今朝の日経新聞の「月曜経済観測」は、元日本銀行理事、現京都大学教授の白川方明氏の「バブルと金融政策」と云うインタビュー記事でしたが、とても為になる内容でした。様々な論点が、極めて明快に解説されているので、御興味のある方は是非読んで頂きたいと思うのですが、資産価格と物価の関係の下りが特に興味深いものでした。

要点を書かせて頂くと、「ここ20年ほど繰り返されてきた世界のバブル崩壊の中に見出せる興味深い点は、バブル期には経済指標が良好な中で物価が落ち着いていると云うことである。物価が安定する中での低金利の持続期待がリスク評価を甘くし、資産バブルを生んで来た。そう考えると、バブルへの対応も、崩壊後の対応も難しい。」と云うものです(要約の正確性の責任は私にあります)。

思うに金融市場と云うものは、差し詰めあらゆる有機的構造物と同様の特性を持っており、特にヒトの身体と似ている気がします。カロリー消費が少ない中で栄養を過剰供給すると肥満や糖尿病になり、しかし急に栄養供給を止めると、必然的に身体は崩壊します。かと云っていつまでも過剰供給してもやはり崩壊が訪れます。このような状態を治すためには、複合的な措置が必要な訳ですが、とりわけ節度と、時によって不可欠な局部的外科手術が必要となります。
そしてこの手術の場所を間違えると、大変なことになります。ひとつ身体と違うのは、ヒトの身体は何千年も前から殆どその構造や性質が変わっていないと思われますが、金融市場は毎年のように桁違いにその様相を変えていると云うことです。白川氏は現在金融政策の教科書を執筆中とのことですが、完成したら是非読んでみたいものです。世界の名医が集まって、何とか今の金融市場の状況を治して貰いたいものですネ。

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