米ドル/円 日足
週間予想レンジ:107.00~109.00
メインストラテジー:押し目買い
・急速な反落はロングポジションの振り落とし
・主要クロス円の調整と合わせた値動き
・5月安値割れなしでは強気構造を維持
アナリシス:
先週大幅続落、先々週の値幅を帳消しした。株の調整と並行した値動きと思われるが、週明けから大きく反落、一種の「振り落とし」と見るべきか。その背景には、主に以下の二つの要素を控えていたと推測される。
ひとつは米ドル/円がドルインデックスの連動性に復帰していたこと、もうひとつは短期スパンにおけるターゲットを一旦達成したこと。前者に関して、5月末~6月始の段階における完全な逆行や乖離が続かず、米ドル全体の弱気変動に追随してきた側面は大きい。後者に関しては、4月6日109.39円の一旦ブレイクをもってこの前日足における「下落ウェッジ」の第一目標を達成したことが挙げられる。
一方、5月11日安値106.54円を守ったところ、あくまで調整変動と見なし、急速かつ大幅な反落はロングポジションの「振り落とし」とも推測される。換言すれば、5月安値105.99円割れなしでは3月安値を起点とした上昇波自体が維持され、ロングポジションの減少でこれからの上昇に弾みがつく可能性も大きい。
5月11日の陽線は前記「下落ウェッジ」の上放れを果たしただけに、同安値を守ったところは大きなサインとみるが、5月29日安値107.07円を一旦割り込んだだけに、想定より深い押しとなったことも事実。従って、底割れを回避して切り返しが継続しても、当面頭の重い展開をまず覚悟しておきたい。
ドルインデックスとの連動性から底割れの回避を想定できる半面、ドルインデックスの切り返しの継続でクロス円における外貨安・円高の圧力も想定される。まず中段保ち合いを形成、その後再度上放れのタイミングを伺う、といった展開を有力視。
もっとも、一旦4月高値の更新をしていただけに、今回の試練でより底固めになる蓋然性も高い。前記のように、5月安値の割り込みさえ回避できれば、3月安値を起点とした上昇波動が継続され、調整子波自体の構造も維持される。中段保ち合いを経て早晩再度110円大台をトライし、新しい段階入りを示唆することも考えられる。
新しい段階はほかならぬ、3月高値から5月安値まで形成された大きな「下落ウェッジ」の一段確認で得られた戻りの余地であろう。テクニカルの視点では、前記のように、教科書の指示通りなら3月高値111.72円の回復を目指す。
繰り返しとなるが、米ドルの強気基調、5月6日にて106円関門前後の支持を守ったことが始まりであった。激動の3月に対する反動という位置付けでは、5月安値をもって完了、また同安値からすでに新たな上昇の段階に入ったことが先々週の大幅続伸で確認され、ブル基調に復帰した認定できるから、先週の反動が急速であったものの、切り返しの構造を否定するまでには至らなかった。詰まる所、3月米ドル全体の急伸、「恐怖の米ドル買い」であれば、その後米ドル全体の反落に伴う米ドル/円の反落は一時「買われすぎ」だった状況に対する調整なので、同調整が延長、または拡大があったとしても、3月高値への復帰は早晩確認できる。
リスク要素として、先週末の陽線が一日のみとなり、再度安値割れがあれば、先週高値からの反落波の一段拡大が想定され、5月安値の割り込みを果たすだろう。しかし、この場合でも3月高値を起点とした調整波の拡大と見なすから、大型ジグザグ変動パターンの一環と位置付ける。もっとも、5月安値割れなしではこういった見通し自体も早急、今週まず保ち合いの先行を果たす公算。
豪ドル/円 日足
週間予想レンジ:71.50~74.50
メインストラテジー:レンジ取引
・目標達成感から先週の反落は想定範囲内であった
・行き過ぎに対する修正、今後も続く可能性
・200日移動平均線前後は支持、一旦割り込みもあり得る
アナリシス:
豪ドルは我々の想定通り反落してきた。前回のコラムでの指摘の通り、先々週大きく続伸していたものの、値幅は大きく、一直線に昨年高値76.54円をトライ、また一時ブレイクしたことは意外であった上、上昇波自体のスピード違反の疑いが強かった。3月安値からほぼ一直線に急伸してきただけに、何等かの形でスピード調整の先行が想定されたから、先週の反落はその通りであったと言える。
もっとも、スピード調整の一環として位置付けるが、短期スパンにおける継続がなお想定される。200日移動平均線との乖離は先週の指摘の通り、目先までの反落があっても同線の打診や割り込みがなお確認できず、更なる反落の余地が示唆される。先々週までの切り返しが急であっただけに、反落波の早期終焉も考えにくく、許容範囲として、一時にせよ、200日移動平均線72.25円の割り込みを覚悟。
とはいえ、繰り返し指摘してきたように、コロナショックで3月19日まで大きく続落、一時60円の心理大台を割り込んだこと自体が豪ドル安のクライマックスだったこと、また年初来高値を一旦更新したことに鑑み、切り返し自体はもはや調整波ではなく、推進波として数えるから、途中のスピード調整があっても、ブル基調を維持できる公算。あくまでスピード調整と位置付ける。
その理屈は繰り返し指摘してきた通り、コロナショックと相まって、恐怖なドル買いやドル・クランチの進行で豪ドルは資源国通貨として売られやすかった側面が大きかった。従って、先々週までの急伸で同売られすぎに対する修正は完全に果たし、昨年年末の高値更新やブレイクは証左のサインと見なせる。換言すれば、3月安値を起点とした上昇波はメイン変動と見なせるから、新たな段階入りとも言える。
もっとも、先週の反落自体が推測されやすかった。先週の指摘の通り、75~76円台の打診自体は日足におけるフォーメーションの解読ですでに推測されていたため、目標達成感で一旦反落してくることはむしろ自然な成り行きであったと考える。調整波自体の継続や拡大があっても、豪ドルの強気変動はこれから継続できる公算。
先々週の大陽線自体の値幅に鑑み、先週の値幅は比較的に小さかった。週足では「インサイド」のサインを点灯、先々週安値71.55円の割り込みなし(一時の下放れを除く)では、途中のスピード調整として許容範囲、また前記「インサイド」のサインの確認で再度上値トライの蓋然性を示唆しよう。反面、完全に71.55円を下回った場合、前記サインの消滅で調整波の拡大が想定され、70円大台の打診や一時割り込みも想定される。いずれにせよ、調整波の進行はしばらく続き、再度高値トライまで時間がかかると考えられる。
豪ドル対米ドルのV字型反騰と同様、株式市場のパフォーマンスや市場心理に依存する側面も大きく、場合によっては変動幅の一段拡大も覚悟。とはいえ、70円心理大台前後さえ守れば、3月安値を起点としたブル構造の総崩れになりにくいから、上昇波のメイン基調は不変。途中の調整の拡大、中長期スパンにおけるロング筋にとって、むしろ押し目買いの好機と映るだろう。