株式市場に対し出遅れるJ-REIT価格
J-REIT価格は、停滞傾向から抜け出せない状態が続いている。東証REIT指数は5月に入ると1,800ポイント台での推移が続き、5月12日には1,850ポイント台を割り込んだ。株式市場と比較すると停滞傾向は鮮明だ。図表1の通り、日経平均株価は前年度末(2026年3月末)と比較して24%上昇している一方、東証REIT指数はわずかに下落している。
イラン情勢の沈静化が株式市場上昇の要因となっているほか、コスト増に対して価格転嫁が早い企業が市場をけん引している点も影響していると考えられる。不動産賃貸業のJ-REITの場合、テナントの契約期間が分散しているためテナント入替えや更新時の賃料上昇が収益に寄与するまでには時間を要する。国内金利の急上昇による支払利息増加を賃貸収益で補うことが出来ない状態となっている。
積極的な投資家への利益還元の再開が必要
株式市場が好調であるため、投資家資金がJ-REIT市場に回帰する可能性は当面低いと考えられる。特に国内金利の上昇が想定より早く、今後も続く可能性があるため、投資家はこの点を強く懸念しているようだ。この点は、株式市場が好調であるにもかかわらず、不動産業に限ると、J-REITと同様に価格が低迷していること(図表2)からも示されている。
不動産大手5社(三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産、野村不動産)は2026年3月期に過去最高益を更新し、2027年3月期もこの傾向が続くとしている。つまり、J-REITを含む不動産業は、業績ではなく金利上昇による悪影響を投資家が過剰に懸念している状態となっている。
このような過剰な懸念を払拭するためにも各銘柄が改めて、不動産売却による含み益の実現化を積極的に行う必要があると考えられる。少なくとも長期金利の急上昇による収益低下に対しては、物件売却によって補完することを明確に投資家に示し、投資家の懸念解消を行う必要がある。
