転職、Uターンは現在の年収や資産額も考慮して

30代に入ったばかりの田中さんは意識高い系のミレニアル世代です。地方創生やボランティアに関心が高い様子。同時にファッションにも興味があるようにも見受けられます。

地元に帰るとなると生活が大きく変わります。現在の仕事は好きということですが、転職するのか、起業したいのか、出産を含めライフイベント全般について、ご夫婦で具体的には固まっていない様子。

いつかはUターン転職してみたい、今の仕事が楽しい既婚30代女性。会社の財形貯蓄はしているが、もっと貯蓄を増やせる方法ある? 

【プロフィール】
名前:田中葵(仮名、31歳・既婚・夫と二人暮らし) 
職業:会社員(年収400万円)
貯蓄:100万円(一般財形) 

【現在の状況】
・地元に戻って地方創生をしてみたい
・週末ボランティアに充実感を持つ
・会社の財形で天引きしていたらまとまった額になっていた
・キャッシュレス、家計簿アプリを使いこなしているが、節約や貯蓄額を増やすために何かしているわけではない
・仕事は続けるつもり、30代で出産するだろうがライフイベントとして想像がつかない

Uターン転職となると待遇が変わる可能性にも注意が必要です。国税庁の「民間給与実態統計調査」(平成30年分)によると30~34歳女性の平均給与は3,147,000円です。男女合わせての平均で4,101,000円、現在の田中さんの年収と変わりません。

もちろん地域、会社の規模等によっても変わりますが、地方より大都市、企業規模も大きいほど条件が良い傾向はあります。現状の年収レベルが全国平均から見ると比較的恵まれていることをまずは再認識しましょう。

さて、将来設計がどのようになってくるにしても、誰にでも老後はやってくるものですし、様々なライフイベントに備えるためにも資産形成はしておく必要があります。

夫婦で「自由な2つの財布」になっていない?

今回いただいた情報からですとご夫婦間での生活費の分担状況等は分からないのですが、ちょっと心配なのは子どものいない共働き夫婦にありがちな「自由な2つの財布」状況です。

シングル一人暮らしより、共働き二人暮らしの方が経済的に楽になり、それぞれ相手が将来のために貯蓄しているだろうと考えて、自分の収入を使い放題にしてしまうケースがあります。世帯収入が高めの家計であっても貯蓄がほとんどないということも。

今後、出産や子育てもあるだろうとのことですし、地元に帰ることで収入が減ることも考えられます。現在、財形(一般財形)で100万円の貯蓄ができていますが、転職や引越、出産など何かあればあっという間に使い切ってしまう金額でもあり、今のうちにもう少し増やしたいところですね。

収入からの先取り積立は貯蓄の優等生

給与から天引きする方法は貯蓄をしていく上では大変良いことなのですが、一般財形は特に非課税措置もなく、普通預金を積み立てているのと変わりありません。また、転職を視野に入れるのであれば、今後は会社の財形頼みよりは自分自身が主体的に行う資産形成を考えていく方が良いでしょう。

キャッシュレス決済や家計簿アプリなどを使いこなしているという点はすばらしく、自身の無駄遣いを節制できる状況です。少なくとも給料日までに預金残高がゼロになるようなことはないはず。少し意識すれば、現在の月々の天引き以外にも毎月積み立てていくことは難しくないでしょう。

まずはライフプランをもう少し具体化して、資産形成の目的と時期をはっきりさせましょう。

・ 近い将来の転職・Uターンなどに備える資金作り
・ 出産・養育、教育費用の資金作り
・ 住宅購入などの資金作り
・ 老後の資金作り

夢や希望の実現のためにはお金がかかることも考えて、余裕があるうちに準備をしていくようにします。

上述の通り、財形には天引きという魅力はあるものの、一般財形貯蓄ではお金はほとんど増えてはくれません。もう少し、増えやすい仕組み、有利な制度の活用をすることで何年後かの資産額に大きな違いが出てくるはず。次回、そうした取り組みについてご紹介しましょう。