2026年2月20日(金)日本時間22:30発表
米国 2025年12月PCE価格指数、他

【1】結果:1月のCPIは減速も 2025年12月分のPCEが加速

2026年1月の米・消費者物価指数(CPI)はヘッドラインが前年同月比2.4%上昇と市場予想を下回り、伸びが減速しました。また食品・エネルギーを除いたコア指数(コアCPI)は同2.5%と前の月から0.1%ポイント伸びが減速し、市場予想に対しては一致しました。

一方で、発表にラグがありますが、PCE価格指数(2025年12月分)は同2.9%上昇で伸びが加速し、CPIと方向性が乖離する内容となっています。食品・エネルギーを除いたコア指数も同様の傾向です。PCE価格指数と生産者物価指数(PPI)は上昇傾向ですが、コアCPIは緩やかな減速を示しています(図表1)。

【図表1】米コア物価指数の推移(前月同月比%)
出所:米労働省労働統計局、米商務省経済分析局よりマネックス証券作成
※コアPCE価格指数のみ季節調整値

【2】内容・注目点:CPIとPCEの違い/コストプッシュ型インフレは意識される局面

上述の3指標は、おおむね同じ基調を推移してきました。足元のデータではその乖離が確認されますが、これは指数を構成する品目や、そのウェイト、指数の算出式の違いによるものです。実際に、CPIとPCE価格指数を比較すると、CPIで約36%のウェイトを占める住居費は、PCE価格指数では約18%です。約2倍の差があり、PCE価格指数においては相対的に影響が小さいものといえます。そのため、住居費の鈍化傾向がCPIの押し下げに寄与する一方で、PCE価格指数への影響は相対的に小さいといえます。

【図表2】CPIとPCE価格指数のウェイト
出所:ブルームバーグよりマネックス証券作成、2025年12月末時点
*財は食品・エネルギーを除く
**住居費はCPIではShelter、PCE価格指数ではHousing & Household Utilities

PCE価格指数は、FRB(米連邦準備制度理事会)が物価の動きを把握する際に、好んで用いられる指標とされています。PCE価格指数の特徴として、消費者が値上がりしたものを避けるなど、価格変化に準じた消費行動の変化を同指数は把握できる点があげられます。

またCPIよりもデータの包括性があると言われています。同指標が、時差はあるもののコア指数で再び前年同月比3.0%上昇と加速が確認された点は、懸念材料といえるでしょう。サービスが根強く、足元では財のインフレ動向が上昇傾向にある点は、前の月から変わっていません(参考:【米国】12月CPIは横ばい 緩やかな鈍化シナリオを継続もインフレ再加速リスク燻る)。実際に、PCE価格指数でも財のインフレが今回の上振れに寄与しており、ジワジワとコストプッシュの傾向がうかがえます(図表3)。

【図表3】PCE価格指数サービスと最終財のインフレ動向(前年同月比%)
出所:米商務省経済分析局よりマネックス証券作成、2指標はともに食品・エネルギーを除く指数

【3】所感:緩やかなインフレ鈍化シナリオは変わらず、関税政策の転換は見込み薄い

CPIとPCE価格指数の乖離はしばしば起きるもので、それ自体は大きな問題ではないでしょう。先行きのインフレ動向はFRBの政策運営に関わるため重要ですが、筆者は基本シナリオでは緩やかなインフレ鈍化を見込んでおり、利下げスタンスを撤回するのはまだ尚早と考えています。関税については、米連邦最高裁は2月20日、米政権が講じてきた相互関税などについて違憲と判断しました。一方で、トランプ米政権は対抗措置として新たな関税政策を発表するなど、状況は目まぐるしく変化しています。

個人的には、これらはノイズだとみています。関税政策は、同政権の目玉政策です。また、政権が即座に代替案を発表したことからも、撤回の可能性は高くないとみられます。中間選挙を控えるトランプ米大統領にとって、政策がとん挫することは印象面でも避けたいはずであり、関税を巡るマクロ環境が大きく変わる可能性は低いでしょう。もっとも、2026年後半には関税によるインフレ影響も剥落していくと考えており、2026年前半は根強いインフレが続く我慢の時期と想定しています。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太