ライフプランと余裕資金の確認は必須

いつかはUターン転職してみたい、既婚30代の田中さんが夢や希望を実現するためには、お金がいくらかかるでしょうか。そのようなことも考えて、余裕があるうちに準備をしていくことが大事です。

いつかはUターン転職してみたい、今の仕事が楽しい既婚30代女性。会社の財形貯蓄はしているが、もっと貯蓄を増やせる方法ある? 

【プロフィール】
名前:田中葵(仮名、31歳・既婚・夫と二人暮らし) 
職業:会社員(年収400万円)
貯蓄:100万円(一般財形) 

【現在の状況】
・地元に戻って地方創生をしてみたい
・週末ボランティアに充実感を持つ
・会社の財形で天引きしていたらまとまった額になっていた
・キャッシュレス、家計簿アプリを使いこなしているが、節約や貯蓄額を増やすために何かしているわけではない
・仕事は続けるつもり、30代で出産するだろうがライフイベントとして想像がつかない

>>(前回)「地元に帰りたい既婚共働き30代女性「転職、出産で貯金が底をつく?」

より効率的にお金を増やせるようなシステム作りをしていく上で、まず確認すべき点としては、以下になります。

1.夫婦で今後のライフプランについて話し合う
2.お互いの貯蓄残高、今後の資産形成プランの確認
3.これまで財形貯蓄に天引きされていた金額の他に余裕資金がないか、家計簿を再チェック

幸い、田中さんは家計簿アプリの活用により収支の確認はすぐでき、共働きのため資産形成の元資金を作りやすい状況といえます。

財形を続けるか否か、会社の制度も確認する

次に財形を継続すべきかどうかの確認です。

前回の「地元に帰りたい既婚共働き30代女性「転職、出産で貯金が底をつく?」」でも書いたとおり、現在の超低金利下においては、一般財形は天引きができる点以外は通常の預金とほとんど変わりありません。ただし、勤務先の財形制度に、貯蓄奨励策としての「財形給付金制度」や「財形基金制度」があるかどうかの確認はしましょう。

いずれの制度も仕組みだけが異なるもので、社員にとっての経済効果としては同じです。簡単に両制度を説明すると以下の内容になります。

「会社は、毎年、財形貯蓄を行う社員1人につき10万円を上限として拠出を行い、7年経過ごとに拠出金と運用益の合計額を、前者(財形給付金制度)であれば財形給付金として、後者(財形基金制度)であれば一時金として社員に支給する」(独立行政法人 勤労者退職金共済機構 勤労者財産形成事業本部のウェブサイトより抜粋・編集)というものです。

社員が受け取る満期基金給付金は一時所得扱いとなり、50万円までは非課税になります。そのため、この制度を導入している会社にお勤めであれば、一時金が受け取れるだけでなく、財形自体にも税制メリットがあります。また転職した場合も、同様の制度がある会社であれば継続することは可能です。そういった点もライフプランと照らし合わせて検討すべきでしょう。

老後資金を作りたいならiDeCoを活用。会社によっては他にも有利な制度が?

さて、資産形成の目的が老後資金と明確な場合であれば、月々お金(掛け金)を拠出しながら、税制上のメリットを多く享受する方法としてiDeCoがあります。iDeCoの場合も会社によっては前述の財形奨励制度のような制度があります。

それは、従業員が加入しているiDeCoに会社が掛金を上乗せして拠出できる「中小事業主掛金納付制度」(「iDeCo+」(イデコプラス))です。ただしこの制度は企業年金を実施していない従業員数100人以下の中小企業に限られます。

iDeCoの場合、60歳までは原則途中引き出しができないため、老後資金を強制的に蓄えることができます。財形を継続してもしなくても、ねん出した余裕資金でiDeCoによる運用を始めることは長期的な老後資産形成に大きなプラスになります。もし途中換金したいのであれば、運用益非課税のつみたてNISAも良いですね。

財形のまとまった資金を活かすならNISAも

財形を継続しない判断をするのであれば、100万円というまとまった金額の運用には1年間の投資上限が120万円までで運用益が非課税、かつライフプランによっては途中換金できるNISAが良いでしょう。

いずれの制度もそれぞれに指定されている投資信託や株式などの投資商品を選択することで、利金に頼らない運用益が期待でき、税制メリットがあります。掛金は自動引き落としを設定できますので、給料日に設定すれば天引き同様に運用の継続が可能です。

運用に回せるお金を毎月ねん出し、運用方法を選択することで、資産形成を大きく加速させることが期待できますね。