今週(8月29日~9月4日)の相場動向
相場回顧 BTC(ビットコイン):米雇用統計を前に方向感に乏しい展開
ビットコインは、クジラ投資家(BTC黎明期からの大量保有者)の動向やトランプ政策に対する懸念が相場の重しとなり、主要経済指標を控えて方向感に乏しい展開となった。
先週に続き大口保有者による資産移動が確認され、一時はBTC=108,000ドル(約1,598万円)付近まで下落した。トランプ米大統領の関税政策を違法とする高裁判決を受け、市場の不透明感が強まったこともリスクオフ売りを強めた。
一方で、SEC(米証券取引委員会)とCFTC(米国商品先物取引委員会)が暗号資産関連の共同声明を発表したことで規制整備への期待が高まり、企業による継続的な購入も確認される中、相場はBTC=112,000ドル(約1,657万円)付近まで持ち直した。
国内でも金融庁が暗号資産税制の改正要望を提出し、あわせて第二回ワーキンググループが開催されるなど、規制環境の整備が進展していることが意識された。さらにエリック・トランプ氏が関与するマイニング企業アメリカン・ビットコイン【ABTC】がナスダックに上場したことも投資家の関心を集めた。
しかし、週末にかけては、米雇用統計を前に慎重姿勢が強まり、上値の重い展開が続いた。本日の発表次第で利下げ観測がどう傾くかが最大の焦点であり、今後の方向感を左右するとみられる。
来週(9月5日~9月11日)の相場予想
BTC(ビットコイン)は規制整備が下支えとなる一方、米CPIと関税問題が相場の焦点に
来週のビットコインは、米国の物価指標とトランプ政権の関税政策を巡る動向に振られ、不安定な値動きが継続すると予想される。
週前半は手掛かり材料に乏しく、米雇用統計の結果を消化しつつ、8月の米消費者物価指数(CPI)待ちで慎重な値動きになると考えられる。
その後、CPIが市場予想を上回ればインフレ懸念が再燃し、利下げ期待が後退することでビットコインには売り圧力がかかる可能性がある。一方、予想を下回ればインフレ鈍化を確認する材料となり、リスク資産全体の買い戻しにつながる展開が想定される。
また、トランプ米大統領が関税政策を違法とする高裁判決を不服として最高裁に上告しており、今後の展開次第では市場心理を大きく揺さぶる要因となる。関税問題の長期化や不透明感が意識されればリスクオフにつながりやすいが、反対に緩和的な着地点が見えてくれば相場の支援材料になりうる。
FOMC(米連邦公開市場委員会)を控え金融市場では不透明感が続いているものの、暗号資産市場では規制整備や企業参入といった新しい動きが継続しており、下支え要因となるだろう。
直近の価格レンジとして、上値はBTC=115,000ドル(約1,702万円)、下値はBTC=105,000ドル(約1,554万円)を意識する。
