8月22日の日本時間23時から、毎年8月下旬に開催される経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」にてパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演がありました。講演内容は根強いインフレ経済に言及しつつも、一時的という見方を示し、雇用環境は下振れしつつあるため、金融政策の調整は正当化されるという発信により、マーケットは9月の利下げをほぼ確信しました。株式市場は上昇し、米ドルは大幅に下落、暗号資産市場も急騰しました。
毎年のことながら、マーケットは確信をしつつもFRB議長の発言には威力があります。これを受けてBTC(ビットコイン)やETH(イーサリアム)は急騰し、ETHは史上最高値を更新しました。そして8月25日の朝、ETHに関してはさらに史上最高値を更新し、その後BTCと共に急落し、かなり乱暴な値動きになってきました。これは天井の合図でしょうか。
BTC(ビットコイン)は下落トレンド入りの兆候ありか?
BTC/JPY日足チャート分析です。1800万円の史上最高値から10%程度の調整となっておりましたが、早朝にSMA90(水色)をタッチしました。ジャクソンホール講演の上昇を全て帳消し、利下げ確定がセルザファクト的な値動きになってきたと捉えられます。
MACDも0.00を割り込みつつあり、下落トレンド入りの兆候が見て取れます。サポートラインを割り込みかけているため、ここからのさらなる下押しは要警戒でしょう。悪材料もしばらく出ておりませんが、金融市場で先行きが不透明な材料が出始めるとかなり地合いが悪くなります。例年、9月は金融市場全体が下押ししやすいので注意しておくべきでしょう。短期的にはショート戦略がワークすると考え、打診売りを開始しています。
下降トレンドは戻り待ちか、トレンドラインとこれらのSMAの戻りを意識したい
BTC/JPY4時間足チャート分析です。下降トレンドラインの戻りを試している最中でしょうか。この付近からの戻り売りを狙い、再度安値更新を意識すると良いかもしれません。MACDは0.00付近で頭を抑えられている状況のため、戻りの調整もここまでかもしれません。戻りを売りやすい局面に見えます。
仮に大きな戻りを見せた場合、SMA90(水色)やSMA200(橙)が控える1,725万円付近からの戻り売りも良いでしょう。今週(8月25日週)は、トレンドラインとこれらのSMAの戻りを意識した売り戦略で考えたいと思います。
ETH(イーサリアム)は日足ダイバージェンス発生中
ETH/JPY日足チャート分析です。ここ最近、毎日のように数%の乱高下を繰り返しながらも上昇をしてきたETHですが、24日は5%上昇、5%下落とさらに乱暴な値動きになってきました。8月25日の東京時間帯に本コラムを執筆中ですが、今度は前日の安値を更新し、そして2%戻るような値動きが短時間で見受けられています。やはり、かなりマーケットが薄くなっているようです。
海外のデリバティブ取引所の出来高を確認したところ、値動きの幅と通常の出来高が伴っていないことがわかりました。買い板、売り板にオーダーが極めて少なくなってきているようです。これは買い方も買い終えた証拠として判断でき、売り方も少なくなってきていることから、成行売買に対して耐性がなくなってきているものと思われます。
価格が乱高下すると、今度は買い方の含み益残高が乱高下し、不安心理を誘発するため、やがて売り行動に繋がりやすいと考えられます。この動きはマーケットが崩れる起点となりやすいため、今後の価格反落には要注意でしょう。アルトコインこそ崩れたら早いのですが、それまでまだひどい乱高下をしかねないと判断し、ETHに関しての売りは見送りとします。
今週(8月25日週)はBTCのみの打診売りに留めた慎重なトレードにて、調整下落を狙っていこうと思います。繰り返しになりますが、例年9月はよく乱高下し、金融市場全体が下落しやすい月ですので、ご注意ください。
