停滞続くJ-REIT価格

J-REIT価格の停滞が続いている。東証REIT指数は3月31日に1,850ポイント割れまで下落した後、4月16日には1,942ポイントまで回復したが4月22日には1,898ポイントとなり、1,900ポイント台を再度割り込んだ。

株式市場はイラン情勢が一時の極度な緊張から緩和に向かいつつあることで上昇し、日経平均株価は4月22日に年初来で15%近く上昇し最高値を更新している。したがってJ-REIT価格の停滞は、投資家のリスクオフの動きが影響しているものではない。

長期国債の利回り上昇もJ-REIT価格の停滞要因のひとつ

利回りを重視する投資商品であるJ-REITは、国内外の長期金利動向の影響を受けやすい。長期国債の利回りが上昇すれば、国債利回りとJ-REIT利回りの乖離幅(イールドスプレッド)が縮小し、J-REIT投資のメリットが少なくなるためだ。4月以降の国債利回りを見ると、日本国債利回りは2.4%程度、米国10年債利回りは4.3%程度と高い水準で推移しており、このことがJ-REIT価格の停滞要因のひとつになっていると考えられる。

さらに国内長期金利の上昇は、業績面への投資家の懸念を拡大させている。金利上昇により、借入金に対する支払利息が増加し、業績悪化に繋がる可能性があるためだ。この懸念はJ-REITだけではなく、好調な株式市場の中で不動産業指数が東証REIT指数と同様の停滞した値動きとなっていることでも示されている。

金利上昇局面では財務面の確認が重要

実際にJ-REITの業績予想では、国内金利上昇の影響が生じている。図表は1月・7月決算の15銘柄、2月・8月決算の14銘柄(※)の前年同期実績と予想分配金の増配率(中央値)の推移を示しているが、次期は減配率が拡大している。

【図表】前年同期比での増配率推移
出所:各銘柄公表資料を基にアイビー総研(株)作成
※TOBの影響が生じているサンケイリアルエステート投資法人(2972)は除外

減配となっている要因は、J-REITの業績予想が保守的であることや次期には物件売却益の剥落が大きく影響しており、さらに金利上昇による支払利息増加も影響している。例えば森トラストリート投資法人(8961)(以下MTR)は、オフィスとホテルを主体とした総合型の銘柄であり、二つの用途ともに好調な賃貸状況であるためインフレにも対応できるポートフォリオとなっている。

しかし前年同期比でMTRの分配金を見ると、当期(2026年8月期)は1.5%の増配となる一方、次期(2027年2月期)は2.3%の減配となっている。次期の減配は、支払利息の増加が影響している。好調な賃貸市場を受けて、オフィスの賃料改定などで52円、ホテルの変動賃料増加で4円、分配金を押し上げているが、支払利息の増加で66円が分配金を減少させる要因となっている。つまりインフレ対応可能なポートフォリオであっても、金利上昇の悪影響を受ける状況にある。

特にMTRの場合は、借入金の調達期間が短いことが影響している。MTRの長期借入金は固定金利比率が高いが、調達期間が短いため各決算期の借換え比率が高い。次期だけで借入金の17%以上が借り換え対象となっている。借換えの場合は、この時の金利情勢の影響を受けるため、支払利息の大幅な増加につながっている。

このように、国内金利上昇は銘柄選択の上で財務面の確認がこれまで以上に重要となる。投資家としては、銘柄選択の際には借入金の固定金利比率だけでなく、借入金の調達期間の確認が重要だと考えられる。