米政策金利0.25%引き上げ3.75-4.00%に、インフレ抑制を優先する姿勢を強調

現地9月15、16日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)は、政策金利を0.25%引き上げ、3.75-4.00%としました。利上げは2023年7月以来となります。決定は全会一致しており、インフレへの警戒が実際の政策行動として一段強く示された形です。

声明文では、経済活動が堅調なペースで拡大しているとの認識が維持されました。生産性の伸びは力強く、設備投資も堅調と評価され、雇用の伸びも労働力に見合うペースを維持し、失業率はほぼ変わっていないとしています。

一方、インフレについては引き続き高止まりしているとし、今回の利上げが2%目標へのより速やかな回帰を支えるとの考えを示しました。

ウォーシュ議長も記者会見で、足元の物価指標をみても基調的なインフレが明確に改善したとは考えていないとの認識を示し、インフレ抑制を優先する姿勢を改めて強調しました。

経済見通し、景気や雇用の見方は改善

公表された経済見通しでは、景気や雇用の見方はむしろ改善しました。2026年の実質GDP成長率は6月時点の2.2%から2.3%へ、2027年も2.3%から2.4%へ引き上げられました。失業率は2026年、2027年ともに4.3%から4.1%へ引き下げられています。

【図表1】経済見通し(GDP・失業率)
出所:FRB

インフレ正常化には想定よりも時間を要する想定

物価見通しは上方修正されました。2026年のPCEインフレ率は3.6%から3.7%、コアPCEは3.3%から3.4%へ引き上げられました。また、PCEインフレ率が2%に戻る時期は2029年とされ、インフレ正常化には従来想定より時間を要するとの見方が示されています。

【図表2】経済見通し(物価・コア物価)
出所:FRB

政策金利見通しは上方修正、年内は追加利上げを見込む方向へ大きく収れん

政策金利見通しも上方修正されました。2026年末の中央値は6月時点の3.8%から4.1%へ、2027年末は3.6%から4.1%、2028年末は3.4%から3.9%へ引き上げられました。2029年末でも3.6%が見込まれています。

【図表3】政策金利見通し
出所:FRB

ドットチャートでは、予測を提出した18人のうち16人が年内に少なくともあと1回の利上げを見込んでおり、そのうち4人はさらに2回の利上げを予想しています。2026年6月時点では年内の利上げを見込む参加者と据え置き・利下げを見込む参加者が大きく分かれていましたが、今回は追加利上げを見込む方向へ大きく収れんしました。

【図表4】ドットチャート(黄)、予測中央値(緑)、金利先物市場の予想(白)
出所:Bloomberg

金融当局として物価安定を優先する姿勢

インフレ抑制姿勢を明確に行動で示す

市場ではFOMC後に短中期金利が上昇し、2年債利回りは4.7%台まで上昇しました。米ドルも上昇し、米国株は下落しました。一方で、超長期金利には低下する動きもみられ、イールドカーブはフラット化しました。

今回のFOMCで重要なのは、米国経済が堅調さを維持するなかで、FRBがインフレ抑制に向けて実際に利上げへ踏み切った点です。成長率見通しは引き上げられ、失業率見通しも引き下げられており、物価安定を目的とした利上げであることが明確です。

一部の市場参加者の間では、FRBがタカ派的な発言を続けても本当に利上げまで踏み切るのか、疑心暗鬼な見方も残っていました。今回は0.25%の利上げを全会一致で決定し、これまで示してきたインフレ抑制姿勢を明確に行動で示しました。

低い金利を望む政権の意向が示されるなかでも、金融当局として物価安定を優先する姿勢が確認されたことは、FRBの政策運営に対する信認という観点でも前向きに評価できます。

長期金利に安定化の余地が生まれる

この点は、超長期金利の低下にも表れています。追加利上げを織り込むことで短中期金利には上昇圧力がかかった一方、FRBが必要な引き締めを実際に行う姿勢を示したことで、将来的なインフレ高止まりや金融政策の後手化への懸念は幾分後退しました。インフレリスクが抑制されれば、長期金利には安定化の余地が生まれます。

もっとも、断続的な利上げ局面に入ったわけでもありません。ドットチャートの中央値が示すのは年内あと1回の利上げであり、その後は高い政策金利を維持しながら、インフレの鈍化を確認していく姿が中心です。

今後の焦点とは

今後は、追加利上げの回数そのものよりも、FRBの引き締めによってインフレが実際に鈍化へ向かう一方、設備投資や生産性向上を背景とした景気の強さが維持されるかにあります。

政策金利は従来想定より高い水準で推移する可能性が高まりましたが、インフレ抑制への姿勢が行動として確認されたことで、先行きは短期金利の高止まりとは対照的に、長期金利が徐々に落ち着きを取り戻す展開も期待されます。