2026年1月30日(金)8:30発表
日本 東京都区部消費者物価指数2026年1月分速報

【1】結果:東京コアCPIは前年同月比2.0%上昇 生鮮食品やエネルギーが減速

2026年1月の東京都区部消費者物価指数(以下、東京CPI)は、ヘッドラインの総合指数が前年同月比1.5%上昇し、前回2025年12月から0.5%ポイントと伸びが大きく鈍化しました。2ヶ月連続での急減速であり、主には生鮮食品が同7.9%低下となったことが主因となりました。

コア指標である生鮮食品を除く総合指数もエネルギー関連の伸びの減速が寄与し、同2.0%上昇となりました。コアコアCPIと称される生鮮食品・エネルギー除く総合指数も他2指標と比較すると減速幅は小さいものの、同2.4%上昇と前回から伸びが減速しました(図表1、2)。

【図表1】東京CPI 2025年12月速報値結果
出所:総務省よりマネックス証券作成
【図表2】東京CPIの推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

東京都区部のサービスCPIは前年同月比1.4%上昇し、前月から0.1%伸びが減速も概ね横ばいとなりました。個別の品目では、一般サービスを構成する外食が減速、前月比ベースでは宿泊料やパック旅行費などの教養娯楽サービスが低下しました(図表3)。

【図表3】サービスCPIの推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:サービスは小幅に鈍化も全体としては底堅い印象 先行きは上昇する見通し

サービスの中でもより賃金動向の観点で注目される一般サービス(※)は同2.2%上昇(図表4、水色)し、前月から0.1%ポイント伸びが減速しました。それ以外のサービスや賃金関連の指標をみると、総じて前の月から伸びの低下が見られているものの、2%以上の水準で推移しています。そのため、サービス物価や賃金関連のインフレが鈍化しているとは評価できず、底堅い推移と判断しています。

賃上げ機運自体も衰えておらず、先行きでは春闘による賃上げ効果や、4月は期初とあって価格改定が通常月よりも起こりやすいことから、サービス価格も上昇していく見込みと考えています。
(※対象には学校給食や、電車運賃などで構成される「公共サービス」があります)

【図表4】サービス関連の賃金、物価指標の推移(前年同月比、%)
出所:総務省、日本銀行、厚生労働省よりマネックス証券作成

【3】所感:期待インフレ率も上昇がみられ基調物価はターゲットに近づいてきた

前回2025年12月に続き、今回の東京CPIのデータは市場予想を下振れ、インフレ鈍化が意識される内容です。高止まりの主因であった食料品価格の減速が顕著であり、CPIの中でも基調的な物価をとらえるとされるコアコアCPIは2%台半ばと日銀のターゲットとする水準で推移しています。また、市場のインフレ期待も直近では、長らく未達であった2%まで上昇しています(図表5青、日本10年ブレイクイーブンインフレ)。

【図表5】期待インフレ率の推移
出所:Bloomberg、QUICK、日本銀行よりマネックス証券作成

ヘッドラインのインフレ率の低下は従前の日銀の物価見通しに沿った内容でもあり、現在の水準では利上げ判断を大きく変えるものではないと考えています。また足元では、日米の口先介入に端を発した米ドル/円の急騰から、先行きにおける輸入物価の低下圧力が意識されます。輸入物価はある程度ラグをもって消費者物価へ波及すると考えられますが、次第にコストプッシュインフレの減速に寄与していくことで、さらにヘッドラインのインフレ率を押し下げる可能性が指摘できるでしょう。

ヘッドラインのインフレ率が想定以上に減速するリスクは懸念されますが、需要サイドと言えるサービスや賃金のインフレが底堅く推移しコストプッシュサイドの減速を相殺することで、結果的に2%ターゲット近辺で推移することが現在のベストシナリオです。

日銀の政策判断については、2026年に入り市場の期待インフレが上昇してきたことや春闘の動向が底堅い見通しから、「基調的なインフレ率」が目標水準を達成していると判断される可能性は相応にあると考えており、早期の利上げ判断に至る可能性を視野に入れています。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太