スパイクボトムの長さに対して、1.5倍返しや2倍返しまで上昇する可能性も
週明け9月8日の日経平均株価は大幅に3日続伸となり、相場全体の動向を示すTOPIX(東証株価指数)は史上最高値を更新しました。9月7日に石破首相が自民党総裁を辞任すると発表し、雇用統計の結果を嫌気した米国株安の悪影響をカバーするどころか、さらに倍返しの上げ相場となりました。高値更新が間近に迫っていた好地合いの中、政治改革への期待が後押しする雰囲気になっており、続く夜間取引では日経平均先物は44,000円台となりました。
今週(9月8日週)は週末に9月限のメジャーSQを控え、特異な変動要素が強く出てくる可能性に留意する必要があります。次は45,000円かという雰囲気が週末に向けて高まるかどうか。7月29日付の「相場はスパイクボトムからの倍返しか」にも掲載したとおり、スパイクボトムの長さに対して1.5倍返しや2倍返しまで上昇する可能性も遠くはありません。
2024年12月27日の日経平均終値(40,281円)から4月7日終値(31,136円)までの大きな値幅に対する1.5倍返しの上げの水準で44,850円、2倍返しの49,400円までの上昇余地があります。再び史上最高値を更新できれば、1.5倍返しぐらいは早々に実現してくる可能性が高いでしょう。
スパイクボトムの捉え方によって違いはありますが、例えば、3月26日の終値(38,027円)から4月7日の終値(31,136円)までの下げ幅に対する倍返しの上げの水準でも44,910円となることから、週内で45,000円付近までくると高値圏との認識で、それなりの対応が必要でしょう。
東証プライム市場の騰落レシオは一般的に過熱感が強いとされる120%以上が31日間続いています。信用の評価損率がマイナス5%台まで改善し、個人が8月後半に2週続けて買い越しに転じています。9月の第1週(9月1日週)も同じようであれば3週連続となり、短期的には上昇一服を示唆する指標が整います。
エヌビディア[NVDA]は短期的に調整に入る可能性が高い
米国市場では半導体大手エヌビディアの株価が少し心配です。8月12日につけた史上最高値(184.48ドル)を8月28日の高値(184.47ドル)で超えられない状態のまま、その両者のちょうど真ん中の8月20日の安値(168.80ドル)を割り込んでしまいました(図表)。これで「ダブルトップ」が完成したことになり、短期的に調整に入る可能性が高くなってきたようです。一目均衡表でも現在値を26日前にずらして描く「遅行スパン」が当時の株価水準を下回り、「逆転」という弱気サインが確認できる状況です。
週明け8日も伸び悩んだ印象ですが、短期的には153ドル付近まで調整が続くと予測できます。これは最初の高値の山(史上最高値の184.48ドル)から最初の谷(8月20日安値の168.80ドル)までの下落幅と同じ値幅分が、最初の谷からの下値余地となるという見方です。テクニカル分析が専門の筆者の少しマニアックな見方では、1月7日の高値(153.13ドル)付近まで調整(揺り戻し)することを前提としたダブルトップ形成だったのではないかとみています。
ただ、その程度の調整なら全体への影響は大きくはないでしょう。足元の半導体株を引っ張っているマイクロン・テクノロジー[MU]やブロードコム[AVGO]の存在が大きいからです。この両銘柄まで下げだすと投資資金は行き場に迷い、相場全体の調整につながりかねません。
