2026年12月からiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入可能年齢の上限や、企業型DC(企業型確定拠出年金)やiDeCoの掛金の上限額が引き上げられますが、それに先行して2026年4月から変わったのが企業型DCのマッチング拠出です。
マッチング拠出とは?
企業型DCにおける「マッチング拠出」の上限額が、2026年4月から撤廃されます。マッチング拠出とは、会社が出す掛金(事業主掛金)に上乗せして、従業員が「自分で」加入者掛金を払う仕組みです。なお、マッチング拠出ができる会社とできない会社があります。
マッチング拠出を導入している企業は全体の50%程度ですが、マッチング拠出導入企業で実際にマッチング拠出を行っている人は35%程度とそれほど多くありません(「確定拠出年金統計資料・2025年3月末」)。
従来、マッチング拠出できる金額には限度がありました。具体的には、「事業主掛金額と同額以下」「事業主掛金と合算して法定の拠出限度額(DB※がない場合は55,000円、DBがある場合は55,000円から他制度掛金相当額を差し引いた額)」というルールがありました(※DB=確定給付企業年金)。
例えば入社年数が短く、会社の掛金が月額5000円という人は、総枠が余っていても自分は5000円までしか掛金を上乗せできなかったのです。
事業主掛金を超えてマッチング拠出できるように
2026年4月からはその制限が撤廃され、会社の掛金を超えてマッチング拠出ができるようになりました。企業型DCのみの会社では、事業主掛金と本人が出す加入者掛金の合計額が5万5000円以内であれば問題ありません。例えば会社の掛金が月額5000円の場合、従業員は5万円までマッチング拠出が可能になります。従来は会社の掛け金と同額、つまり5000円までしか上乗せできなかったので、この効果は大きいですね。
また2026年12月からは総枠が月額5万5000円から6万2000円に引き上げられるため、さらにマッチング拠出で利用できる枠は広がります。
マッチング拠出(加入者掛金)、変更可能時期は会社によって異なる
ただ、マッチング拠出(加入者掛金)の変更ができる時期は会社によって異なります。
加入者掛金の変更は年1回で、会社ごとに異なり、4月とは限りません。なお制度変更に伴い、会社掛け金を超えて拠出する場合は、従来の「年1回」の規定の例外として認められます。
また、規約の変更が必要な場合や、従業員の多い企業でシステム改修が必要な場合などは、対応に時間がかかるケースもあります。2026年12月には掛金額の上限変更があるため、マッチング拠出の変更もそれに合わせるという会社もあるようです。実際、マッチング拠出はいつから可能なのか、担当部署に問い合わせてみましょう。
自分自身のこれからのキャリアプラン・ライフプランに応じて柔軟に選択を
iDeCoの資産を企業型DCに移換することも検討を
今回の改正により、「マッチング拠出はできるけれど金額が少ない」という理由で、企業型DCに加えてiDeCoにも加入していた人は、iDeCoで運用してきた資産を企業型DCに移して一本化することも選択肢となります。企業型DCは口座管理手数料がかからず、複数口座を持つより管理もラクになります。また、マッチング拠出分は毎月の給与から天引きされるので、年末調整のし忘れもありません。
この場合、iDeCoの掛金の拠出をやめて、勤務先にマッチング拠出を申し込みます。そして、iDeCoで運用してきた資産を企業型DCに移換します(移換の際は、いったん現金化されます)。
これからの時代は「iDeCoを残す」というのも選択肢
もっとも、最近は転職したり独立したり、ということが普通になってきました。転職が多い職種や、将来独立を考えている人は無理に企業型DCに1本化せず、iDeCo口座を残しておくことも考えらます。転職先の会社に企業型DCがあるとは限りません。転職先に企業型DCがなく、再びiDeCoに資産を移換するという作業が発生する可能性もあります。ご自身のこれからのキャリアプラン・ライフプランをイメージした上で決めましょう。
この場合、次の選択肢があります。
1)企業型DCではマッチング拠出は行わず、従来通りiDeCoの「加入者」のまま掛金を払い、商品を買い付け、運用を行う。
2)企業型DCのマッチング拠出を申し込む。一方で、iDeCo口座はそのまま残し、「運用指図者」として新たな掛金は拠出せずに運用だけ続ける。
上記1)と2)のどちらを選択するかは、企業型DCの商品ラインアップを改めて確認した上で判断しましょう。
