有人宇宙船「オリオン」が人類最遠地点に到達した後、無事に帰還
米航空宇宙局(NASA)の有人宇宙船「オリオン」が有人飛行での月周回を終えて、日本時間4月11日に無事に帰還しました。オリオンは地球から40万6771キロ先に到達し、アポロ13号が作った記録(約40万キロ)を更新したほか、最高速度は時速約3万9700キロに達したとされています。また、宇宙船の大気圏突入においては極めて高い精度の進路制御が求められますが、進入時の角度の誤差が目標の0.4%以内にとどまったとも報じられています。
今回の飛行は米国が主導する国際月探査プロジェクト「アルテミス計画」の一環で、2022年に実施されたアルテミス1(無人で月周回)に続く、第2弾でした。2027年には地球の軌道上で宇宙船と月面着陸船の接続試験を行うアルテミス3、2028年にはアポロ17号以来の有人での月面着陸を行うアルテミス4が予定されています。
アルテミス計画は宇宙インフラの整備の一環と言えますが、中長期的には広範な宇宙関連ビジネスの拡大が見込まれています(図表1-1、1-2)。World Economic Forumによると、宇宙関連の分野は、基幹インフラに関連した「バックボーン」と、宇宙関連での波及分野を示す「リーチ」に分けられ、さらにそれぞれ4分野ずつに細分化することが可能とされています。
今回のロケットの打ち上げとも関係の深い「民間:インフラおよびサポート」の分野は2035年までに経済規模が200%を以上拡大すると見込まれています。また、宇宙のインフラを利用して消費者にサービスやデバイスを提供する「民間:サービスおよびエンドユーザー機器」の分野は2035年までの成長率は95%程度と相対的に小さな伸びが想定されているものの、規模としては2023年の1,830億ドルから2035年には3,560億ドル程度まで増加する見通しです。
他方、波及分野「リーチ」においては、「通信、測位・航法・タイミング、地球観測」の分野で規模の拡大と高成長を遂げるとみられています。同セグメントは宇宙のデータを活用して地上の既存産業(物流、農業など)が収益を生み出す分野で、我々の生活にも長期的に影響を及ぼす領域と考えられます。
宇宙・防衛関連企業の短中期的な業績見通し
宇宙を防衛の重要拠点とみる向きがあるように、宇宙と防衛の間には密接な関わりがあり、航空宇宙と防衛を一つのセクターとして扱うケースが多々あります。この点を踏まえて、米国における宇宙・防衛関連企業の1株当たり利益(EPS)を確認すると、2025年に前年比で大きく成長した反動により、2026年の伸び率は鈍化するものの、2028年にかけては拡大が見込まれています(図表2)。
近年は世界的に地政学リスクが高まっており、防衛分野での需要拡大が期待されます。短中期的には、自己資本利益率(ROE)が2026年に19.1%、2027年が21.5%、2028年は22.1%と、関連企業の資本効率が高まると予想される点も目をひきます。
また、長期間にみれば宇宙ビジネスの収益が関連企業の業績押し上げ要因になる可能性があり、宇宙・防衛関連企業は構造的な追い風を受けているものと筆者はみています。ただし、関連企業の株価は短期的には米国・イスラエルとイランの軍事的な衝突の行方に左右されるものとみられ、株価変動性が高まり得る点に留意が必要と考えられます。
宇宙関連のビジネスを手掛ける主な企業例
宇宙関連の銘柄が含まれる米国株指数(ダウ・ジョーンズ米国セレクト航空宇宙・防衛株指数)を確認すると、NASAと連携し次世代推進技術の開発を進めるなど、航空宇宙分野での技術基盤を有するGEエアロスペース[GE]が関連企業として挙げられます。また、今回、宇宙船オリオンの開発を担ったロッキード・マーチン[LMT]、打ち上げに使用されたロケットの中核部分を担当したボーイング[BA]など大手企業が名を連ねています(図表3)。
他方、関連の個別企業という点では、イーロン・マスク氏の率いる宇宙開発会社スペースXに対する市場参加者の関心が高まっています。同社は既に新規株式公開(IPO)を米証券取引委員会(SEC)に申請し、6月の上場を視野に入れていると報じられています。
ロケットや衛星、人工知能(AI)を手掛け、宇宙とAIの統合体としての価値が見込まれ、同社のIPO時の評価額は2兆ドルを超える可能性が指摘されているほか、市場参加者の一部からは、価値の多くが衛星通信事業のスターリンクに基づいているとの声も聞かれます。現時点では、同社は4月後半にアナリスト向け説明会を実施し、6月15日の週に価格が決定される見通しとの情報が伝わっており、宇宙関連企業への投資機会の拡大という点で注目されます。
宇宙関連企業への投資手段
宇宙関連企業への投資を検討される場合で、ある程度の分散を図りたい、あるいはインデックスに連動する形での投資をお考えになりたいという場合には公募投資信託を活用するという方法もありますので、図表4をご参考にしていただければと思います。
※e MAXIS Neo 宇宙開発は2026年4月17日を最終日として、以降の買付のお申込受付を一時停止する予定のため、上記リストから除外しています。
