投資初心者には、リスク分散の観点からも、感情に左右されない積立の活用などをお勧めしています。

そこからより高い効果、資産形成を求めるのであれば、もっと積極的に投資と向き合っていただきたいところ。つまり、「投資のチャンスを見極めて資金投入する」という投資の醍醐味に取り組むということです。
 

相場の変動要因

投資のチャンスとは、相場が動くタイミングを捉えることです。読み間違えると大きな損失にもつながるため、基本を知り、情報を集めることが必須です。相場の変動要因は数多くあり、代表的なものは以下になります。

  1. 景気動向(経済指標・金融政策の発表)
  2. 政治・国際情勢(要人発言)
  3. 自然災害・天候
  4. 投資家心理(行き過ぎた相場の修正)

1を、そして2、3も含めて広義のファンダメンタルズ要因と言います。経済活動、景気動向、それに影響を及ぼすものを踏まえて、今後の相場動向を予測します。その際、状況判断の材料となる主なものが各種経済指標や金融政策(金利動向)になります。4については値動きをチャートで分析するテクニカル要因と呼ばれるものもあります。

主な経済指標

ファンダメンタルズ要因に注目する市場関係者も、全ての経済指標に反応しているわけではありません。注目を集めるものとして主に以下の指標等が挙げられます。

・米国雇用統計(参考:米国雇用統計の重要性)
・金融政策(参考:解説!政策金利と金融政策)
・国内総生産(GDP)
・消費者物価指数(CPI)
・鉱工業生産
・日銀短観
・各種景況感指標

経済指標は事前に予想が出回り、それよりも良いか悪いかで実際の相場が動くことが多いです。

例えば、以前のコラムで解説した米国雇用統計では、2021年4月の発表で非農業部門雇用者数が予想の100万人に対し、26.6万人であり、大幅に「悪い」結果でした。前月からも大幅な下落であったため、発表直後に為替市場では米ドルが円に対してもユーロに対しても急落しました。もし米ドルをロング(買い持ち)にしたままのんびりしていれば、確実に取り残された場面です。

消費者物価指数(CPI)

物価の安定は私たちの暮らしを健やかにするだけではなく、持続的な経済成長を実現するために不可欠な前提条件です。各国の中央銀行の最大の使命の1つが物価の安定で、そのために様々な金融政策を行います。

物価、インフレ状況を表す経済指標である消費者物価指数(CPI)は非常に重要で、金融政策の判断材料になっています。金利動向に直結するため、為替市場の値動きの大きな要因にもなります。

消費者物価指数の項目や算出方法は国ごとに違いがありますが、主要国ではほぼ毎月発表され、発表項目の中では季節による価格変動が大きい生鮮食品を除いた「コア指数」が特に注目されます。

日本では総務省統計局より、以下の要領で公表されます。

・全国の前月分指数…原則として毎月19日を含む週の金曜日 午前8時30分
・東京都区部の当月分指数の中旬速報値…原則として毎月26日を含む週の金曜日 午前8時30分

米国では労働省労働統計局(BLS)より、毎月13日ころ、米国東部時間午前8時30分(日本時間で夏時間21時30分、冬時間では22時30分)に前月分が発表されます。

日本でも物価上昇目標を定めたりしていますが、一般的に物価が上昇する局面というのは景気がよく、消費者の購買意欲の高まっている状況です。金融引き締め策(利上げ)を検討することが予想されます。お金は金利の高い方に流れやすいため、為替市場においても金利が高い方の通貨高になる傾向があります。

逆の状況では金融緩和策(利下げ)が予想されるということになりますが、景気が悪いのにインフレが起こる「スタグフレーション」のように景気動向と物価は必ずしも一致しません。市場における予想やコメントを収集し、他の経済指標も併せて見たうえで状況を判断する必要があります。

相場の変動要因を知り、そこをチャンスと見極めて仕掛けていく。そのためにファンダメンタルズからアプローチをしたり、テクニカル分析をしてみたり、と投資の勉強は奥が深いですが、そこも魅力の1つと言えるでしょう。