米ドル/円  日足

週間予想レンジ:106.00~108.00

メインストラテジー:レンジ取引

・調整の範疇だが、モメンタムの欠如も目立つ
・主要クロス円の調整と合わせた値動きは続く
・5月安値割れの有無が基準、「ダマシ」も警戒

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成
 

アナリシス:

先週小幅続落、調整の延長となり、その範疇における値動きであった。一方、先々週の継続という位置付けとして理解されやすく、ほぼ先々週の罫線の実体部分以外に留まったことに鑑み、明らかにモメンタムの低下が見られた。そのため、先々週安値106.57円割れの有無が注目され、トライがあれば5月安値105.98円の再打診も覚悟しておきたい。

もっとも、先週のモメンタムの低下で今週の切り返しも想定できるが、先々週の下落幅に鑑み、強いリバウンドを展開する可能性も小さいと思われる。週足では「インサイド」のサインを点灯した以上、一旦下放れがあってもおかしくなく、それを回避できたとしても当面、値幅限定の公算。

しかし、仮に保ち合いに留まる場合、それ自体がサインと化するだろう。何しろ、先々週の大幅続落や6月第1週の値幅を帳消ししていたので、先週の続落に続き、安値更新さえ回避できれば、中段保ち合いの位置づけも一段と強化される。先週のコラムで指摘したように、先々週からの反落は、一種の「振り落とし」と見るべきで、安値再更新の回避で「振り落とし」の終焉を示唆することも考えられる。

その背景には、既述のように、ひとつは米ドル/円とドルインデックスの連動性に復帰していたこと、もうひとつは短期スパンにおけるターゲットを一旦達成したことが挙げられる。今週も値幅限定なら、あくまで調整の範疇にあり、調整が一巡した後の復帰、即ち上値トライが想定できる。換言すれば、5月安値105.99円割れなしでは3月安値を起点とした上昇波自体が維持され、ロングポジションの減少で却ってこれからの上昇に弾みがつくことが推測される。

5月11日の陽線は前記「下落ウェッジ」の上放れを果たしただけに、同安値を守れるかどうかは引き続き焦点である。割り込みがあれば前記推測の基盤を弱め、一時にせよ、5月安値の一時割り込み、即ち106円関門の一旦割れも覚悟すべきであろう。いずれにせよ、モメンタムの拡大がなければ、上限の打診自体が再度「ダマシ」のサインを点灯する可能性も大きいから、注意しておきたい。

とはいえ、ドルインデックスとの連動性から底割れの回避も想定できるから、先々週からドルインデックスの切り返しは先行指数とみる。半面、ドルインデックスの切り返しの継続でクロス円における外貨安・円高の圧力も想定されるから、総合的な影響は中立的だと思う。

より長い視点では、5月安値の割り込みさえ回避できれば、3月安値を起点とした上昇波動が継続され、調整子波自体の構造も維持される。中段保ち合いを経て早晩再度110円大台をトライし、新しい段階入りを示唆すると思われる。それはほかならぬ、3月高値から5月安値まで形成された大きな「下落ウェッジ」の一段確認で得られた戻りの余地であろう。テクニカルの視点では、前記のように、教科書の指示通りなら3月高値111.72円の回復を目指す。

3月ドル全体の急伸、「恐怖のドル買い」であれば、その後ドル全体の反落に伴う米ドル/円の反落は一時「買われすぎ」だった状況に対する調整である。そのため、同調整が延長、または拡大があったとしても、3月高値への復帰は早晩確認できるというメインシナリオを維持し、目先調整の範疇にあることを強調しておきたい。

106.60~107.60円は当面の変動レンジ、一時の打破があってもトレンドの推進につながりにくい可能性は前記の通り、しばらく底固めの段階にあるだろう。したがって、レンジ取引のスタンスで臨みたい。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:71.00~74.00

メインストラテジー:戻り売り

・目標達成感により先々週から反落、先週の続落も当然
・行き過ぎに対する修正、なお続く見通しは不変
・200日線前後は支持、一旦割り込みもあり得る

【図表2】豪ドル/円 日足
出所:筆者作成

アナリシス:

先週続落、週足では「スパイクハイ」のサインを点灯、当面の弱気基調を示す。もっとも、豪ドルは我々の想定通り、先々週から大きく反落。先週の値動きをその一環でみる場合はむしろ当然視される。

既述の通り、6月第1週において大きく続伸していたものの、値幅は大きく、一直線に2019年高値76.54円をトライ、また一時ブレイクしたことは意外であった上、上昇波自体のスピード違反の疑いが強かった。3月安値からほぼ一直線に急伸してきただけに、何等かの形でスピード調整の先行が想定されていたから、先週の続落をその一環と位置づける。また先々週の安値を更新していなかったから、なお進行中であろうと推測される。

200日線との乖離については繰り返し指摘してきた通り、先週の続落があっても同線の打診や割り込みがなお確認できず、更なる反落の余地を示唆。許容範囲として、一時にせよ、200日線72.30円の割り込みを覚悟。また割り込みをもって更なる反落の余地を拓くだろう。71円関門の再打診を射程圏に収める。

日足では6月16日の「スパイクハイ」のサインは鮮明、6月11日大陰線の高値を一旦ブレイクしただけに、その後の反落や軟調は再度弱気のサインを点灯。これから72.50-60円割れをもって反落の余地を一段と拓くだろう。豪ドル/ドル次第だが、70円台の打診も覚悟しておきたい。
とはいえ、繰り返し指摘してきたように、コロナショックで3月19日まで大きく続落。一時60円の心理大台を割り込んだこと自体が豪ドル安のクライマックスだった。

また、年初来高値を一旦更新したことに鑑み、切り返し自体はもはや調整波ではなく、推進波として数えるから、途中のスピード調整があっても、また調整幅の拡大があっても、ブル基調を維持できる公算。大袈裟な解釈もいらないかと思う。

その理屈は繰り返し指摘してきた通り、コロナショックと相まって、恐怖のドル買いやドル・クランチの進行で豪ドルは資源国通貨として売られやすい側面が大きかった。従って、6月第1週までの急伸で売られすぎに対する修正を完全に果たし、2019年年末の高値更新やブレイクは証左のサインと見なせる。すなわち、3月安値を起点とした上昇波はメイン変動と見なせるし、すでに新たな段階に入ったとも言えるので、調整があってもメイントレンドは不変である。

先週の値幅は小さく、先々週と「インサイド」を形成しただけではなく、6月第1週の大陽線とも同じサインを点灯している。ゆえに、完全に71.55円(6月第1週安値)を下回った場合、調整波の拡大が想定され、70円大台の打診や一時割り込みも想定される。反面、割り込みを回避できれば、調整の早期完成を意味し、早期高値の再打診につながる。

豪ドル対米ドルのV字型反騰と同様、株式市場のパフォーマンスや市場心理に依存する側面も大きく、場合によっては変動幅の一段の拡大を覚悟しておきたい。とはいえ、70円心理大台前後さえ守れば、3月安値を起点としたブル構造の総崩れになりにくいから、上昇波のメイン基調は強化されるだろう。途中の調整の拡大、中長期スパンにおけるロング筋にとって、むしろ押し目買いの好機と映すことも不変であろう。