経済の動き、景気の動向が市場に大きく影響を与えていることは自明です。景気動向を見る各種景況感指数には各国に注目すべき指標が存在しますが、日本発の特に重要な指標は日銀短観景気動向指数と言えるでしょう。

日銀短観とは

日本銀行が毎年3月、6月、9月、12月の調査結果を翌月初(12月のみ当月中旬)の8:50に公表しています(※公表予定日は6、12月末頃で、先行き1年間の予定を公表)。

正式名称は「全国企業短期経済観測調査」です。企業の業況や物価動向の現状や先行き(3ヶ月程度)についてアンケート調査・集計し、以下のような計算により「DI」(ディフュージョン・インデックス)という指標に加工したものを発表しています。

DI(%ポイント)=第1選択肢「良い」の回答者数構成比(%)-第3選択肢「悪い」の回答者数構成比(%)

調査対象は全国の資本金2,000万円以上の民間事業会社から約1万社を抽出し、事前に調査協力の承諾を得られた企業だけとしています。

約1万社に及ぶ民間企業の業況感、景気見通しなどの生の声の収集調査によるものですので、日本経済の現在そして先行き状況が把握できるとされています。中でも製造業、大企業(資本金10億円以上)の業況判断DIが注目されています。

景気動向指数とは

内閣府が毎月公表(速報14:00)しています(※公表予定日は先行き4ヶ月分を公表)。

生産、雇用などの重要かつ景気に敏感な指標の動きを統合し、景気の現状把握と将来予測をするために、「CI」(コンポジット・インデックス)と「DI」(ディフュージョン・インデックス)の2種類の指標を作成しています。

CIは構成する指標の動きを合成することで景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定することを目的とし、景気の強弱を見ます。2015年を100とし、前月の指数が大きく増えているような時は景気回復が力強いと判断します。

DIは構成する指標のうち、改善している指標の割合を算出することで景気の各経済部門への波及度を測定します。DIが50を上回っていれば景気拡大、逆は景気後退と方向性を判断します。景気の転換点(景気の山谷)を把握するため、以前はDIを中心に発表されていましたが、2008年4月以降は景気変動の大きさを把握することがより重要と捉えられ、CI中心の公表になっています。

CIとDIにはそれぞれ先行指数一致指数遅行指数という3つの指数があります。先行指数は11種類、一致指数には10種類、遅行指数には9種類の合計30系列の以下の各経済部門を代表する指標により構成されています。

・生産  

・在庫 

・投資

・雇用

・消費

・企業経営 

・金融 

・物価 

・サービス

代表的なものには、先行指数では新規求人数、マネーストックや東証株価指数などがあり、一致指数では営業利益(全産業)、有効求人倍率、輸出数量指数などが、遅行指数では家計消費支出、完全失業率、消費者物価指数などがあり、いずれも重要指標です。

景況感、景気動向というのは景気循環につながる中長期的な分析ですが、今後の流れを予測する上で大変重要であり、発表時には瞬時に市場は反応します。

予測、速報を確実に入手する

このような指標、指数の統計データはそれぞれの発表機関のHPに過去分も含め詳細がありますが、投資をしていく上で大切なのは、データそのもの以上に予測や市場参加者の見方を知ることです。

また、いち早く速報を入手するため、公表タイミングの確認を怠らないようWEB上の経済指標カレンダーは常時チェックできる体制にしておきたいものです。

国ごとの指標の一覧や発表タイミング、重要度別の表示など様々な機能をもつWEBサイトがありますので、ぜひ使い勝手の良いものを探してみてください。投資に限らず、日常生活にも景気は大きく関わります。現状と先行きの方向感はぜひ注意して見ることで経済を身近にしていきましょう。