2026年2月27日(金)8:30発表
日本 東京都区部消費者物価指数2026年2月分速報
【1】結果:東京コアCPIはガソリン暫定税率廃止が影響し、前年同月比1.8%上昇となり伸びが減速
2026年2月の東京都区部消費者物価指数(以下、東京CPI)は、ヘッドラインの総合指数が前年同月比1.6%上昇と、前回1月の同1.5%から伸びが加速しました。0.1%ポイントの上昇で、概ね横ばい圏での動きです。
コア指標である生鮮食品を除く総合指数は、ガソリン暫定税率の廃止の影響でエネルギーの伸びが大きく減速し、同1.8%の上昇となりました。コアコアCPIと称される生鮮食品・エネルギー除く総合指数は同2.5%上昇しました。総合指数と同様に、前の月から0.1%ポイント伸びが加速したものの、概ね横ばい圏と評価できます。図表1にあるように、市場予想対比では上振れており、想定されたほどのインフレ鈍化とはなりませんでした。
図表2から過去の推移を確認すると、減速トレンドに底打ちの兆しが見える局面と考えられます。変動性の大きい品目が除かれているため、コアコアCPI(図表2・破線)は実測される物価指標において基調的な物価動向を捕捉できるとされています。そのコアコアCPIは日銀の物価目標である2%を上回る2%半ば程度で、半ば安定的に推移しているとみなせるでしょう。
東京都区部のサービスCPIは前年同月比1.5%上昇と前月から0.1%伸びが加速しました。一進一退であり、横ばい圏で推移しています。個別の品目では、教養娯楽を構成する「宿泊費」や「パック旅行費」の上昇が確認されました。
【2】内容・注目点:サービス関連インフレが底堅く推移
サービスの中でもより賃金動向の観点で注目される一般サービス(※対称には学校給食や電車運賃などで構成される「公共サービス」あり)は同2.4%上昇(図表4、水色)と、前月から0.2%ポイント伸びが加速しました。それ以外のサービスや賃金関連の指標を総合すると、2%程度で横ばい圏の動きと評価できるでしょう。
賃上げ機運も継続しており、足元では主要産業労働組合を中心に、要求賃上げ率が明らかとなっていますが、総じて前年並み・またはそれ以上の水準を要求しています。3月18日には、2026年度春闘における集中回答日が予定されており、その翌週の3月23日に第1回の回答集計が実施される予定です。目安としては、5%程度の賃上げ率が達成されるかが焦点です。現時点の情報からはその確度は高いと考えられ、達成されれば3年連続で5%以上の賃上げ実績となります。
【3】所感:3年連続5%以上の賃上げで一部には息切れも
上述の通り、2026年もある程度の賃上げ率が達成され、それによって図表4に示される賃金・サービス関連の物価も2%程度での底堅い推移が想定されます。一方で一部の企業では、ここ数年連続で賃上げを実施してきた反動などから、賃上げに息切れする企業も増えてきているとされています。
東京商工リサーチのアンケート調査(※)では、2026年度に「賃上げを実施しない」と回答した企業は16.4%と過去比でも低水準で、8割以上が賃上げ実施するとの結果が公表されています。しかし、一部には 「2026年度に賃上げを『実施する』企業へ、毎年賃上げを持続できるか聞いたところ、持続的な賃上げの見通しが立っていない企業は30.4%に達した」といった回答や、「賃上げを『実施しない』企業では、コスト高騰と価格転嫁の難しさを理由として挙げる企業が多かったです。また、『2025年度の賃上げが負担となっている』」など、企業側の負担が増していたことが示唆されます。
(※)2026年度の「賃上げ」 実施予定は83.6% 賃上げ率「5%以上」は35.5%と前年度から低下
同アンケートからも過半数が賃上げを実施することがうかがえ、指標上では賃上げ率ないしはインフレ率の底堅さにつながっていくでしょう。一方で、一部の企業が賃上げについていけなかったり、企業の経営体力を圧迫しているといった新たな課題に直面する可能性が指摘されます。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太
