先週(4月20日週)の動き:NY金は3週続伸後の反落で2週間ぶり安値、JPX金は約3週間ぶりの安値
先週(4月20日週)のニューヨーク金先物価格(NY金)は3週続伸後の反落となった。先週末4月24日の終値は4,740.9ドルで週足は前週末比138.7ドル(2.84%)安となった。NY時間外のアジア時間からロンドンの時間帯は売りが先行し4,700ドル台割れで推移した。一時4,672.2ドルまで売られ、これがこの日の安値であるとともに週足でも最安値となった。水準としては約2週間ぶりの安値となる。
週足のレンジは4,672.2~4,854.8ドルで値幅は182.6ドルと前週(4月13日週)の296.7ドルからは縮小した。
長期化するイラン情勢に方針定まらぬトランプ米政権
先週(4月20日週)はイラン戦争が開戦からすでに8週目に入った。圧倒的な軍事力を誇る米国としては、想定外の長期化といえる。パキスタンが仲介役となり、米イラン間の2週間の停戦合意が発表されたのが4月7日のことで、4月21日にその期限が迫った。
双方ともに戦争の収束を探っていると思われ、特にトランプ米大統領にとっては、11月に中間選挙(議会選挙)を控え、ガソリン価格の高騰などから支持率低下が目立っており、自ら招いた状況に苦慮しているのは周知のとおりだ。
停戦期限の4月21日を前に、トランプ米大統領は4月20日ブルームバーグ通信の電話インタビューで、停戦は「ワシントン時間22日夕刻」に期限を迎えるとし「延長する可能性は極めて低い」と語った。その上で米国時間4月21日早朝には、期限までに合意できなければ爆撃再開の「準備ができている」とした。
ところが、同日の株式市場終了後の夕刻になり、自身のSNSへの投稿で一転し、イランとの協議が完結するまで停戦を無期限に延長する方針を表明した。一方、オマーン湾でイラン発着の船舶に対する封鎖は維持するとした。新たな攻撃を控えるようにと仲介国パキスタンから要請があり、それに応じたものという。
一連の流れからは、戦闘を早期に収束したいトランプ米大統領の意向が強く働いており、むしろイラン側はその足元を見て強気のスタンスに転じているとの捉え方が広がった。
米イラン、第2回協議流れ不安定な停戦継続
4月25日にパキスタンの首都イスラマバードにて、イランのアラグチ外相と米ウィットコフ中東担当特使とトランプ米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏が、第2回目の協議を行うとの見方が高まったものの、結局実現はしなかった。イラン側が直接対話に応じなかったことによる。
トランプ米大統領としては、得意のディール手段でもある「脅し」がイランには通用せず、対応にあぐねている状況にある。つまり米側の確たる戦略がないままの不安定な停戦状態が続いている。
その中でいったんは停戦合意を好感(原油価格の安定化→米利下げ観測の高まり連想)し、4月17日には一時21ヶ月ぶりの高値となる4917.7ドルまで買われたNY金だが、4月24日は前述のように、約2週間ぶりの安値4,672.2ドルまで売られることになった。
一時1ヶ月ぶりの高値も週末終値は約3週間ぶり安値
国内金価格は基本的にこのNY金の流れに沿って上下した。先週(4月20日週)の大阪取引所の金先物価格(JPX金)は週足で4週間ぶりの下げとなった。4月24日の終値は2万4646円で前週末比622円(2.46%)の下げとなった。終値では4月2日(2万4207円)以来約3週間ぶりの安値となる。
前述のようにNY金が4月17日に4,900ドル超まで買われた際には、大阪取引所のデータ上は4月20日の日中取引の記録となるが、4月17日の夜間取引にて一時2万5626円まで買われ、3月19日(2万6606円)以来1ヶ月ぶりの高値となっていた。先週(4月20日週)のレンジは2万4599~2万5626円で値幅は1027円となった。
年間1兆ドルを超える利払い費
今週(4月27日週)で開戦から2ヶ月を経過するイラン戦争は、米国財政の誤算と言える。戦費の負担が財政赤字をさらに膨らませるからだ。利払い費はいまや国防費を大きく上回る、年間1兆ドル(約160兆円)超にまで膨らんでいるとされる(2025会計年度の予想値)。トランプ政権がFRB(米連邦準備制度理事会)に対し利下げを執拗に迫る背景の大きな部分が、利払い費の抑制とみられている。
利払い費の急拡大の問題は、政府支出の硬直化の問題でもある。簡単に表現するならば、「何も生み出さない支出」が予算を占拠してしまうのだ。道路などのインフラ整備や、教育や科学技術に投資するなどの「未来のための政策」に回せる資金が、利払いに消えてしまうわけだ。
リーマンショックに代表される金融危機や新型コロナ危機など、一時的なショックによる赤字の拡大はやむなしと言える。ところが、米国財政は利払いのために借金(国債発行)をする状態に急速に傾いている。そのような状況にもかかわらず、無益な戦争を仕掛けて赤字を膨らませ、その上、利下げの機会も消し去る環境を生み出しているわけだ。それでもなお、トランプ米大統領はパウエルFRB議長に対し、即座に利下げするよう求めている。
今週(4月27日週)の動き:日米金融政策決定会合に注目、米インフレ指標と1~3月期GDP速報値に注目
米FOMC、インフレと労働市場の判断に注目
今週(4月27日週)はFRBが4月28~29日の予定でFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催する。4月29日に声明文の発表とパウエルFRB議長の記者会見が予定されている。3会合連続で政策金利を据え置くことがほぼ確実視されている。
注目はパウエル議長の発言内容である、イラン戦争によるインフレ圧力の強さや労働市場の状況をどう捉えているかが注目点となる。4月21日には米上院銀行委員会で、次期FRB議長に指名されているケビン・ウォーシュ元FRB理事の公聴会が開かれた。この件に関して記者会見では質問が出るものと思われるが、パウエル議長がどう答えるか、あるいは発言を避ける可能性もありそうだ。
日銀展望レポートに注目
米国以外でも日銀が4月28日(火)に金融政策決定会合の結果を公表する。大方の予想は利下げ見送りだが、四半期に一度公表される「経済・物価情勢の展望」では、足元の原油高などで物価見通しが引き上げられる可能性がありそうだ。
3月の米PCEデフレーターと1~3月期米実質GDP速報値に注目
米国関連指標では4月30日(木)に、3月の米個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)と1~3月期米実質GDP速報値の発表があり、要注目となる。PCEデフレーターの結果はFRB利下げ観測を左右するため、NY金の手掛かり材料となる。GDP速報値では個人消費と企業の設備投資に注目したい。
引き続きイラン情勢を巡るニュースに金価格は左右されるだろう。今週(4月27日週)のNY金は方向感の出にくい、4,700ドルを挟んだレンジ相場となりそうだ。
