8世紀中頃、即ち今から1300年程度も前の木簡に、万葉仮名で和歌が書かれているものが発見されました。古今集の序文の中にも「歌の父母」であると説明されている歌二首が木簡の裏表に書かれていたというので、専門家・関係者の方々の驚きや興奮は相当なものでしょう。

私も和歌は好きです。古今集序文の冒頭には、「やまとうたは、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける。」と書かれています。何とも心憎い表現です。

歌の話を書き始めてもキリがないのですが、私は同時に、「木簡」自体に惹き付けられました。1300年前の紙のように薄い木に書かれた字が残っている。これは凄いことだと思います。しかもそれは「音」や「どの字か」と云う情報に限らず、「字体」として、どのような筆で書かれたかなども含めて、様々な情報を備えています。

思うに、それに対して、現代のデジタルな情報備蓄技術はどうでしょう?果たして1300年も残り得るでしょうか?付随情報も限られています。仕事柄、デジタルなものを大量に活用し、大幅に依存していますが、ふと心配になることがあります。機会があれば、件の木簡を是非見学に行きたいと思います。