米ドル/円 週間予想レンジ:135.50~138.00

メインストラテジー:押し目買い&高値追い

・米デフォルト懸念でも堅調
・135台維持で上値志向
・米ドル全体をリードする役割

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週切り返し、陽線で大引け、また先々週の陰線と「インサイド」のサインを形成していた。このサイン自体が続伸の蓋然性を示しており、今週も上値志向を強めていくだろう。

もっとも、先々週は波乱した。一旦137円前半をトライしたものの、その後大幅に反落し、133.50円の支持を確認した。米利上げ以降の米金利低下につられた形であった上、米デフォルトの可能性が囁かれたことも大きかった。

しかし、米デフォルト懸念があっても、その現実性については、ほとんどの市場参加者が認めていないと思う。言ってみれば、米国は本格的なデフォルトを発生させるわけがなく、デフォルト懸念があっても「政府と議会の対立による誤算」と認識されるだろう。この意味合いにおいて、本格的な危機とは質が異なるため勘違いされてはいけない。

さらに、皮肉にも米デフォルト懸念が浮上してきたからこそ、米国債が売られて米金利の切り返しをもたらし、結果的に米ドルが買われる展開となった。米ドル/円は米ドル全体をリードする形の上昇となり、また135円台の大引けをもって一段と上値をトライできる環境を構築できたとみている。

米ドル全体の切り返しは、米ドル対円の上昇、即ち円売りの再開自体が自然な成り行きだとみている。なにしろ、4月28日の日銀会合後、政策不変を受けた円売りが再燃し、また植田日銀総裁の発言(政策修正に急がない趣旨)で一段と加速したところ、メイン基調を確立したわけで、途中の波乱があっても円売りトレンドは不変であったため想定範囲内と言える。

3月高値の137.92円に先々週再接近していたこと自体もその前兆であった。先々週高値トライ後反落して大引けし、週足では陰線で大引けしたが、一旦続伸したことは十分評価でき、上値志向はなお強く、先週の切り返しを当然視するわけだ。

さらに深く掘り下げてみると、3月安値を起点とした上昇波動において、4月第1週のみ陰線引けであった。しかし、4月第1週は小幅変動に留まり、また陰線で大引けしたところで、本来さらなる保ち合いの延長があってもおかしくなかったが、その後の続伸で強気変動を確認できたことで、これからの続伸を示唆していた。

さらに、4月12日や14日に米生産者物価指数(PPI)や米消費者物価指数(CPI)といった経済指標のリリースで米ドルが一旦売られたこともあったが、本来さらなる安値のトライがあっても許容範囲であった。しかし、その後米金利の一旦安値が更新されなかったことから、米ドル/円はドル指数の値動きと乖離し、結果的に再度切り返しを果たしたところで強気変動のサインと解釈された。133円関門割れなしではブル基調を維持できることもこれまで強調してきた通りであり先週の切り返しはその流れの一環とみている。

先週の日足を観察すればわかるように、5月12日の大陽線があって、5月10~12日の組み合わせは、「明けの明星」に近い強気のサインと解釈され、これからの上値トライを支持する土台となってくるだろう。136円後半のトライがあれば、138円の大台が見えてくる。今週高値を追う展開もあり得るだろう。

豪ドル/円 週間予想レンジ:90.00~95.00

メインストラテジー:押し目買い

・波乱が続くが底堅い展開
・90円大台維持が肝心
・強気変動でも基調を維持

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週反落、週足では陰線で大引けし、また先々週と「インサイド」のサインを形成した。もっとも、3月安値からの切り返しが継続しており、先々週に高値更新したばかりだったため、先週の反落を途中のスピード調整と位置付ける。

先々週の続伸は、また一旦92.45円をトライしたところが大きかった。その後反落したものの、大引けは91円関門を維持し、地合いの堅調を示唆していた。先週高値トライに一旦失敗したように見えたが、地合い固めという意味合いではむしろ歓迎されるべき値動きだとみている。

もっとも、この前の豪ドル/円の切り返しは日銀会合後の円売りに依存していた側面が大きかったが、先々週の続伸でもはや強気構造の証明、といった側面が大きかった。先週高値を追う展開になってもおかしくなかったが、先週の保ち合いは強気変動に一環とみている。

言ってみれば、4月末に底割れを回避し、地合いをさらに大きく改善したことは間違いなかった。先々週の続伸で同地合いを証明した上、さらに上値志向を強めていたため、上値トライがあるとすれば、むしろこれからなので、先週の保ち合いがあっても基調は維持されるはずだ。

91円関門ブレイクの有無が焦点と化していたが、先々週に同水準を一旦クリアし、また同関門以上の大引けがあったことは重要なサインであった。先週の反落があっても、そのサインを否定したわけではなく、引き続き弱気変動構造にあることを確認できる。

なにしろ、3月末から一旦大きく切り返し、この前の下落幅を取り戻したところが大きかった。3月の安値トライ自体が、「ダマシ」であった可能性を想定していた。その後の切り返しや一旦91円関門手前までのトライは、証拠材料としての存在感が大きかっただけに、先々週の上放れは想定通りであった上、重要な値動きであった。

言ってみれば、3月に一旦86.06円の安値打診をもって「底割れ」の様子を呈していた。「底割れ」とは2022年12月安値の割り込みのことであるが、同基準で測るなら、そこから基調の一段悪化も覚悟していた。その後の切り返しや一旦91円関門直前のトライを一連の上昇波における連鎖と理解したところも正解であり、これからの上値志向を想定できたわけだ。

そのため、先週90円関門を巡る攻防があっても地合いの悪化とは言えない。5月2日の「スパイクハイ」のサインがあっても、また同日高値の92.45円からの反落があっても基本は変わらなかった。従って、5月5日の大陽線もあり、これから前述の「スパイクハイ」を否定するような値動きになっていくだろう。要するに、5月2日のサインがこれから「ダマシ」となる公算が高く、さらなる高値更新があれば、一段と上値余地を拡大する見通しである。先週の反落や保ち合いがあったからこそ、一段と上値トライの機運を強めている。