上昇トレンドは継続中、今後のカギとなるのは?

前回のコラムで、日経平均株価が過去最高値を更新した理由は窓の発生にあると解説しましたが、その後も8月8日と12日に発生した窓(=ブレイクアウェイギャップ)を一度も埋めることなく上昇が続きました。また、8月19日の取引時間中には43,876円をつけるなど、44,000円に接近する場面がありました。

このように、ブレイクアウェイギャップが発生した後も株価水準を切り上げているのが分かります。この時の特徴として挙げられるのが、上向きの5日移動平均線上を維持していることです。5日移動平均線は、5日間の終値の平均価格になりますが、この平均価格を株価が上回っているあいだは上昇トレンドが継続中と考えられます。そのため、今後も上向きの5日移動平均線上を維持できるかが、44,000円に乗せて維持できるかのカギになると思われます。

一方で、上向きの5日移動平均線を下回るとともに、5日移動平均線を上回ることができなくなり、5日移動平均線が下向きに変化した場合は注意が必要です。なぜなら、株価が5日移動平均線を上回っている状態とは逆に、5日移動平均線が上値の抵抗になって、短期的な下降トレンドの発生が考えられるからです。そのため、短期的な下降トレンド入りに注意することに加え、買いポジションを持っている投資家は損失の発生や拡大に要注意です。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※移動平均線の期間は5日(青線)、25日(赤線)、75日(グレー線)で設定
※出来高はプライム市場
※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示 

モメンタムのピークアウトに要注意

では、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、どうでしょう?モメンタムは前回のコラムで指摘したとおり、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、直近の高い水準を上回って上昇が続いており、水準が切り上がっているのが分かります。こうした状況から、2本線が切り上がったおかげで上昇の勢いが強まり、窓をあけて上昇した後も高値更新が続いたと考えられます。

したがって、今後も2本線が上昇を続けるようなら、5日移動平均線上を維持するとともに目前に迫っている44,000円に乗せて維持することが視野に入ってくると思われます。その反面、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方がピークアウトして低下し始めるようなら、上昇の勢いが低下していることを示していることになり、5日移動平均線を下回ることも考えられ、注意が必要になるのです。

いつ株価が下落に転じるのかが気になって仕方がないという投資家は、この2点に注目して株価下落のタイミングを計るとよいでしょう。ただし、モメンタムが0ライン上を維持したり、上向きの25日移動平均線上を維持したりするようなら、中長期の上昇トレンドは継続中と考えられるため、押し目買いのタイミングも逃さないようにしたいところです。