中東の地政学リスクに対し、底堅さを示す暗号資産市場

先週(7月6日週)末以降、中東情勢は再び緊迫化し、米国とイランの間ではミサイル攻撃の応酬が続いています。暗号資産市場もヘッドライン速報を受けて、一時的に下落する場面がみられました。しかし、その後は比較的早く値を戻しており、地政学リスクに対する市場の反応は徐々に限定的になりつつあります。

こうした局面では、地政学リスクを材料にした戻り売りやショートポジションが積み上がりやすくなります。一方、相場が下値を切り下げずに推移すれば、ショートカバーが上昇を加速させる可能性もあります。現時点ではBTC、ETHともに底堅さが確認できており、上値ブレイクをきっかけとしたリスクオンの動きに期待したいところです。

7月14日(火)には、6月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。市場予想は前月比-0.1%と、エネルギー価格の反落を背景にヘッドライン指数の低下が見込まれています。予想どおり、あるいは予想を下回る結果となれば、インフレ懸念の後退を通じて暗号資産などのリスク資産には追い風となる可能性があります。ただし、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIの内容にも注意が必要です。

同日には、ウォーシュFRB(米連邦準備制度理事会)議長による就任後初の議会証言も予定されています。ウォーシュ議長は議長就任前から、FRBのバランスシート規模や運営の見直しに積極的な姿勢を示してきた人物です。政策金利の方向性とバランスシート縮小をどのように組み合わせるのか、今後の金融政策を確認する重要な機会となります。CPIは日本時間7月14日21時30分、議会証言は23時から予定されており、NY時間序盤は値動きが大きくなる可能性があります。

BTC(ビットコイン)は上値を切り上げやすい地合いが続くか?

BTC/PYの日足チャートを分析します(図表1)。MACDはゼロライン付近まで回復しており、陽転が視野に入っています。価格は下降トレンドライン付近まで切り返しており、次の焦点はネックラインの突破です。

【図表1】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

この水準を日足終値ベースで明確に上抜ければ、テクニカル面ではボトムアウトを示唆する形状がより鮮明になります。その場合、まずは1100万円を超える水準に位置するSMA90(水色)・SM200(橙色)が、次の上値目標として意識されるでしょう。

BTC/JPYについて、先週(7月6日週)からの見通しに大きな変更はなく、短期的な押し目を挟みながら、徐々に上値を切り上げていく展開を想定します。

 4時間足チャート:1050万円の上値ブレイク待ち

BTC/JPYの4時間足チャートを分析します(図表2)。

1045万~1050万円のゾーンが上値抵抗帯となっています。価格は安値を切り上げながら上値抵抗を試すアセンディングトライアングルに近い形状で、日足と同様にブレイク待ちの局面です。MACDがゼロライン近辺で下げ止まり、再び上向けば、上方へのブレイクアウトにつながる可能性が高まります。

【図表2】BTC/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

三角保ち合いの収束が進んでいるため、本稿執筆時点の7月13日から1~2日程度は相場に変化が出やすい時間帯と考えられます。また、SMA90(水色)とSMA200(橙色)の距離も縮小しており、早ければ1日程度でゴールデンクロスが発生する可能性があります。実現すれば、中期的な地合い改善を確認する材料となるでしょう。

一方、上値ブレイク前に調整が入る場合は、SMA90付近が最初の押し目候補です。この水準で下げ止まるかを確認しながら、買い場を探る展開が有効と考えます。

ETH(イーサリアム)はBTCよりも良好なボトムアウト形状

ETH/JPYの日足チャートを分析します(図表3)。

ETHはBTCと比べて、底打ちを示唆する形状がより明瞭です。安値圏ではダブルボトムとアセンディングトライアングルを組み合わせたような形状が確認できます。また、左側の谷を除いて見ると、逆三尊として解釈することもでき、複数の反転パターンが意識されやすい局面です。

MACDはすでにゼロライン付近まで回復しており、プラス圏への浮上が視野に入っています。心理的節目となる30万円を明確に上抜ければ、上昇に弾みがつく可能性があります。ブレイク後の第一ターゲットはSMA90(水色)です。現在はおよそ32万円前後で推移しているため、今週はこの水準を上値目標として意識したいところです。

【図表3】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

中東情勢を巡る不透明感は依然として残っていますが、暗号資産市場では悪材料に対する下値の反応が限定的となり、押し目買いが断続的に入っています。なかでもETHは相対的に強い値動きを維持しているため、今週は30万円の上抜けを確認しながら、ETHを中心とした押し目買い戦略が機能しやすいと考えます。ただし、地政学関連のヘッドラインで急変する可能性には引き続き注意が必要です。

今週(7月13日週)のポイント

・中東情勢の悪化を受けてもBTCとETHの下値は限定的で、地政学リスクに対する市場の反応は徐々に鈍化しています。
・7月14日の米CPIとウォーシュFRB議長の議会証言は、今週の暗号資産市場の方向性を左右する重要イベントです。
・BTC/JPYは1045万~1050万円の抵抗帯を明確に上抜ければ、1,100万円超の移動平均線ゾーンが次の目標となります。
・ETH/JPYは30万円の突破が焦点で、上抜け後はSMA90が位置する32万円前後を意識したいところです。