スポンジとは、不思議な物体です。スポンジは多くのものを吸収することが出来ますが、一方でそれらを発散することも出来ます。或るものを多く吸収している時のスポンジは、実質的にはその"或るもの"(水とか)が概ねその存在の全てであり、スポンジ自体は小さな存在です。
しかしその概ね全ての存在は、簡単にそこから抜けていくことができます。そして小さな存在だったスポンジが全てになる。更にまた違う"或るもの"を吸い込み貯えることが出来る。スポンジは便利なものですが、スポンジ自体はあってないような、不思議な存在です。一種の媒体とでも云いましょうか。 私自身もまた、一種のスポンジである気もします。吸収したり放出したり。貯め込んだり空っぽになったり。貯め込み過ぎはカラダに良くありません。そして出し過ぎもまた、いいことではありません。
適度な吸収と放出、選択や放棄が肝要です。世の中の振幅が激しくなると、その反射である媒体の振れも大きくなります。適度と云うことを大切に意識していきたいと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。