中東情勢の緊張が和らいだとしても、楽観視は避けた方がよいだろう
中東情勢を巡るマーケットの反応に、やや「飽き」が出始めているように感じます。これまでは、パキスタンのイスラマバードで米国とイランの協議が「開催されるのか、されないのか」といったヘッドラインだけで、リスクオン・リスクオフが大きく切り替わる神経質な相場展開が続いてきました。しかし、足元では株式市場、暗号資産市場ともに順調な上昇推移となっており、ファンダメンタルズ面の不透明感とは真逆の値動きが出始めています。
仮にホルムズ海峡の封鎖が解除されたとしても、すでに破壊されたプラントの影響により、資材価格や燃料価格の高騰は一定期間避けられないでしょう。中東情勢の緊張が和らいだとしても、インフレ圧力がすぐに解消されるとは考えにくく、楽観視することは避けた方がよいと筆者は感じています。
相場格言では「セル・ザ・ファクト」という言葉があります。今回も、イラン戦争の中長期的な終結や停戦合意が明確になったタイミングで、むしろ材料出尽くしの反落が始まる可能性があるのではないでしょうか。
そう考えると、停戦合意に向けた交渉が続いている間は、期待先行でリスク資産の買い戻しが優勢となり、緩やかな上昇トレンドが継続する可能性もあります。ただし、その上昇はあくまでヘッドライン主導のショートカバーや買い戻し色が強く、本格的なファンダメンタルズ改善を伴った上昇とは言い切れません。
BTC/JPYは戻り売りトレードを主体に、大きく崩れるタイミングの見極めが必要
BTC(ビットコイン)は200日移動平均線に徐々に向かって上昇
BTC/JPY日足チャート分析です。BTCは徐々に200日移動平均線へ向かって上昇しています。今週(4月27日週)中にはSMA200(橙)が1,300万円付近まで下落してくるものと見込まれ、BTC価格もあと3~4%程度上昇すれば、この水準に到達することになります。
今週(4月27日週)中にこの局面が訪れるかどうかが、まずは注目ポイントとなるでしょう。仮に高値圏で揉み合いになったとしても、来週(5月4日週)中にはSMA200が1,300万円を割り込み、1,290万円付近で推移する可能性があります。したがって、いずれにしてもBTC価格がSMA200に接近するのは時間の問題かもしれません。
過去の値動きを振り返っても、SMA200は重要局面でレジスタンス、あるいはサポートとして機能してきました。今回も久しぶりの200日線まで回帰する展開となるため、テクニカル面では非常に注目度の高いラインです。
ここを明確に上抜けられるか、それとも上値を抑えられて再び反落するのか。短期的な方向感を見極めるうえで、今週から来週にかけてのBTC/JPYの値動きは重要な局面に入っていると考えます。
4時間足チャート:中長期的には上値の重さにも警戒が必要
BTC/JPY4時間足チャート分析です(図表2)。1,200万円台前半までの押し目があれば、短期的には押し目買いを検討する局面ではないかと考えます。ただし、先に上昇してしまった場合は、無理に追いかけて買う場面ではないでしょう。すでに一定程度上昇しているため、上値を追いかけるよりも、押し目を待つ姿勢が重要です。
一方で、2月6日以降、約3ヶ月にわたって上昇相場が継続している点にも注意が必要です。4時間足レベルでトレンドラインを明確に割り込む場合、日足・週足レベルで再び下落トレンドへ転換する可能性が高まります。
そのため、短期的には押し目買いが機能しやすい局面に見える一方で、中長期的には上値の重さにも警戒が必要です。基本的には、戻り売りトレードを主体に、大きく崩れるタイミングを見極めていきたいと考えています。
BTCは200日線への接近というテクニカルイベントを控えており、ここからの上昇余地はあるものの、上値を積極的に追うというよりは、反落局面に備えた戦略を意識したいところです。
ETH(イーサリアム):本格的な上昇転換には時間を要する可能性
ETHはBTCを中心とした自律反発や買戻しが主体に
ETH/JPY日足チャート分析です(図表3)。ETHはBTCと比較して、上昇の勢いが弱い状況が続いています。時価総額の低いアルトコインに目を向けても、完全に横ばい推移となっているものや、すでに下値を割り込んでいる銘柄も少なくありません。
つまり、現在の暗号資産市場では、アルトコイン全体に幅広く資金が流入しているというよりも、BTCを中心とした自律反発、あるいは買い戻しが主体となっている印象です。ETHも若干その流れに支えられているものの、BTCほどの強さは感じられず、依然として上値は重そうです。
ETHの5月の予想レンジは35万~40万円、戻り売りトレードを意識
日足チャートでは、ボトム圏で緩やかな上昇ウェッジを形成しているように見えます。上値の目安としては、このウェッジの上限ラインを意識したいところです。
一方、200日移動平均線はまだ43万円付近で推移しており、40万円付近まで下落してくるには、あと2~3週間程度の時間を要する可能性があります。BTCと比較すると、ETHは200日線との距離感がまだあり、テクニカル的にも本格的な上昇転換には時間がかかりそうです。
筆者としては、今一度ウェッジ下限ラインまで下落し、その後に再び上昇を試すものの、上値を抑えられて本格的な下落トレンドに戻っていくシナリオをイメージしています。5月半ばまでは、現状価格から±5%程度のコアレンジを維持しながら、横ばいの推移になりやすいのではないでしょうか。
ETHについては、コツコツ戻り売りを狙い、下げたところでは利益を引っ張りすぎず、適度に利益確定していく戦略が望ましいと考えます。5月の想定レンジはやや広めに見て、35万~40万円を前提とした戻り売りトレードを意識したいところです。
今週(4月27日週)のポイント
・中東情勢を巡るヘッドライン相場には、マーケット側にもやや疲れや「飽き」が出始めている印象。
・停戦合意やホルムズ海峡開放への期待から、株式市場・暗号資産市場では買い戻し優勢の展開が継続。
・ただし、中東で破壊されたプラントや物流網の影響により、資材価格・燃料価格の高騰は一定期間続く可能性があり、インフレ圧力への警戒は必要。
・BTC/JPYは200日移動平均線に徐々に接近しており、1,290万~1,300万円付近が重要なテクニカルポイントとなりそう。
・BTCは短期的には押し目買いが機能しやすい形ですが、4時間足のトレンドラインを割り込む場合は、再び日足・週足レベルで下落トレンドに戻るリスクも。
・ETH/JPYはBTCと比較して上昇力が弱く、アルトコイン市場全体への資金流入の広がりも限定的。
・ETHは35万~40万円程度のレンジを意識しながら、戻り売り主体で利益をこまめに確定する戦略が有効だろう。
