食料品や日用品、光熱費、家賃など、生活に関わる費用が増え続ける現代社会。NISA(少額投資非課税制度)など長期的な目線で資産を形成するのは大切ですが、その一方で「少しでも収入を増やして生活費の足しにしたい」「食料品や日用品にかかるコストを減らしたい」などと考える人も少なくないはずです。そこでうってつけなのが、株式を保有することで得られる「配当金」や「株主優待」。ここでは、なるべく低リスクで配当金や食料品、日用品がもらえるような、「 家計に嬉しい」銘柄を紹介します。
何十年も安定配当を続ける銘柄に着目する「個別銘柄のほったらかし投資術」
確かに、株式相場は上がるときもあれば下がるときもあるもの。長期間、投資をしていれば、勝つケースもあれば負けるケースもあります。短い期間では、投資を始めるタイミングによって損をしてしまい、その時点で株式投資をやめてしまった人がいるかもしれません。
「投資で資産が減るのが怖い」「日々の株価の上下が怖くて見ていられない」と考える一方で、「少しでも日々の生活費負担を和らげたい」という人におすすめなのが、ここで紹介する生活防衛のための「個別銘柄のほったらかし投資術」。一度購入して持っておくだけで、あとは株価がどう動こうが気にしないという投資法です。
「個別銘柄のほったらかし投資術」とは、簡単に言うと「何十年も安定して配当金を出し続けている銘柄を買い、長く保有する」方法です。実は、上場している銘柄の中には、何十年も変わることなく、安定して配当を出している企業が存在します。「配当」とは、企業が稼いでいる利益の中から、株主にその利益を分配するシステムです。
できるだけ「減配」や「無配転落」のリスクを避ける
もっとも、配当金は「稼いでいる利益の中から捻出」するものなので、利益が減ったり、赤字に転落したりすれば、毎年の配当金が減ったり(株式投資用語で「減配」と言います)、出なくなったりする(無配)ケースがあります。せっかく生活費の足しにする目的で株式を買ったのに、その配当金がもらえなくなるようでは意味がないでしょう。「個別銘柄のほったらかし投資術」では、そうしたリスクを極力抑える必要があるわけです。
減配や無配のリスクを抑え、毎年きちんと配当金を受け取り、家計を助けるレベルのお金をもらうには、どうすればいいのでしょうか。その答えは、「持っている間、ほぼ配当金が減らないことに加えて、ある程度、配当金の水準が高い銘柄を選ぶ」ことです。
日本株の安定配当銘柄3選、累進配当銘柄を選ぼう
たとえば、ドリンク剤の「アリナミンV」やかぜ薬の「ベンザブロック」ほか、多くの市販薬や医療用医薬品を作っている武田薬品工業(4502)。実に40年以上にわたって配当を減らさず、しかも配当利回り(投じた資金に対する年間の配当金の割合)は、ほぼ3.5%以上を維持している「高配当銘柄」です。財務内容は良好なうえ、本業の製薬業が生み出す利益も安定しており、仮に利益が減っても配当金を減らさない方針を掲げています。ほかにも、武田薬品工業と同様に安定配当を続ける企業として、日用品、化粧品メーカーの花王(4452)が挙げられるでしょう。
ただ、武田薬品工業は投資するのに必要な金額(最低投資金額)が50万円台半ば程度、花王は60万円台超と、ある程度まとまった資金が必要なのが難点です。その点で、ビールなどの酒類や食料品で知られるアサヒグループホールディングス(2502)の最低投資金額は約16万円、配当利回りは約3.3%(2026年3月16日終値時点、以下同じ)です。約16万円の投資で、年間5,200円の配当があるので、個別銘柄のほったらかし投資術にうってつけの銘柄と言えそうです。同社も減配をせず、最低でも配当金を維持する方針を掲げています。
なお、減配をせずに安定して配当を維持、または増やしていく方針を、株式投資の用語で「累進配当」と言います。ここで紹介した「武田薬品」、「花王」、「アサヒグループホールディングス」の3銘柄以外を探す場合は、「累進配当」「年数」などで検索してみるといいでしょう。
食料品や日用品は株主優待でゲット!
株式投資では、配当金のほかに家計の助けとなる「株主優待」があります。「優待投資」などと呼ばれ、優待品を主な目的として株式投資をする人も珍しくありません。たとえば、製紙メーカーの日本製紙(3863)。100株保有(最低投資金額12万6700円)で年に一度、トイレットペーパーやボックスティッシュといった同社製品の詰め合わせがもらえます。同様に、お米券や食料品、自社商品の詰め合わせなど、株主優待でもらえる品物は種類がかなり豊富です。それもそのはずで、株主優待を実施する企業の数は、2026年2月15日時点で1,664社。東証に上場する全銘柄の約4割が株主優待制度を採用しています。
ただ、株主優待に関しては、優待の内容が変わったり、あるいは優待制度そのものを廃止したり、一度廃止してから再び始めたりするなど、企業の業績や経済動向などによって状況が目まぐるしく変化します。その点で、前述の「配当金を目的とした個別銘柄のほったらかし投資術」とは違って、少なくとも年に1、2度は業績チェックなどの確認作業をしたほうがよいでしょう。
ただ、さまざまな優待品があるため、お米の消費が多い家庭なら多くのお米券をもらえる銘柄を選ぶといった、「 ライフスタイルに合った優待」を選べるというメリットもあります。株主優待が楽しみで投資をするような、「優待ライフ」を満喫する個人投資家も少なくありません。
「配当利回り」の高さばかりに注目せず、安定配当株を選ぼう
ここまで紹介してきた配当金狙いの「生活防衛のための個別銘柄のほったらかし投資術」と株主優待。「個別銘柄のほったらかし投資術」では、仮に配当利回りが5%の銘柄であれば、20年間保有を続けることで、投資元本の全額を回収する(元が取れる)ことができます。長期保有で投資元本を回収できることも、「個別銘柄のほったらかし投資術」の魅力のひとつです。
もっとも、配当利回りの高さばかりに注目して銘柄を選ぶと、減配や無配転落のリスクが出てきます。実際、「配当利回りランキング」で検索して出てくる上位銘柄の中には、以前は無配だったり、減配していたりする企業が複数見受けられます。そう考えると、やはり、「個別銘柄のほったらかし投資術」では、前述のような「長期にわたって安定して配当を出し続けている企業」の中から選ぶべきでしょう。
文/新井奈央 、編集/マネクリ編集部(西條玄香、藤村恭子)
