2024年まで日本単独で円安阻止ができた理由
日本の通貨当局は、2022年と2024年に日本単独の為替介入で、円安の阻止と円高への反転に成功した。それは、米ドル/円が5年MA(移動平均線)を3割前後と大きく上回る局面で行われた為替介入だった(図表参照)。
1980年以降、米ドル/円の上昇は、5年MAを3割以上上回ると終わるパターンが続いてきた。つまり、米ドル/円が5年MAを3割以上上回った水準は循環的な円安の限界圏となってきたわけだ。その意味では、2022年と2024年に日本単独の為替介入でも円安の阻止と円高への反転に成功したのは、循環的な円安の限界圏に達する中で行われたことが重要だった可能性があるだろう。
今回、日本単独なら円安は180円まで止まらないのか?
これに対して、足下の160円程度は、5年MAを14%程度上回っているに過ぎない。その意味では、2024年までと異なり、まだ循環的な円安限界圏には程遠い中で、当局は4月末から160円程度の水準で円安阻止の為替介入を再開したとみられている。
巨大な為替市場において為替介入で相場の流れを変えるのは基本的には難しい。にもかかわらず、2024年まで日本単独で円安の阻止、円高への反転に成功したのは、すでに循環的な円安限界圏に達しており、介入はあくまで円高への反転のきっかけになったということなら、今回、まだ循環的な円安の限界圏に程遠い160円程度で、日本単独の為替介入により円安を止めるのは通常考えれば難しいだろう。
仮に、循環的円安限界圏に達することが、日本単独の為替介入でも円安阻止に成功する条件ということなら、それは米ドル/円が足下で140円程度の5年MAを3割程度上回った水準ということになる。そのため、今回の場合であれば、180円程度まで円安阻止は難しいとの見通しになってしまう。
日米協調「レートチェック」=円安阻止に日米利害一致の兆しも
こうした点は、当局も認識していそうだ。介入の前段階の行動とされる「レートチェック」を1月23日に行った際、日本の当局に米国の当局も追随し、日米協調の形になったことが示しているだろう。しかもこの日米協調「レートチェック」は、一部メディアによるとベッセント米財務長官が主導したとされた。以上から考えられるのは、円安阻止が最近は日米の利害が一致するものとなっており、2024年までの日本単独から今回は米国も強く関与するものになっているという可能性だ。
2024年までのように、あくまで日本単独の円安阻止介入なら、これまで円安阻止の「最後の砦」になってきた為替介入でも、160円程度では円安が止められないことが明らかになれば、円安はいよいよ歯止めが利かなくなり、180円を目指す危険があるのかもしれない。
一方で、円安が今回も160円程度で止まり、円高への反転が起こるなら、今回の場合は日本単独ではなく日米協調という米国の円安阻止への関与の確認が手掛かりになるのではないか。
