携帯が水没し、以前使っていた、今となっては不慣れな携帯を使っています。私は普段、ちょっと時間があると携帯からニュースを読んでいるのですが、これを殆ど全くしなくなりました。或いは様々な指示を含めて、かなりのメールを携帯から打っていたのですが、これも全くしません。不慣れだから時間を掛けるのではなく、不慣れだからそもそも利用しなくなるのです。
ではニュースは替わりの方法で摂取しているかと云うと、これがそうではなく、情報流入量が減った気がします。しかし質で云うと大して変わってないかも知れません。メールなど、自分からのメッセージの発信が減ってる分については、或る部分はそのまま減りっぱなしで、或る部分は電話を掛けるなり、直接話すなりで代替しています。そして全体で見ると、ニュースの摂取時間が減った分だけ、考える時間が増えた気がします。
道具ひとつで、脳の使われ方は随分と変わるものなのでしょうか?今のような様々な電子機器がない時代と現代とで、人類の脳活動領域や活動の"カタチ"は変わった筈だと思われる一方で、人類のやっていることや書かれていることを見る限り、昔も今も人は変わってない気もします。結局自分で脳の使い方を意識していない時の脳活動が、実は全体の脳活動のうちの莫大な部分を占めていて、道具のあるなしで自覚する変化は、大した意味を持っていないのでしょうか。人間って、どこまでも不思議ですね。
- 松本 大
- マネックスグループ株式会社 取締役会議長 兼 代表執行役会長、マネックス証券 ファウンダー
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ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社を経て、ゴールドマン・サックス証券会社に勤務。1994年、30歳で当時同社最年少ゼネラル・パートナー(共同経営者)に就任。1999年、ソニー株式会社との共同出資で株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)を設立。2004年にはマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社(現マネックスグループ株式会社)を設立し、以来2023年6月までCEOを務め、現在代表執行役会長。株式会社東京証券取引所の社外取締役を2008年から2013年まで務めたほか、数社の上場企業の社外取締役を歴任。現在、米マスターカードの社外取締役、Human Rights Watchの国際理事会副会長、国際文化会館の評議員も務める。