2026年は、3月に開催されたワールドベースボールクラシック(WBC)に加えて、6月~7月には「FIFAワールドカップ2026」が開かれるなど、大規模なスポーツイベントが目白押し。株式投資には、このような大きなイベントが開催されることで業績が拡大し、それによって株価の上昇を狙う「イベント投資」という手法が存在します。ここでは、サッカーワールドカップ2026を通して、「イベント投資」がどのようなものか紹介しましょう。
スポーツに関連する大イベントで株価上昇を狙う
株式投資には、好業績を期待して株価の上昇を狙う方法や、テクニカル分析によって売買のタイミングを計る方法など、多くの方法があります。その数ある方法のひとつが「イベント投資」。イベント投資とは、文字通り何らかのイベントを背景に相場の上下動(基本的には上昇)を予想し、それによって利益を得ようというものです。
ここでいう「イベント」には、スポーツに関するイベントや経済に関するイベントなど、さまざまなものがあります。たとえば、2026年6月半ばから7月半ばにかけて開かれる「FIFAワールドカップ2026」。「ワールドカップなんて株価に関係あるの?」と思われる人もいるかもしれませんが、ワールドカップのような世界中の国々が参加する大規模なスポーツイベントでは、関連グッズやチケットの販売、放映権、観戦を目的とした旅行客の増加など、ヒト・モノ・カネが大きく動きます。それによって、開催国の景気が上向いたり、関連する企業の業績が拡大したりすることによって、全体相場や個別銘柄の株価に好影響を与えるわけです。
FIFAワールドカップ2026は米国、カナダ、メキシコの3ヶ国共同で開催されます。1国ではなく、複数の国による共同開催は、2002年の日韓ワールドカップ以来、24年ぶり。3ヶ国による共同開催はサッカーワールドカップ史上初です。ワールドカップのようなスポーツ関連イベントで好影響を受けるのは、主に選手のユニフォームやスパイクなどのグッズを手掛ける企業や、スポンサー・パートナー企業、放映権を獲得した企業、広告代理店などが有力候補として挙げられます。
具体的には、サッカー日本代表のサプライヤーとしてユニフォームやトレーニングウェア、スパイクなどを供給するアシックス(7936)。一般的に、ワールドカップのような大規模イベントが株価に影響をもたらすのは、開催までの数年間から開催までと言われていますが、アシックスの株価は2022年以降の4年間、TOPIX(東証株価指数)のパフォーマンスを大きく上回っています。
同様に、サッカー日本代表の選手たちの多くにスパイクを提供する美津濃(ミズノ)(8022)や、日本代表の試合を中継する予定の日本テレビホールディングス(9404)、ワールドカップのキャンペーンを展開するコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(2579)などもTOPIXをアウトパフォームしており、「ワールドカップ関連銘柄」としての威力を発揮していると言えるでしょう。これらの銘柄の多くは、3月に開催されたワールドベースボールクラシック(WBC)にも関連していることから、二重の恩恵を受けた可能性も考えられます。
もっとも、下記の表でもわかるように、関連株の中には伊藤園や電通などTOPIXをアンダーパフォームしている銘柄も見受けられます。つまり、「関連株なら何でも株価が上がる(上がりやすい)」わけではないということ。イベント開催によって何らかのプラス効果が見込まれることは確かですが、個別の事情によって、株価の値動きが期待通りとはならない可能性も考慮しておく必要があるでしょう。
ロス五輪関連としてスポーツ以外から関連銘柄が浮上も
では、サッカーワールドカップ2026の次に控える大規模スポーツイベントはなんでしょうか。同大会に並ぶ規模で考えると、やはり2028年の夏に米国のカリフォルニア州ロサンゼルスで開催を予定している「ロサンゼルスオリンピック(ロス五輪)」でしょう。過去にロサンゼルスで夏季五輪が行われたのは1984年。実に44年ぶりの開催になります。
現在、ロサンゼルスでは五輪開催に向け、巨額資金を投じて地下鉄路線の延長や横断歩道の改良、交通渋滞の解消など公共交通インフラの整備が行われています。2021年に開催された東京オリンピックでは、やはり交通インフラの整備や五輪会場、選手村周辺の開発が進められ、関連する銘柄が人気化しました。
それを考えると、前述のスポーツイベント関連企業に加えて、米国市場で実績を持つ鹿島建設(1812)などスーパーゼネコンを中心に、インフラ整備に関連する企業も注目銘柄として挙げられます。
また、本田技研工業(ホンダ)(7267)はロス五輪のオフィシャルスポンサーとして名乗りを上げ、大会関係者や来賓の移動に使われる自動車のほか、電動スクーターなどのモビリティ製品の供給を発表しました。今後ロス五輪の開催に向け、スポーツ関連以外から注目企業が浮上してくるかもしれません。
2026年、スポーツ以外の注目イベント
イベント投資は、何もワールドカップやWBC、オリンピックなどスポーツに関連するイベントだけではありません。政治や経済に深く関連するイベントも、株式相場や個別の株価に大きな影響を与えるイベントとして注目されます。
目先の注目イベントを挙げると、まず2026年11月3日に開催が予定されている米国の中間選挙。この選挙は、同国大統領の任期(4年)の2年目に行われ、下院は全435議席、上院は3分の1が対象。大統領が就任して2年が経過し、その大統領がどのような政権運営をしてきたかを評価する意味合いがあります。
現在、上院、下院ともトランプ米大統領が所属する共和党が多数派を占めていますが、今回の中間選挙は現状、民主党優勢との報道が多く見受けられます。中間選挙の結果次第では民主党が多数派となる可能性があり、議会にねじれが生じればスムーズな政権運営が困難になるでしょう。そのため、トランプ米大統領は支持率の上昇に向けてあの手この手を打ってくることが予想されます。個人の投資比率が高い米国では、株式相場の上昇が支持率上昇に直結すると言われており、日本の個人投資家も、中間選挙に向けたトランプ米大統領の政策をチェックすべきでしょう。
ほかに2026年中の注目イベントを挙げると、利上げ継続のペースが注目される日銀の金融政策決定会合(4月27・28日、6月15・16日、7月30・31日、9月17・18日、10月29・30日、12月17・18日)、金融政策の大きな転換点となりそうな米国のFOMC(連邦公開市場委員会、4月28・29日、6月16・17日、7月28・29日、9月15・16日、10月27・28日、12月8・9日)、G7サミット(主要7カ国首脳会議、6月14-16日)、FRB(米連邦準備制度理事会)の議長交代(5月15日)など。
それに加えて、超大型IPO(株式の新規公開)として注目される米スペースXの新規上場(早ければ6月)、東京ゲームショウ(9月17-21日)などが、それぞれ株式相場に影響を与えるイベントとして注目されます。
イベント投資では、「そのイベントが開催されることによって、株式相場や個別銘柄の株価にどのような影響を与えるか」を分析することが重要です。場合によっては、「風オケ(風が吹けば桶屋が儲かる)」効果で意外な銘柄が浮上するかもしれません。それも、株式投資の醍醐味の一つと言えるでしょう。
文/新井奈央
