今日、内堀通りを車で移動していると、半蔵門の近く、国立劇場の庭に、紅白の梅が咲いているのが見えました。桜などは塀際に外に向かって伸びていたり、或いは土手の上に目立つ形で立っているものですが、梅は控えめに、塀の中とか庭の奥にあり、中々気付かないものです。

自己主張する桜。こちらから探して見に行かないと見つけられない、謙虚でしとやかな雰囲気の梅。今日は春が来る前日に、うっかり庭の中で春を誇っている梅を、気付かれぬうちに盗み見たような気がしました。誰にも見られていないだろうと庭の中で気持ち良く日光浴をしているお嬢さんを、通りすがった門の隙間からチラッと見てしまったような。

「よそにのみあはれとぞ見し梅の花あかぬ色香は折りてなりけり」(古今集春歌上・素性法師)・・遠くから見て美しいと思っていた梅の花。本当の色と香りは、折って近くに置いて分かるものだ。

この歌も女性を詠んだ歌でしょうか?今日の東京は、春の兆しを感じる、穏やかな一日でした。