当指数)、[VYM](バンガード・ハイディビデンド・イールドETF、ベンチマークはFTSEハイディビデンド・イールド・インデックス)、[HDV](iシェアーズ・コア米国高配当株ETF、ベンチマークはモーニングスター配当フォーカス指数)の3種類です。
同じ米国高配当株ETFでもそれぞれ異なる特徴があるので、3つ合わせて1つの大きなファンドを運用するような感覚で、目標利回りを設定し、それぞれの比率を上下させています。
最初の購入時は目先の収入源を増やしたいという思いもあり3つの中で一番利回りの良かったSPYDの比率が高めでした。ただ、SPYDは利回りが高い分、減配リスクもそれなりにあります。今は目先の利回りより中長期的に安定した配当が欲しいので、連続増配しているVYMや、HDVの比率を増やしていこうと考えています。
――日本株は40銘柄近くに分散投資されていますが、保有株のフォローアップはどうされていますか?
決算報告書に目を通す程度ですね。「バイ&ホールド」が基本ですから、業績に多少波があっても売却はしていません。下がり続けて回復の見込みがなければ、手放すことを考えるかもしれませんが……。
一方で、株価が割安になったら、買い増しも検討します。高配当を狙う個人投資家さんの中には「配当利回りは高ければ高い方が良い」「最低でも配当利回りが3~4%はないと」という考えの方もいらっしゃいます。しかし、僕は長期に渡って安定的に保有したいと考えているので、財務が健全で業績が順調に伸びている企業なら配当利回りが2%台でも購入しています。
個別株は配当性向や累進配当に注目
――個別株の場合、銘柄選びの際にはどんなところを見ていますか?
純利益のどの程度を配当に充てているかを示す配当性向や、業績が悪化しても減配はせず、配当水準を維持または増配し続けるといった資本政策(累進配当政策)に注目しています。
投資指標では、配当の原資となるEPS(1株当たり利益)ですね。EPSが年々増加している企業は稼ぐ力がアップしているわけですから増配や株価上昇といったポジティブな変化が期待できます。逆に下がっていたら減配につながる可能性があります。
――投資で失敗したな、と思ったことはありますか?
小さな失敗かもしれませんが、最初につみたてNISAを始めた頃は、今考えれば「どうしてこれにしたんだろう?」と思うような銘柄を選んでいました。投資信託の人気ランキングなどを参考にバランス型ファンドを購入していたのですが、自分の投資の目的を考えるとミスマッチだったと思います。今つみたてNISAでは全世界株式のインデックスファンドを購入しています。
あとは、他の個人投資家さんも同じかもしれませんが、これだけ円安が進んでいることもあり、もっと外国株に投資しておけば良かったと思います。さらに欲を言えば、もっと早く投資しておけば2018年より前の暴落時に安値で仕込めたの、にという思いもあります。
沖縄移住で変化した人とのつながり。「お金以外の資産」の大切さに気付く
――今後の投資や生活については、どのようにお考えですか?
自分たちなりの投資スタイルが一応形になったので、このまま投資は続けていくつもりです。一方で、今僕たちの中で大きなテーマになっているのが「お金以外の資産」です。投資に依存し過ぎると、金融市場で予想外のことが起きた時が怖いですよね。だから、お金以外の資産についても考えておく必要があると思います。
例えば友人。今、畑仕事や釣りに力を入れているのですが、これも友人がきっかけです。同世代の友人に限らず、近所のおじいとつながりができて食べ物を頂戴したりする。まさに、非課税の現物収入ですよ。非課税なのはNISAだけじゃないのです。
頼りになる友人たちがいれば、物価高で生活が苦しくなったり万が一お金がなくなったりしても、助け合って生きていくことができますよね? 沖縄に来てから、そのようなお金以外の大切なことについても考えるようになりました。今後も沖縄を拠点に、友人たちとのつながりを大切にしていきたいと思っています。
――最後に、この記事を読んでくださっている読者にひと言お願いします。
僕たちがセミリタイアを目指す過程では、お金を貯めたり増やしたりすることにばかり目が行っていました。お金があれば幸せになれる、自由に暮らしていけると考えていたのです。
でも、沖縄に来てそうではないことが分かりました。僕らは資本主義社会に生きているわけですが、それに捉われすぎると逆に生きる目的を見失ってしまうリスクもあるのではないかと今は思っています。
会社員時代と沖縄移住した現在とで大きく変わったのが、いろいろよくしてくれる、本当に優しい人たちと出会えたことです。その人たちからお金以外の価値観を学び、僕たち夫婦も人に優しくしたり、喜んでもらったりすることに意味を見いだすようになりました。
自分たちのためだけにお金を使うのではなく、両親に旅行をプレゼントするとか、人のためにお金を使うようにもなりましたね。浪費家だった時代からは考えられないことです。
ですから、僕たちのように移住を考えている人には「住む場所と付き合う相手が変わると、人生が大きく変わりますよ」と言いたいです。僕自身、昔はどうしてあんなにトゲトゲしていたのだろうと思いますから(笑)。
――本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
>> >>【前編】「借金600万円から7年で資産4000万円突破!セミリタイアで沖縄移住の夢を実現 沖縄移住アラサー夫婦さん」
※本インタビューは2023年10月12日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。