2026年の世界経済見通し「2025年と同程度の水準で堅調に推移」
IMF(国際通貨基金)が公表している「世界経済見通し(World Economic Outlook)」によると、2026年の世界経済成長率は2025年と同程度の水準で堅調に推移する見通しとなっています。
米国経済の成長率は上方修正
地域別に見ると、米国経済は個人消費と設備投資の底堅さを背景に成長率が上方修正されています。特に、インフラ投資や半導体関連を含む戦略産業への資本支出が引き続き景気を下支えしており、各国からの対米直接投資の増加も設備投資サイクルの好転に寄与しています。
新興国経済も予想より上振れする成長見通し
一方、新興国経済についても、インフレの沈静化や関税政策の落ち着きを背景に、従来予想よりも上振れする成長見通しが示されています。地政学的リスクなど不透明感は依然として残るものの、IMFはアジアや中南米を中心に内需主導型の回復が進んでいる点を指摘しています。景気先行指数を見ても中国を除く新興諸国の改善基調がうかがえます。
なお、先進国については、財政支出が景気のけん引役となっており、エネルギー転換や防衛関連、インフラ整備といった分野への公的投資が成長を下支えする構図が続いています。
米国株式市場における物色の変化では、素材・エネルギー業種や小型株が堅調
米国株式市場では、業種別のパフォーマンスに変化の兆しが見られます。現在、2025年第4四半期決算が本格化していますが、前回の第3四半期決算内容を織り込み始めた2025年11月頃から、これまで市場をけん引してきた情報技術(IT)セクターのパフォーマンスが劣後し、素材やエネルギーといった景気循環的な業種の相対的なパフォーマンスが改善しています(図表4)。
規模別に見ると、大型株よりも小型株のパフォーマンスが相対的に堅調となる場面が増えています。一般的に、小型株は国内景気や資金調達環境の影響を受けやすいため、こうした動きは景気回復の初期局面に見られやすい特徴的なパターンとされています。
米国の代表的な小型株指数であるラッセル2000指数は、2025年後半以降、S&P500に対して相対的な持ち直しを見せており、金融環境の安定化や企業収益の改善期待が投資家心理を支えている状況です。景気の好転が持続する場合には、こうした物色傾向が継続する可能性もあります。
景気循環業種での投資拡大もポイント
現在の好転サイクルの中核には、設備投資の拡大があるものの、生成AIに関連したデータセンター投資など、特定分野への資本配分が過度に集中している可能性も否定できません。
そのため、今回の決算シーズンでは、株価の初期反応にも表れている素材、資本財、エネルギーといった景気循環業種における、受注や設備投資の内容・持続性にも注目でしょう。これらの分野で投資拡大が確認されれば、景気回復がより裾野の広い形で進展していることを示唆する材料となります。
世界市場における資金フローの変化、投資家も「地域分散」を志向する動き
もう一つ見逃せない点として、新興国株式市場への資金流入の増加が挙げられます。
2008年の金融危機以降、米国経済の相対的な強さ、いわゆる「米国例外主義」を背景に、ドル資産や米国株が選好される局面が長く続きました。しかし、足元ではドル安傾向や外貨準備における通貨分散の動きも意識される中で、投資家の間に地域分散を志向する動きが広がりつつあります。
分散投資を意識する局面、今後の注目点は?
米国を中心に、地政学リスクや外交問題が引き続き市場の不確実性要因として意識される中、非ドル資産や、先進国と比べ財政政策への依存度が低く、内需や構造改革を成長源泉とする新興国への投資は、ポートフォリオ全体の分散効果が期待されます。
世界的には、依然として潤沢な流動性環境が維持されています。このような環境下において、物色対象が、割高感も指摘される特定の市場やセクターにとどまらず、より広範な地域や資産クラスへと拡大していく動きは、市場全体にとって健全な兆候と評価できます。
この流れが中期的なトレンドとして定着する可能性も意識される中、これまで米国中心の運用スタイルが高い成果を上げてきたことを踏まえつつも、今後は地域や資産の分散をより強く意識した運用姿勢も必要な局面に入りつつあると考えられます。
