基本的に日本株は前日のNYの影響を受ける。米国株は3日続落。だから日経平均も今週の週明けから寄り付きは大幅安で始まった。日経平均の下げ幅は、月曜は1500円、昨日は700円を超える水準まであったが、その下げを埋めて終えている。TOPIXに至ってはプラス圏に浮上して、昨日まで9連騰だ。

昨日までTOPIX9連騰で、今日は堪えられなかった理由

図表1:日経平均(8月31日から9月2日)
出所:Bloombergより

ただ、今日は戻せなかった。その意味では今日が下げの初日である。TOPIX9連騰の間にも金利は上昇し、米国とイランの緊張は続き原油も上がっていた。昨日までと何が変わったのか。
変わったのは原油価格が節目を越えたことだ。実は8月にも日本株が大きく調整した日がある。日経平均は18日に1759円安、19日に2134円安を記録した。背景は中東情勢・原油高・長期金利上昇と今とまったく同じ。17日のマーカンタイル市場でWTIが1バレル85ドルの節目を越える上昇となったのが引き金だった。

図表2:TOPIX(青折れ線)と原油価格(WTI先物、ローソク足)(8月4日から9月2日)
出所:Bloombergより

昨日までTOPIXは9連騰で今日は堪えられなかった理由は、1)連騰が続いたのでどこかで利食われるタイミングだった、2)そうしたところに原油が90ドルという節目を越える上昇となったことだろうと思う。その意味では、かなりテクニカル的な下げなので、それほど大きな心配はしていない。(あくまで今日の下げについては、という意味で、他に大きな懸念はありますが。)

長期金利は急速にGDPと株価をキャッチアップしている

金利上昇についても同じ。少し前の日経新聞が金利上昇について3つの要因でうまく説明していたが、これは金利上昇の悪い側面しか見ていない。

図表3:金利上昇3つの要因
出所:日本経済新聞より当社作成

今日の日経新聞1面トップは「長期金利3%」を伝えるニュースだった。そこで編集委員の大塚さんがこう書いている。
『長期金利の指標である新発の10年物国債利回りは1日、3.005%をつけ1996年9月以来の高水準となった。「経済の体温計」といわれる長期金利の3%台への復帰は「失われた30年」から脱する1つの象徴になりうる。(編集委員 大塚節雄)』
経済が伸びているから金利が上がる。当たり前のことである。日本の名目GDPは600兆円を超えて過去最高。株価も過去最高である。日本経済と株価の低迷は2010年前後に底を打っている。リーマンショック~東日本大震災~民主党政権末期が日本のボトムだった。そこからアベノミクス相場で景気も株価も回復、それ以降、右肩上がりに伸びてきた。

図表4:実質国内総生産(GDP)年率換算(白線)・日本国債10年物(長期金利)(青線)・日経平均(オレンジ線)(1997年から2026年)
出所:Bloombergより

ただ、安倍政権の黒田・日銀時代に金融緩和が続き、名実ともにデフレ脱却した象徴として長期金利が底を打ち、底離れを始めるのは景気・株価の底打ちのずっとあとになってからだ。それがいま、急速にGDPと株価をキャッチアップしている背景だ。実に極めて当たり前の金利上昇なのである。

「長期金利上昇」と「株高」は共存できる

よし。百歩譲って「悪い金利上昇」だとしよう。
国債というのは国の借金だから、金利が上がる(国債が売られている)というのは「国にお金は貸せない」という人が多いということだ。
その反対に、お金の「置き場」を考えたとき、キャッシュ・リッチで業績が良い、日本の上場企業のほうがましだと考えるひとが多くいても不思議ではないだろう。

つまり「長期金利上昇」と「株高」は素直に共存できるのだ。金利がこれだけ上がる中で日本株は最高値を更新してきたではないか。これが実際にマーケットで起きている現実である。