米国では、市場予想を上回る雇用統計を受けて利上げ観測が高まっているほか、大型上場に伴う株式需給悪化を巡る懸念もあり、株式相場は神経質な展開となっています。こうしたなか、S&P500種株価指数の産業グループ別の騰落率を確認すると、ここ数ヶ月の上昇相場をけん引してきた半導体・同製造装置が過去1ヶ月で0.8%の上昇となっている一方、医薬品・バイオテクノロジーが8.9%の上昇でトップとなっています。また、ヘルスケア機器・サービスについても4.1%の上昇と全産業グループ内で5位となるなどヘルスケア関連の株価の堅調さが目立っており、投資家による物色の広がりがみられています。ただ、年初来では、医薬品・バイオテクノロジーが3.1%高、ヘルスケア機器・サービスは6.9%安にとどまっており、半導体・同製造装置の39.0%高などと比較すると依然として出遅れています。そこで、今回はヘルスケア関連銘柄のなかで業績成長の期待される銘柄を以下の条件に基づきピックアップしました。

<抽出条件>
・S&P500種株価指数のヘルスケアセクターに含まれる銘柄
・前会計年から今会計年、今会計年から翌会計年にかけてEPS(1株当たり利益)の成長率が高まる見通し
・今会計年と翌会計年でプラスのEPS成長率見通し
・条件を満たした銘柄を年初来の株価騰落率に基づき昇順で表示

リストをみると、ライフサイエンスや診断分野における科学機器と消耗品の製造を手掛けるダナハー[DHR]が条件を満たしました。4月に公表された最新決算では、呼吸器疾患の流行が穏やかなものにとどまり、関連する診断製品への需要の弱さが逆風となったことが示されました。一方、既報の同業マシモの買収が6月10日に完了するなど先々に対する明るい材料もあります。マシモは指先に装着して血中酸素濃度を測定するパルスオキシメーターや脳機能・呼吸モニタリングに関する機器を提供しており、ダナハーは今回の買収を通じて年間で5000万ドル超の収益と、コスト面での1億2500万ドル超のシナジー効果を見込んでいます。また、世界最大級の医療機器企業であるメドトロニック[MDT]もリストに入りました。同社は、ペースメーカーや除細動器、経カテーテル心臓弁などを供給しているほか、連続増配銘柄としても知られています。6月3日に公表した最新決算では、心臓関連機器の販売好調を背景に、市場予想を上回る売上高とEPSを発表しました。また、手術支援ロボットシステムである「ヒューゴ」の用途を一般外科や婦人科手術に拡大させるため、米規制当局に承認申請を行ったことを明らかにしており、進展が注目されます。

その他では、PBM(薬剤給付管理)や医療保険サービスを提供するザ・シグナ・グループ[CI]も名を連ねています。薬剤給付サービスや専門・ケアサービスが好調で、業績拡大が続いています。同社は2025年に高齢者向け医療保険(メディケア)事業の売却を行っており、関連分野での収入減少に直面しているものの、新薬・バイオ医薬品の普及などにより成長の見込まれるPBM分野への集中戦略の奏功が期待されます。

ヘルスケア分野は専門的な領域で各社の特性や状況を理解する困難さを伴うものの、競争優位性を備えた企業が存在すると考えられますので、銘柄選択の際の参考にしていただければと思います。

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