ダウ5万ドル突破から急落した米国株、インフレ指標PPIの高水準が材料に

先週(5月11日週)のS&P500は週間+0.13%、ナスダック100は-0.38%とほぼ横ばいで着地しました。週の前半は好調で、ダウ平均(DJIA)は5月14日(木)に節目の5万ドルを初めて超える場面もありました。しかし、5月15日(金)に相場が急変し、S&P500は-1.24%、ナスダック100は-1.54%の大幅下落となりました。7週間で17%超という急騰の後のことです。

先週(5月11日週)最大の材料は5月12日(火)のCPI(消費者物価指数)と13日(水)のPPI(生産者物価指数)という2日連続のインフレ指標の発表でした。4月のCPIは前年比+3.8%と予想を上回り、コアも前月比+0.4%と市場予想(+0.3%)を超えました。ただし、この数字には2025年10月の政府機関閉鎖による家賃データの歪みが含まれており、家賃を除いたコアは年率+1.6%と実態は落ち着いています。

より衝撃が大きかったのはPPIです。前年比+6.0%と予想(+4.8%)を大幅に上回り、2022年12月以来の高水準となりました。

ウォーシュ新FRB議長の就任で高まる利上げ観測

5月13日(水)にはケビン・ウォーシュ氏がFRB(米連邦準備制度理事会)第17代議長に上院承認(賛成54対反対45)され、パウエル前議長から正式にバトンを受け取りました。ウォーシュ氏は「トランプ米大統領のイエスマンにはならない」と明言しており、FF先物市場はすでに年内の利上げを約51%の確率で織り込んでいます。

次回(6月16~17日)のFOMC(米連邦公開市場委員会)でウォーシュ新議長がどんなメッセージを発するかが、夏場の相場を大きく左右しそうです。

過熱する半導体株の調整、ソフトウェア株は次のローテーション先として注目

先週(5月11日週)最も目立ったのは半導体の調整です。5月12日(火)にPHLX半導体指数(SOX)が -3%下落し、インテル[INTC]は-6.8%、クアルコム[QCOM]は-11.5%と急落しました。SOXは直近1年で+170%超と過去最高クラスの上昇をしており、月次RSI(相対力指数)が歴史的な過熱水準に達しています。テクニカル的には「ここから追いかける」リスクは高いと言えます。

一方で浮かび上がってきたのがソフトウェアです。S&P500ソフトウェア指数は年初来-13.3%と低迷してきましたが、底打ちの兆しが見えはじめています。サイバーセキュリティやAIインフラ関連を中心に買い戻しが入っており、半導体が伸びきった今、次のローテーション先として注目したいところです。

シスコシステムズ[CSCO]は決算で+13%超と急騰し、AIとデータセンター向けネットワーク需要の強さを改めて示しました。メタ・プラットフォームズ[META]も週間+6.5%と強く、AI広告収益への期待が継続しています。エネルギーセクターは原油高を追い風に引き続き堅調でした。

米中首脳会談の失望感と1年ぶりの高水準となった長期金利

米中首脳会談(トランプ・習近平)は5月14日(木)・15日(金)に開催されましたが、「ホルムズ海峡は開けておく」という合意にとどまり、イラン問題での具体的な突破口は開きませんでした。

5月15日(金)の急落はこの失望感も一因で、10年債利回りが4.595%と1年ぶりの高水準に達しました。

今週(5月18日週)は相場の行方を占うエヌビディアの決算に注目

今週(5月18日週)最大の注目はエヌビディア[NVDA]の決算(5月20日水曜日引け後)です。直近2四半期連続でトリプルプレー(EPS・売上・ガイダンスすべて上方)を達成していますが、株価は50日移動平均線から2標準偏差以上高い過熱状態で決算を迎えます。

直近7回のうち5回で決算後に株価が下落しており、「好決算でも売られる」リスクは現実的です。ただし、第1四半期は歴史的にエヌビディア株価の反応が最も良い季節で、過去の平均は+3.28%となっています。この決算が夏場の相場のカタリストになるか、「材料出尽くし」で調整入りとなるか、市場全体の方向性を占う試金石になります。

消費関連では、ウォルマート[WMT](5月21日)の決算が決算シーズンの事実上の締めくくりとなります。インフレ下の消費者行動を読むうえで重要です。そのほかホームデポ[HD](5月19日)、ターゲット[TGT]・ローズ・カンパニーズ[LOW](5月20日)、ディア[DE](5月21日)の決算発表があります。