1.概況
本日の日本市場は円安一服で上値が重くほぼ横ばいとなりました。昨日の米国市場では主要3指数が揃って史上最高値を更新したことで37円高の19,419円と続伸でスタートした日経平均は、寄り付きが高値となるなど上値が伸び悩んだことから取引開始後10分余りで下落に転じました。昨日終値を挟んで小幅に揉み合う展開の後、11時前ごろからは売りが優勢となりマイナス圏での推移がしばらく続きましたが、下値も52円安と限定的で下げ渋ると14時過ぎからはわずかにプラスとなる場面もみられました。しかし、昨日終値近辺では上値が重く1円安の19,379円とほぼ横ばいで取引を終えています。一方でTOPIXは1ポイント高と小幅に続伸となっています。東証1部の売買代金は2兆1068億円となり2兆円を3日ぶりに回復しています。新興市場は本日も堅調で東証マザーズ指数が3日続伸となったほか、日経ジャスダック平均も9日続伸となり連日で昨年来高値を更新しています。

2.個別銘柄等
積極的な株主還元策を発表した銘柄に買いを集めるものがみられました。1000億円を上限とする自己株買いを発表した楽天(4755)が9.4%高と急伸したほか、期末配当の増額と株主優待制度の新設を発表した日本水産(1332)が一時5%高近くまで上げました。東レ(3402)は炭素繊維事業に今後3年で1000億円超を投じると報じられ3.5%高の1,020円となり、昨年8月以来の1,000円台回復となっています。昨年来高値を付ける銘柄が東証1部で153銘柄にのぼるなか、JFEホールディングス(5411)が投資判断と目標株価の引き上げを受けて3.0%高となり昨年来高値を更新しました。新日鉄住金(5401)やコマツ(6301)、川崎汽船(9107)などもしっかりで昨年来高値を付けています。東芝(6502)は半導体メモリー事業の分社化で出資を検討する企業に対し新会社の企業価値を2兆円以上と見積もるように求めたと報じられ上げ幅を広げました。22.3%高と急反発し東証1部で上昇率と売買代金でトップとなっています。一方でレオパレス21(8848)が3.1%安と大きく下げました。家賃収入が一定期間変わらない契約でアパートを建てたにも関わらず減額されたとして少なくとも100人以上のオーナーが一斉提訴を検討していると報じられたことが嫌気されました。昨日まで9日続伸となりこの間に2割近く上昇していたコクヨ(7984)も利益確定の売りが出て5.9%安と大きく下げています。フォスター電機(6794)は目標株価の引き下げを受けて2.9%安となっています。

【VIEW POINT: 明日への視点】
米国市場がしっかり上昇しても、円安が一服すると上値が重くなるのが最近の傾向ですが、本日もまさしくその展開でした。昨日の米国市場では主要3指数が揃って史上最高値を更新し、ダウ平均も三桁の上昇となったにも関わらず、昨日進んだ円安が一服となったことから日経平均の上値は伸び悩みました。こうしたなか今晩は1月31日‐2月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表されます。これが再び円安が進むきっかけとなるかが注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)