2025年11月21日(金)8:30発表
日本 消費者物価指数(全国)2025年10月分

【1】結果:3指数そろって再び3%台に 10月は財やサービスが上昇

2025年10月の全国消費者物価指数は、ヘッドラインである総合指数が前年同月比3.0%上昇となりました。市場予想とは一致する結果で、8月以来2ヶ月連続で伸びが加速し、再び3%台に戻っています。

【図表1】2025年10月の全国消費者物価指数の結果
出所:総務省よりマネックス証券作成

生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)は、同3.0%の上昇となりました。(生鮮食品を除く)食品は低下傾向となるも、10月においては財やサービスがプラスに寄与しています(図表2)。また変動性の高い生鮮食品・エネルギーを除いた総合指数(コアコアCPI)は同3.1%と前回9月から0.1ポイント伸びが拡大しました。季節調整をした前月比は3指数が揃って0.4%と大きな伸びとなり、短期的にはインフレの進行が確認されました。

【図表2】コアCPIの寄与度分解(前年同月比、%、%ポイント)
出所:総務省よりマネックス証券作成

上昇品目・下落品目を見ると、コアCPIを構成する522品目のうち10月は400品目が上昇、39品目が下落、83品目が変わらずとなりました。4%以上上昇する品目は高止まりの傾向が見られ、前月と比較すると0~4%の上昇となった品目割合が増え、下落は低下となりました。

【図表3】コアCPI構成品目 前年同月比上昇・下落品目数の割合(レンジ別、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成


【2】内容・注目点:サービスインフレは加速 賃金も合わせ底堅い推移

より賃金への波及効果が期待される一般サービス(一般の企業等による外食や家事関連、教育、医療サービス等で構成される指標、図表4水色)は、ここのところ前年同月比1.9%で横ばいであったところ、2026年10月は同2.2%上昇となりました。そのほかのサービス関連の指標も底堅く推移しており、インフレ・ノルム(ノルムとは社会的な規範意識を差し、ここでは社会全体としてインフレが当たり前のものとして意識されること)の定着に寄与する内容と考えられます。

【図表4】サービス関連の賃金、物価指標の推移(前年同月比、%)
出所:総務省、日本銀行、厚生労働省よりマネックス証券作成

【3】所感:2026年の春闘の賃上げが前年実績程度となればインフレ・ノルム定着に前進

上述したインフレ・ノルムの定着は、一般に期待インフレ率(家計や企業、市場参加者といった各主体が予想する将来のインフレ率)を確認することで、その度合いを推察できます。

図表5は企業や市場参加者の期待インフレ率を表したものですが、コロナ・ショック以降は期待インフレ率の上昇が確認できます。実際のデータである消費者物価指数を見ると、コア指標は直近3年ほど3%近辺での推移となっており、インフレが当然としてある世の中に移行している印象を受けます。

しかし、主に市場参加者の期待インフレ率(ブレイクイーブンインフレやQUICKの指標)は2%を下回っているなど、完全な定着とは言い難いでしょう。日銀としては、長い間そのインフレ・ノルムの醸成に苦慮してきた背景もあり、ここでその腰を折ることは避けたいはずで、そのことから慎重な政策運営は理解ができるところです。

【図表5】期待インフレ指標の推移
出所:Bloomberg、QUICK、日本銀行よりマネックス証券作成

2026年度の春闘が前回実績程度の賃上げとなれば3年連続で5%程度の賃上げが達成されることから、インフレ・ノルムの定着にはこの点が重要なポイントとなります。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太