日本は呑気な国です。確か司馬遼太郎さんが何かの本で、加賀藩の性質を「加賀の居眠り」と表していたと思います。
江戸時代中の様々な動きにも殆ど反応しなかった。幕末ですらその流れに参加していくことはせず、江戸時代が終わり明治時代になって初めて、ひとつの時代が終わったことに気が付いた。加賀はずっと居眠りを続けた。しかしそれは結果を見ると決して悪いことではなく、江戸時代中に多大な富と文化を蓄積し、明治維新の動乱の中でもそれを失うことはなかった。
そんな荒筋ではなかったでしょうか。もしかしたら地域も作家も論旨も、全て間違えて憶えているかも知れませんが、その際は何卒御容赦下さい。
この「居眠り」グセ、加賀に限らず日本全体のクセではないでしょうか?100年に一度の経済危機(因みに私は必ずしもそうは思っていませんが)と云われている時に、世界的重要会議で居眠りする日本代表。国の一大事にまるで居眠りをしているかのように無用なやりとりを続ける(ように見える)永田町。
しかしこの現象は「先生」方だけではなく、東証株価がバブル崩壊後の安値を更新しているにも拘わらず、国全体の緊張感が低いように思えます。テレビを見ると、そう感じます。
これはしかし悪いことなのか?傷は時間が経過しないと治らないので、治るまでは鈍感にしている知恵かも知れません-加賀の居眠りのような。いや、それはやはり買い被りでしょう。
ウェイク・アップ・ジャパン!このままではいけません。少なくとも私たちは、大きく目を見開いて、最大限耳を澄まして、きちんと行動していこうと思います。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。