米ドル/円 週間予想レンジ:142.00~146.00
メインストラテジー:レンジ取引
・オーバーボートの極み
・上昇ウェッジの終盤
・保ち合いの先行か
アナリシス:
米ドル/円相場は先週高値を再度更新、その後やや反落してから大引けし、週足では「スパイクハイ」のサインを示した。先々週大幅に続伸したことに続く形で、夏枯れの薄商いの中、一段とオーバーボートを果たした模様だ。
もっとも、米長期金利の上昇に伴う米ドル全体の切り返しとリンクした側面が大きかった上、中国の景気後退懸念や人民元安につられた円売りのほうが一段と盛んになったと推測され、すでに限界を果たした可能性がある。
なにしろ、高値再更新はしたものの、7月安値を起点とした「上昇ウェッジ」のフォーメーションはむしろ強化され、先週後半の反落をもってその限界を示唆したと見られる。先々週の高値更新がしばらく構造上の強さを示したため、先週の高値再更新自体はサプライズではなかった。
しかし、従来の見方も維持される。即ち、薄商いだからこそ、買われ過ぎというのか、オーバーした値動きになりがちである。この視点において、まず確認しておきたいのは、7月安値を起点とした切り返し自体が最終段階にあること、次に、145円関門以上の定着は難しいこと。このような先週の見方は今週にて検証されるだろう。
大きな視点としては、やはり米ドル全体(米ドル指数)との連動があるだろう。同指数は7月18日から一貫して切り返してきた。しかし、週足における状況は米ドル/円とほぼ同様で、連続5週間の陽線引けが切り返しの最終段階と暗示され、一時のオーバーがあっても、米ドルショート筋のカバー(買戻し)が主因であったと推測され、近々頭打ちを果たすと思われる。
日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化自体は円売りの材料ではなかった。従って、米ドルのショート・カバーが一巡した後、これから材料の蒸し返し(即ち円買い)があってもおかしくはない。とはいえ、7月28日の大陽線は、その存在感が大きい。同日のサインを否定するには、何らかの大きな材料が必要と思われ、目先としてはなお均衡を保てる公算が大きい。あくまで高値圏での保ち合いの先行を有力視し、性急な売り転換はないだろう。
豪ドル/円 週間予想レンジ:92.50~95.00
メインストラテジー:押し目買い
・再三底確認を
・底割れ回避へ
・均衡状態を保つ
アナリシス:
豪ドル/円相場は先週再度反落し、先々週の上昇幅を帳消しした。もっとも、保ち合いの一環と見なし、想定範囲内であったが、弱含みの展開であることには間違いない。
というのも、先々週に切り返し、陽線で大引けした。同週値幅こそ限定だったものの、底割れ回避という意味では大きな存在感を発揮し、これからの均衡状態を作り出したところで、本来続伸しやすい環境にあったのだと思う。
この前は再度波乱し、一旦95.86円をトライしたものの、一転して大幅反落し、週足では「スパイクハイ」の大陰線を形成した。さらに、7月最終週の週足ではより値幅の大きい大陰線を形成したことから「インサイド」のサインが形成され、先週までの値幅を含めて同サインを形成中と見なし、レンジ変動の状況とはいえ、上値打診があってもおかしくなかった。しかし、豪ドル対米ドルの「底割れ」で豪ドル対円の再調整をもたらし、保ち合いの一段延長を容儀なくされた。
とはいえ、総じて悲観的に見てはいない。これまで強調してきたように、週足における「インサイド」、母線の「スパイクロー」のサインに鑑み、弱含みとはいえ、基調が崩れたことでベアトレンドへの復帰を認めなかった。この視点において、先週の値動きをあくまで途中の波乱とみなし、底割れには至らないだろう。
豪ドルの頭の重さを想定していたが、底割れではなかったこともこれまで繰り返し解説してきた。また、6月高値の97.75円を起点とした反落は、あくまで調整子波の位置付けであると繰り返し強調してきた。日銀会合後の波乱は、一旦行き過ぎ(92円関門割れ)であった上、7月31日に一旦95.86円まで戻り、7月28日罫線の意味合いを証明したと解説していた。
同日は典型的な「スパイクロー」のサインを点灯し、また大引け値をもって大幅切り返しを果たしたため、事実上「フォールス・ブレイクアウト」、即ち安値トライ自体が「ダマシ」であったことを証明し、調整子波の完成が想定できたわけだ。
そのため、8月8日に再度「強気リバーサル」のサインが点灯され、また95円関門直前までの上昇をもたらし、一段と底割れ回避を示唆した。先週8月18日の安値を一旦トライしたものの、その下に定着しない限り、なお支持として認識され、また今週の値動き次第では強化されるだろう。言い換えれば、弱気変動があっても再度支持を得られやすいタイミングに差し掛かっている。
豪ドル/米ドルの不安定で強気変動へ復帰するには時間がかかるかもしれない。しかし、クロス円における円買いの本格化は目先の状況では考えにくいため、あくまでレンジ内における押し目買いのスタンスで臨みたい。