暗号資産相場はテクニカル的に戻り売りを意識しやすい局面

トランプ米大統領は、デンマーク自治領グリーンランドの領有を巡り、米国側に同調しない欧州各国に対して追加関税(10%)を課す方針を表明しました。先日来、断片的に観測されていたテーマではありますが、正式な発信として受け止められたことで、マーケットは「地政学リスク・通商摩擦の再燃」を意識しやすくなった印象です。 

とりわけ1月19日朝方の値動きは、シドニー時間の薄商い(流動性が薄い時間帯)で起きたこともあり、暗号資産市場が先行して大きく反応し、急落となりました。為替は円高方向にやや振れ、株式も小安く始まっていることから、現時点では「リスクオフの初動」としては暗号資産がやや過敏に振れたようにも見えます。

もっとも、前回のコラムからお伝えしていた通り、相場はテクニカル的に戻り売りを意識しやすい局面に入りつつあり、加えてポジションが買い側に傾き始めていたタイミングでもありました。結局のところ、材料は「引き金」で、ポジション調整が走りやすい地合いだった可能性があります。私自身は短期ショートで利益を確保できましたが、ここからも戻り売りを基本路線にしていく予定です。月末にかけては「買い場の形成」を待つイメージで臨みます。

BTC(ビットコイン)は上昇トレンドラインまで下降、1,400万円手前までの下押しか?

BTC/JPY日足チャートからみていきます。2024年12月以降、下値を切り上げながら年初ラリーが続いていましたが、先週半ばに高値を付けてからは失速気味となっています。本稿執筆時点(1月19日午前)では大陰線を形成しつつあり、上昇トレンドライン付近まで下落しました。さらにSMA90(水色)を割り込みつつあることから、短期の地合いは一段悪化しています。

この上昇トレンドラインでいったん反発する可能性はありますが、反発が1~2日程度の短命に終わり、再び反落するようなら「下値模索の第二波」に入りやすい点に注意が必要です。通商面では米国に対して欧州側からの反論・対抗姿勢が強まりやすく、相互に強硬な言葉が応酬される局面では、その内容次第で再度リスクオフが加速する場面も想定されます。

【図表1】BTC/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

続いてBTC/JPYの4時間足チャートです。こちらも日足同様、SMA90(水色)を割り込みました。次に意識されるのはSMA200(橙)で、目安は1,415~1,420万円近辺となりそうです(価格帯はチャートを参照)。

【図表2】BTC/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

また、MACDはマイナス圏へ沈み込みやすく、シグナルとしては「短期の下降トレンド入り」を示唆しやすい形です。高値圏から大陰線が出た直後は、戻りが入っても上値が重くなりやすく、下値更新を試しやすい地合いに傾きます。値頃感だけでの押し目買いは一旦避け、反発局面は戻り売り優位で臨むのが無難と考えます。

ETH(イーサリアム)、値頃感での押し目買いは時期尚早か?ネックラインから今一度戻り売り狙い

ETH/JPYの日足も、BTC同様に上昇トレンドライン付近まで下落してきました。上値は54万円近辺のレジスタンスで抑えられています。形状としてはアセンディング・トライアングルに見えるものの、上昇トレンドラインを明確に割り込むと、この形状自体が否定されやすくなります。よって、現状は下値余地が拡大しやすいタイミングであり、こちらも値頃感での押し目買いはまだ控えたい局面です。

【図表3】ETH/JPY 日足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ETH/JPYの4時間足では、51万2,000円のネックラインを割り込みました。目先は戻りが入っても上値が重く、基本は戻り売りを意識します。特に欧州時間以降は、欧州側からの追加声明や対抗措置に関する報道が出やすく、内容次第でもう一段の下落が入りやすいとみています。

短期戦略としては、黄色の上昇トレンドラインを割り込んだ局面では、SMA200(橙)付近までの下押しを想定し、反発局面での戻り売りを繰り返す方針です。

【図表4】ETH/JPY 4時間足チャート
出所:MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

冒頭でも触れたように、今回のグリーンランド領有については、同盟国同士の対立であり、最終的に「本格的な決裂」まで行く可能性は高くないとみています。しかし、少なくとも当面は通商摩擦の思惑が先行し、相場の不確実性(ボラティリティ)を押し上げやすい局面です。よって、1月末にかけては戻り売り優位をベースに、どこで下げ止まり(買い場形成)が起きるかを見極めたいと思います。

今週(1月19日週)のポイント

・米国のグリーンランド領有を巡る発信が再燃し、通商摩擦=リスクオフ材料として意識されやすい。 
・薄商いの時間帯は値が飛びやすく、暗号資産はレバレッジ要因で過剰反応になりやすい。
・BTC/JPYは日足・4時間足ともにSMA90割れが警戒サイン。次の下値メドは4時間足のSMA200。
・ETH/JPYもネックライン割れで、戻り売り優位。米国と欧州が発する内容次第で第二波に注意。