2026年2月9日(月)14:00発表
日本 景気ウォッチャー調査2026年1月分
(その他:最新の家計調査・商業動態統計速報・消費動向調査・消費活動指数より)

【1】結果:家計サイドの減速が顕著 10-12月期は伸び悩みが懸念される

2025年12月分の家計調査は、二人以上勤労者世帯の実質消費支出が前年同月比3.6%減の37.4万円と、10ヶ月ぶりに前年同月比で減少となりました。12月とあって年末商戦などから消費増が期待された中、生活必需品関連の「基礎的支出」は同4.4%減、華奢品などの「選択的支出」は同2.7%減と、共に前年同月比で減少となりました。

また、家計サイドの消費統計は減速が著しく、世帯消費動向指数は3ヶ月連続で前年同月を下回る水準となっています。サプライサイドである小売売上高を確認すると、2025年12月は前年同月比0.9%減と若干の減速となり、なかでも百貨店が伸び悩みました。上述の家計サイドと併せても選択的支出の低下が想像されます。消費マインドの2指数はまちまちで、一時期よりも改善に減速傾向がみられます。

【図表1】直近の消費関連統計
※<単位>の補足がないものは指数値、またカッコ内は前年同月比%
出所:総務省、内閣府、日本銀行、経済産業省よりマネックス証券作成

総合的な消費指標である世帯消費動向指数は別名CTIミクロと呼ばれ、「世帯における平均消費支出額」を指数化したものです。12月の二人以上世帯における、季節性を加味した実質CTIミクロは前月比1.5%減少となりました(図表2、青色)。

日本銀行が算出する消費活動指数は販売や供給サイドの統計を基に作成された指数で、サプライサイドからの消費動向を確認できます。その消費活動指数(旅行収支調整済)は横ばい圏からピークアウトが意識される推移とみられ、総合すれば消費は弱含みといった印象です。

【図表2】世帯消費動向指数と消費活動指数の推移
出所:日本銀行、総務省よりマネックス証券作成 ※CTIミクロは二人以上世帯

【2】内容・注目点:消費伸び悩み続く 消費減税は起爆剤となるのか

上述の通り、直近の消費動向は減速傾向が示唆されるものから、2025年10-12月期の国内GDP統計における個人消費は、前期比横ばい~若干の低下を見込んでいます。もっとも、直近のGDP統計における内需は民間の設備投資がけん引しており、個人消費は緩やかな上昇が見られますが、コロナ以前の水準を上回るまではいかず、全体としては伸び悩んでいると言えるでしょう。

【図表3】実質GDPの成長速度(季節調整値、2020年10-12月期=100)
出所:内閣府よりマネックス証券作成

国内では衆議院選挙を自民維新の与党が大勝する結果で終え、食料品の消費税減税が実施されるのかに注目が集まっています。同選挙では自民党が大きく議席を伸ばしたことから、党内でも財政懸念の観点で消費税減税に反発する党派もあるとされており、実施までの道のりは平たんなものではないでしょう。また、実施の方向で議論が進むにせよ、小売業側の準備期間などから適応されるまでに相応のリードタイムが要されるため、時間軸としては早くても2026年後半から2027年での施行が予想されます。

消費減税の政策的意図は、減税分による可処分所得の上昇から、そのほかの財やサービスへの消費が期待されることでしょう(食料品自体は、必需品でありその消費量の大きな上昇が見込まれる可能性は低いと考えられます)。当然、一定の効果があると想定されますが、実生活からもイメージしやすいように増えた所得を全て消費に回すケースは少なく、一部は預貯金に回す行動が想定されます。

経済学的には、需要の所得弾力性(所得が1%変化した際に、財またはサービスの需要量が何%変化するか)といった考え方に基づくものですが、減税による国の歳入減と消費喚起の程度とを比較検討し、コストに見合った消費増が見込まれるかが重要となります。個人的には、消費への効果は限定的である一方で、プライマリーバランス黒字化が遠のき、海外投資家を中心に国内の財政懸念がより意識されて金利上昇につながるのではと危惧しています。

【3】所感:株高は将来の業績を先取りも、実績値のピークアウトには注視を

直近の株高傾向から、東証33業種における小売業指数も堅調な推移となっています。株価は先行きの業績を織り込み、価格が形成される傾向があります。実際に、同指数の12ヶ月先EPSの推移と併せて確認すると、足元では全体的なバリュエーション上昇による株高傾向がうかがえますが先行きの利益も底堅いものと想定されています。

【図表4】東証33業種小売業指数と12ヶ月先EPSの推移
出所:ブルームバーグ、FactSetよりマネックス証券作成

一方で、経済産業省が発表する小売売上高にあるように、実績の小売売上高はピークアウト傾向も見受けられ、実際の決算発表などの場面で市場予想を下回るといったリスクも考えられます。足元では消費の伸び悩みが見受けられる局面であるため、小売業銘柄のファンダメンタルズには注意をもって確認する必要があるでしょう。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太