政策金利は4.00-4.25%に引き下げ
現地9月17日に米国のFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、政策金利は4.00-4.25%に引き下げられました。声明文では、労働市場の軟調さや失業率の上昇に言及するとともに、雇用の下振れリスクが高まっていることが新たに示されました。なお、決議では新任のマイラン理事が0.5%の利下げを主張し、反対票を投じています。
今回は3ヶ月に1回の経済予想が示されています。前回6月時点の予想と比べてGDPは上方修正されました。また声明文で雇用リスクが強調されたものの、失業率の改善が示されるなど、景気認識は全体として上方修正されました。
同時に物価見通しも公表され、こちらはやや上方に修正されています。
2026年以降の政策金利見通しは幅広く分かれる結果に
そしてFRB当局者による政策金利見通しです。年内に追加で2回の利下げが見込まれています。その後は緩やかな利下げを経て、長期見通しである3%に収束する道筋が示されました。
FOMCメンバーの政策金利見通し分布を示すドットチャートでは、2025年の政策金利予想についてはおおむね一致が見られますが、3%を下回る水準への引き下げを予想するメンバーも1名存在します。そして、2026年以降については、中央値では緩やかな利下げが示されるものの、見方は幅広く分かれています。
パウエルFRB議長「リスク管理の利下げ」、ソフトランディングシナリオを確認する段階へ
会見でパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、労働市場の軟化の兆しに触れつつ利下げの根拠を説明しました。そのうえで、今回の決定については「リスク管理の利下げ」であり、予防的な行動であることを強調しました。
インフレは依然として高水準にあるものの、一過性の要因も含まれており、今後は鈍化が期待されています。一方で、労働市場の鈍化は明確であり、今回の利下げは市場でも広く予想されていました。ただし、経済見通しが上方修正される一方で、政策金利の見通しが引き下げられた点にはちぐはぐな印象も残ります。政権からの利下げ圧力を汲んだのではないかという、FRBの独立性に対する懸念もちらつきます。
市場の期待に沿う形でイベント通過となりました。過度に鈍化しない経済見通しの中、年内は断続的な利下げによって引締め水準からの緩和が進み、来年以降は緩和的なスタンスが継続する見通しです。マーケットにとって追い風となるスタンスですが、今後はこのソフトランディングのシナリオが実際に実現するのか、いよいよ確認の段階に入ってきています。
